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魔法学校へ行こう   作者: そるしえーる
12/23

12.秘儀参入―準備の段階

次の週、いつもと同じよう高校へ通う二人の周りには、なぜか休み時間の度に、クラスメイトが悩みを相談しようと集うようになっていた。


進路のこと、クラブ活動のこと、恋愛、家族、勉強・・・


それぞれに、悩みは異なるのだけれど、クラスメイトたちは、自らの胸の内を話しているうちに、混乱から抜け出して、だんだんと元気を取り戻していく。


二人は、話しやすいようにと、静かに耳を傾けているだけだ。


特に何かアドバイスをするようなこともない。


相談者が自らのうちに答を見出すことができることを信じて、ただ静かに待つだけだ。


そして、深刻な表情だったクラスメイトたちも、ひとしきり話をすると、晴やかに自分の席に戻っていく。


「なんだかいろんなことがスムーズだね。

これも潜在能力が活性化されたからかもしれないね」


「週末が楽しみだね。

それにしても秘儀参入ってどういうことなんだろうね」


「秘儀参入」

その言葉の意味することを知らないまま、それでも二人は、ワクワクとして週末がくるのが待ち遠しく思っていた。


そして、二人が待ちに待った週末。


魔法学校の初級クラスの教室。


挨拶をすませた花守先生から質問が投げかけられた。


「そろそろ魔法が使えるようになってきているのではありませんか?」


生徒たちは、一様にきょとんとした表情で、顔を見合せた。


その様子をみながら花守先生は笑顔で説明を始めた。


「最近の体験を、ちょっと思い出してみてください」


「欲しいと思っているものが、すみやかに手に入ったりしていませんか?

あるいは遅刻したと思っていたら、待ち合わせの相手も遅れてきたり。

あるいは、開始時間が遅れていたりというようなことは、いかがでしょう?」


皆が納得したように頷いている。


「潜在能力が活性化されていますよね。

そして、思考のエネルギーを現実化のために使うことができるようになってきているのです。

そうすると、色々なことのタイミングが合うようになります。

思いを持つということは、宇宙にそのエネルギーを発信すること。

そして宇宙からそのために必要なエネルギーを受信するということなのです」


「では、思考のエネルギーをより正しく使っていくためにも、さらに深い学びを始めていきましょう」


そうして新たな講義が始まった。


魔法学校の成り立ちから、超古代文明にまでさかのぼるその歴史。


設立された意義、偉大なる魔法使いたちの系譜について。


ガリレオ、レオナルド・ダ・ヴィンチやエジソンもこの魔法使いの霊統なのだという。


花守先生の口から活き活きと語られる魔法学校に関する物語。

それはすべて、特別なペンとインクで、特別な用紙に、特別な方法で記録された聖なる写本として残されている。


その写本の一部が、15世紀に中東のとある国の洞窟の中で、羊飼いによって発見され、大英博物館に最重要書籍として保管されているという。


人間として誕生したことの意味、前世のことや来世のこと、天界のこと、神様との約束のことなど、興味深い話が続いた。


人は誰もが、何か大切なことを成し遂げるために、この地球に誕生するという選択をして、生まれてきたのだった。


すっかり忘れてしまっていたけれど、魔法学校で学び続けることによって、その情報にアクセスすることができるようになっていくという。


自分は何をするために生まれてきたのか?


この人生という貴重な機会を、体験を、一秒たりとも無駄にしてはいけない。


今、この瞬間を後悔しないように生きることの大切さを、生徒たちは皆、ひしひしと感じていた。



そして、正しく善なる目的に沿って魔法を使うために、制御すべき自分の思考や感情について。


実際に魔法を使うためのフィールドに施す結界の創り方などなど、どれもこれも始めて耳にする、目にする内容だった。


天使のこと、妖精のこと、ドラゴンのこと、ユニコーンのこと、小人たちのこと、ファンタジー小説の中だけの存在だと思っていたけれど、彼らは実在し、魔法使いと協力してこの地球のために奉仕を行ってくれている。


私たちは成長と共に、目に見えないから存在しないと決めつけてしまって、彼らとのつながりをすっかり失ってしまっている。


しかしながらそれは、テレビがチャンネルを合わせなければ映像を映し出さないのと同じように、私たちの意識のチャンネルが合っていないだけのこと。


魔法学校の秘儀参入イニシエーションによって、彼ら光の存在との繋がりを再構築することできるのだ。


動物や植物だけでなく、異なる多くの種族が共存することができる世界。


なんて豊かで平和な世界なのだろう。


あまりにも濃厚な内容で、終わるころには皆ぐったりとしていたが、知ることの喜びに満たされていた。


授業の最後に、花守先生が皆に告げた。


「皆さん、よく頑張りましたね。

さぁいよいよ明日はとても特別な日になります。

魔法使いは、天界の光の存在たちと協力して、世界に光を広げようと奉仕をしています。

秘儀参入イニシエーションによって、皆さんも天界の光の存在たちと一緒に奉仕をするチームの一員となります。

すなわち正式な魔法使いとして認められるのです」


「今日はゆっくりとお風呂に入って疲れをとって、体を清めて、早めに休んでくださいね」

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