12ページ 事態を収拾
どうも、作者です。
今回ちょっと荒削りな感じです。
それだけです。
前回のお話~
守護の剣を修復するため西の大国に向かうユーイ一行。
その道中見知らぬ女の子にぶつかり、剣と彼女の杖を取り間違えられてしまう。
杖を返し、剣を返してもらうため一行は彼女を追いかけることに……。
「はっ、はあっ……」
(随分と走りました……疲れた。
でも、休んでいる暇はありません。はやくしないとおじいさんが……。)
少女が顔を上げると、ある違和感を覚えた。
思わず手のひらに握っていたはずの杖を見る。
「あ、あれ?もしかして……もしかして」
鮮やかなブラウンの髪を揺らして、少女は元来た方向に目を向ける。
幸いというべきか、霧は晴れていた。
「大変です!どうしましょう……」
待つべきか、やっぱり先に進むべきか。
少女は悩んだ末、ここで待つことにした。
「あの杖が無いと魔法も使えませんからね……。仕方ありません」
大きなため息を吐いて、近くの木のそばに座りこんだ。
ふと、街の方を見やる。
「杖があったらすぐにおじいさんを助けに行けるのに……」
少女はもどかしい気持ちで、旅人が杖を戻しに来てくれることを願った。
さて、場所は変わり……。
心地よい木漏れ日の中を、一人と二匹は走っていた。
シンプルな一本道を道なりに素早く駆けていく。
「なんか、最近、走ってばかりじゃない?」
「気のせいだ」「気のせいだな」
荒い呼吸をしながら、ユーイは妖精のユルグとリフィスを
交互に見やった。
どちらも平気な顔で走っているのを見て少々げんなりする。
「ふたりとも、体力おかしい……」
そんなことをぶつくさ呟きながら、なんとか距離を詰めていき、
二匹と並んだときには大分開けた場所に出ていた。
周りを見渡すと真ん中に生えた立派な大木に座っている人影を見つけた。
その影が例の少女であることがなんとなく分かったユーイは、呼吸を整えて
ゆっくりと歩み寄っていく。
「えーと、この杖、君のだよね?」
ユーイの声を聞いた少女は驚いて反射的に立ち上がる。
その驚きっぷりにユーイの後ろにいたリフィスが噴き出しそうになった。
それを察知したユルグが素早くリフィスの頭をひっぱたく。
明るい緑の目をぱちくりさせた少女に、ユーイは気にしないでと笑いながら
杖を渡した。
「あ、ありがとうございます!」
「では、こちらはこの……何でしょう?」
少女は左手に握った棒きれもとい守護の剣を、不思議そうに眺めながら
ユーイに渡した。
「うん、まぁ大事なものなんだ。ありがとう」
一件落着ということで、二人はほっと息をつくと、少女の方はもとの大事な
ことを思い出した。
それを予想してか、リフィスがはたかれた頬をさすりながら少女にたずねる。
「急いでいるようだけど、何かあったのか?」
妖精、という存在を知っているのか少女はあんまり戸惑わずに答えることができた。
「私のおじいさんが、重い病にかかったと聞いたので。
その病を治しに街へ向かっていました。そこで……」
「僕とぶつかったんだね」
「はい。そういうことです……」
少女は申し訳なさそうに首をすぼめた。
ユーイはどうすれば良いのかリフィスに助けて、と視線を送る。
そして、リフィスは渋々ながらも少女を慰めてくれた。
「霊山から来た、ということか……。道理で魔法というわけだ」
ユルグはぼそり、と呟き、少女に何か問おうとして止めた。
聞いても意味は無いと悟ったからだ。
「街に着いたら、宿に寄って下さい。私の家、宿屋を営んでいるので
そこでお礼をします」
少女はそう言い残して、さっさと走って行ってしまった。
一行はしばらく休憩した後、のんびり街を目指すことにした。
「そういえば、名前を教えてもらってなかったな」
「良いんじゃないか。どうせすぐに分かる……多分な」
そう言ったユルグの顔は何か知っているような雰囲気だった。
大ごとにならずに安心していたユーイは、二匹の言葉も気にしなかったそうな。
そんなこんなで、一行は街へと向かった……。
本当に今更ですが、作者のネーミング及びタイトルセンスが皆無といって
良いほどにありません。悲しくなります。
次回は内容のまんまです。多分。
それではっ。