12口目
夜になりフクロウの鳴き声が聞こえはじめました。
ホタルが舞い、無数の宝石を散りばめたような綺麗な星空の下。
テーブルを囲むように、ルシャラちゃん手作りの四つの椅子に各自座り、紅茶を飲みながら雑談中です。
「……しかし慣れないわねソレ」
「しつこいぞクーよ。さすがの妾も怒るのじゃ」
クーちゃんが言うのも無理ありません。リボンをほどいて髪を下ろしたルシャラちゃんは見慣れませんからね。
「慣れないと言うなら、お主がヴァイオリンを弾けるというのが意外すぎて慣れんわ」
今日のキャンプでそれぞれの特技を披露するという流れになり、クーちゃんは得意のヴァイオリンを弾きました。
私はクーちゃんと幼なじみなので知っていましたが、確かに“キャラ”じゃないですよね。
「――決闘よ! ハナならともかく獣神のあんたに負けないわ」
「言うてくれるではないか、研究に明け暮れていても鈍ってはおらんぞ!」
いつの間にか、そして何故かケンカになってますし……。
「はわわわ……」
「本当に仲がいいよね二人とも」
「落ち着いてますねシナギクちゃん。先程からなにを読んでるんですか?」
これはこれは珍しい、そして難しそうな精霊文字ですね。
「これは【幻獣召喚の書】です。大丈夫。みんなの話はちゃんと聞いていたし、会話にも参加してますよ」
「シナギクちゃん召喚師でしたっけ?」
「ボク言ってなかったっけ?」
そういえば私達はよく遊んで仲良しではありますが、冒険をしてモンスターと戦うこと少なかったですからね。
平和に生きてきたことは良いことですが、案外そういったことは知らないものです。
「ミューミュ……」
「……ダンゴ君。寝てしまっておるの」
「あたし達がこんなにも騒いでいるのにスゴいわね」
起こしてはいけない、と静まり返る二人。
ダンゴさんは昼間の遺跡探検で疲れてしまい眠ってしまったようです。
「そういえばダンゴが現れてから、あたし達って前より会う機会が増えた気がするわよね」
肘をつきながら、テーブルの上で寝ているダンゴさんを見つめるクーちゃん。
「言われてみればボクもです。ウンディーネ寮のみんなと遊ばないワケではありませんが」
「妾もじゃ。次にこの島を離れて冒険するにしても船の整備が面倒じゃな」
「きっとダンゴさんは私達を引き寄せてくれる磁石みたいな存在なんですよ♪」
いまだにダンゴさんが空から降ってきた理由はわかりませんけどね。
「例え悪いわよハナ」
「ハナ殿らしいですけどね」
「じゃな♪」
『バサッ』
ここぞとばかりにルシャラちゃん。なにやらテーブルの上に大きな紙を広げました。
私はヒョイっとダンゴさんを頭の上に移動させます。
「これ地図……ですかルシャラちゃん?」
「うむ。せっかくじゃし、さっそく次の冒険場所でも決めようではないか」
「冒険って、旅行でいいじゃない」
「しかし昼間の遺跡ではつまらんかったじゃろ。ドラゴンくらいは出くわすかと思ったが」
「呪われた秘宝もありませんでした!」
「シナギクちゃんもノリノリですね。でも私も旅行のほうが、もうすぐ夏ですし海とか? みなさんの水着姿見たいですー♪」
「オヤジ臭い発言ね。まぁ薄暗い遺跡とかよりマシか」
「クーちゃんが苦手なオバケや虫もいませんしね」
「……余計なこと言わないのハナ」
「実はボク金づちなんですよね、海だと人も沢山いそうだしなぁ……」
「なら温泉はどうじゃ? 秘湯をいくつか知っとるぞ」
「いいわねルシャラ。あたし温泉巡り好きよ♪」
「夏の温泉もありですかねハナ殿」
「はい。夏でも冬でも、みなさんとなら何処でも行きたいです」
尽きることのない談笑。
しかし夜も更けていき……。
◆
「クリスマスには雪だるまですよ」
「はいはい。もういい加減寝るわよハナ」
「シナギク。ランタンじゃ」
「はい、では火を消します」
私はダンゴさんを優しく抱きしめながら、明日もまた楽しく過ごせることを思い。
それではみなさん。
「おやすみなさ~い!」
ごちそうさまでした!




