7口目
大きな木々に囲まれた大自然。
遠くから聞こえる鳥の囀ずり、葉の間から漏れる日差し。耳をすませば川の流れる音。
今日は大都市フェノクロスから少し離れた森の中でダンゴさんと一緒に魚釣りです。
「到着ですダンゴさん。ここの川がシナギクちゃんの言ってた釣りの穴場みたいですよ」
“少しだけ”道に迷いましたが、なんとかお昼までに到着できました。
「ミュミュミュ……」
「ありがとうございます」
おそらく今のは私を褒めてくれたのだと思います。ここにたどり着けたことを。
「よ~し。では釣りますよダンゴさん!」
「ミュミュ~♪」
『チャポン……』
……あれ? チャポン? 私まだ釣竿の針にエサを付けている最中ですが?
「……ダンゴさん?」
『ブクブクブク……、バシャバシャ!』
「――――ダンゴさんがーー!」
ダンゴさん溺れてます!
見事な溺れっぷりです!
慌てて私はダンゴさんを川から救出して無事を確認。危うく流されて行くところでした……。
私の膝よりも浅い川とはいえ、体長が十センチほどのダンゴさんにとっては海みたいなもの。
「ダンゴさん、水遊びは魚釣りの後ですよ、ノリと勢いで飛び込まないでくださいよー」
「ミューー……」
ダンゴさんはすっかり参った顔で反省したみたいです。
◆
「やりましたよ、どうですかダンゴさん。“大漁”ですよ」
「……ミュミュ」
川の水を入れた水色のバケツの中には小魚が二匹。
シナギクちゃんに教えてもらった穴場だったのですが、私には魚釣りの才能は無かったようで……。
魚釣りや水遊びを終え、私とダンゴさんは森を抜けて門番さんに身分を証明してからフェノクロスへと戻りました。
あの森で今度はキノコ採りでもしたいですね。クーちゃん達も一緒に。
私は近くにあった噴水のふちに腰かけて一息をつく……と、同時にダンゴさんがある物に気づいて私に知らせてきました。
「……なんでしょう? 箱?」
そう、私の座る噴水のふちに、小さな白い箱が置かれていたのです。
私は恐る恐る、その箱を手に取り中身を確認する。
その箱の形からして、多少ではあるものの中身は見当がつきましたが。
「やっぱり。ダンゴさん、これケーキですよ。しかも誕生日ケーキみたいですね」
どうしてこんなところにケーキが、誰かが置き忘れてしまったのでしょうか?
だとすると大変です。
私はキョロキョロと辺りを見回すと、ピンク色のワンピースを着た女の子と、黒と白のボーダーラインの服に短パン姿の男の子が遊んでいるのを発見。
声を掛けてみましょう。
「すみません。あの噴水の近くで誰が座っていたか覚えていませんか?」
「しらねー」
「わたし知ってる。白い髪に眼鏡をしたおばあさんが座ってたよ。杖持って」
「本当ですか。ありがとうございます」
「ミュー!」
置き忘れてからさほど時間が経っていなければいいのですが。
私は二人にお礼をしてから、女の子が言っていた特徴のあるお婆さんを探しに走り出しました。