表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/13

7口目


 大きな木々に囲まれた大自然。


 遠くから聞こえる鳥のさえずり、葉の間から漏れる日差し。耳をすませば川の流れる音。


 今日は大都市フェノクロスから少し離れた森の中でダンゴさんと一緒に魚釣りです。


「到着ですダンゴさん。ここの川がシナギクちゃんの言ってた釣りの穴場みたいですよ」


 “少しだけ”道に迷いましたが、なんとかお昼までに到着できました。


「ミュミュミュ……」


「ありがとうございます」


 おそらく今のは私を褒めてくれたのだと思います。ここにたどり着けたことを。


「よ~し。では釣りますよダンゴさん!」


「ミュミュ~♪」


『チャポン……』


 ……あれ? チャポン? 私まだ釣竿の針にエサを付けている最中ですが?


「……ダンゴさん?」


『ブクブクブク……、バシャバシャ!』


「――――ダンゴさんがーー!」


 ダンゴさん溺れてます!

 見事な溺れっぷりです!


 慌てて私はダンゴさんを川から救出して無事を確認。危うく流されて行くところでした……。


 私の膝よりも浅い川とはいえ、体長が十センチほどのダンゴさんにとっては海みたいなもの。


「ダンゴさん、水遊びは魚釣りの後ですよ、ノリと勢いで飛び込まないでくださいよー」


「ミューー……」


 ダンゴさんはすっかり参った顔で反省したみたいです。



「やりましたよ、どうですかダンゴさん。“大漁”ですよ」


「……ミュミュ」


 川の水を入れた水色のバケツの中には小魚が二匹。

 シナギクちゃんに教えてもらった穴場だったのですが、私には魚釣りの才能は無かったようで……。


 魚釣りや水遊びを終え、私とダンゴさんは森を抜けて門番さんに身分を証明してからフェノクロスへと戻りました。


 あの森で今度はキノコ採りでもしたいですね。クーちゃん達も一緒に。


 私は近くにあった噴水のふちに腰かけて一息をつく……と、同時にダンゴさんがある物に気づいて私に知らせてきました。


「……なんでしょう? 箱?」


 そう、私の座る噴水のふちに、小さな白い箱が置かれていたのです。


 私は恐る恐る、その箱を手に取り中身を確認する。

 その箱の形からして、多少ではあるものの中身は見当がつきましたが。


「やっぱり。ダンゴさん、これケーキですよ。しかも誕生日ケーキみたいですね」


 どうしてこんなところにケーキが、誰かが置き忘れてしまったのでしょうか?


 だとすると大変です。


 私はキョロキョロと辺りを見回すと、ピンク色のワンピースを着た女の子と、黒と白のボーダーラインの服に短パン姿の男の子が遊んでいるのを発見。

 声を掛けてみましょう。


「すみません。あの噴水の近くで誰が座っていたか覚えていませんか?」


「しらねー」


「わたし知ってる。白い髪に眼鏡をしたおばあさんが座ってたよ。杖持って」


「本当ですか。ありがとうございます」


「ミュー!」


 置き忘れてからさほど時間が経っていなければいいのですが。


 私は二人にお礼をしてから、女の子が言っていた特徴のあるお婆さんを探しに走り出しました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ