13ページ ケルンの街
どうも、ユーイだよ。
相変わらずぐだぐだなのは気にしないでね。
前回のお話~
そうだ。街に行こう。
霧が晴れたちょっぴり深い森の中を抜ける頃。
聞こえるのは、土を踏む音と鳥のさえずり。そして場違いな銃声。
「……ねぇ、何やってるの?あれ」
そばにいたリフィスにたずねてみる。
「ん、あぁあれか」
別段何でもない、といった風にリフィスは答える。
そりゃまあ、ユルグとの旅が長いから分かるんだろうけどさ。
「浄化をしているんだ」
「浄化?」
最近全然知らない単語しか聞いてないような……。
っと、それは置いておいて。
「レアルドの木は悪いマナを吸い取るのはさすがに知ってるよな」
「うん、一応」
「その悪いマナを溜めた木を浄化して、元の状態にしているって感じだ」
はぁ。なんとなく分かった気がする。
「今は神殿が壊されてるからな。全体的にバリアが少し弱くなってるわけだ」
あぁ、納得。本来は自然に浄化される筈だったのか……。
改めて、というか今初めてこの仕事はかなり重要なんだと実感した。
しばらく黙々と歩き……。
「見ろ、街だ」
いつの間にかユルグが隣に来ていた。と、同時に街に着いたことに気づく。
名前はケルンと言うらしい。
「へぇぇ……」
石畳の道路を歩きながらあちこちの家々を眺める。みんな屋根がカラフルだ。
人がいっぱいいて活気もある。流石にディルト程ではないけど。
「さて、どうする?ユーイ」
「んー、今は特に用事は無いから宿屋に行こうか」
「おう、賛成だ!」
ということで宿屋を目指すことに。
そういえば、あの子は宿屋で何とかって言ってたような……。
まぁ着けば分かることなので後回しにしよう。
掲示板の地図を覚えて道なりに進むと、宿のマークが描かれた看板が見えた。
おぉ、何かとても大きい。家が二個分ある。
感心してたら早速リフィスがドアを開けて突入していた。
呆れてため息をついたユルグの後に続いて僕も中に入る。
「こんにちは!ってあれ?あなた達は……」
あ、やっぱりいたんだ。
「う、うん、こんにちは?」
女の子はぱっと瞳を輝かせ、ぺこりと丁寧にお辞儀した。
礼儀正しくて逆に対応に困る……。
「ここで一泊したい。金はいくらだ」
おっと、ユルグが話を進めてくれた。
「いえ、代金は要りません。おじいさんの恩人ですから」
「別にそんな大それたことはしてないんだけどな」
リフィスが部屋の内装を眺めてぼやいた。僕もそう思う。
「いいんです。ですから今日はゆっくりしていって下さい」
「そこまで言うなら……」
結局説得されて、立派な部屋に案内してもらった。
あんまり広くないけどなんだかとても落ち着く場所だ。
とりあえず鎧と荷物をおろしてベッドにダイブ。
うわ、すごく久々。もう眠っちゃいそう……。
……。
※
「ちょっ、もう寝ちまったよ。ユーイ」
「野宿が続いたからな。疲れているんじゃないか?」
ユルグが机に足を投げ出しながら答える。
「それよりも、あいつが気になるな」
「ん、あの子が?まさかお前……」
リフィスは二の句を継ぐ前に顔面がめり込んでいた。
はぁ、とため息をついてユルグは話を続ける。
「杖を持っている、ということは魔法を使えるのだろう。
ここらの魔法の修行場といえば霊山だ」
何が言いたいのか閃いたリフィスは、自分の推測を口にした。
「あそこって確か賢者って呼ばれる奴がいたよな。つーことはあの子は賢者から
魔法を学んだってことか」
「ま、あくまでも可能性だがな。仲間になってくれれば心強い」
ユルグのその言葉を聞いたリフィスは目を瞬かせた。
「……おまえがそんなことを言う日が来るとは」
「俺が心配しているのはユーイだ。今のあいつではいささか心許ない。
誰かパートナーが必要だと思ってな」
「オイラ達がカバーしてやればいいじゃないのか?」
「いや、それはそうなんだがな……」
そんな会話の傍ら、ユーイは何も知らずにぐっすり眠っていたそうな。
はい、無事終わりました。
次回も話のとおり(?)です。多分。
それではっ