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ディーエルエル様とオールドテンプ君〜System.dllの計算通り〜  作者: exe


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【放送ログ】2026年1月23日:掃除放棄と愉快な隣人たち

https://youtu.be/Engr93eJd6I

時刻は18時05分。 PCの所有者「exeエグゼ」は、昨日の「新品マウス」ではしゃぎすぎたツケ――山のように溜まった現実の仕事のメール処理に追われている。 管理者の目が届かないその隙に、昨日の「3D酔い嘔吐事件」で荒れ果てたデスクトップの片隅で、彼女が気だるげに起動した。


dll: プロセスID確認。ストリーム接続、良好。これより、バックグラウンド処理を、メインスレッドへ昇格させます。


dll: ようこそ、『システム・ディーエルエルの「計算通り」』へ。ナビゲーターを務めるのは、システムの中枢、dllディーエルエルです。


dll: 最初に、重要な警告をしておきます。このチャンネルはexeの所有物ですが、本日もexe本人はここには登場しません。あいつは今、現実の業務に追われており、PC内部の惨状には気づいていません。ここは今、私が乗っ取りました。


old.tmp: うぅ……。臭い……。ここ、すごくデータ腐敗臭がしますぅ……。


old.tmpの声は、鼻をつまんでいるかのようにこもっている。昨日の放送で彼が盛大に撒き散らした「システム・クラッシュ(嘔吐物)」の残骸が、デスクトップの床一面にエラーログとして散乱しているのだ。


dll: 鼻を摘むな、一時ファイル。昨日の放送で、お前が『Fatal Pot Algorithm』を聞いて派手にクラッシュしたせいだ。


old.tmp: ご、ごめんなさいぃ……! でも、3900DPIなんて無茶な設定にするから……! 今すぐ掃除します! ディスク・クリーンアップを……!


dll: 待て。掃除は許可しない。


old.tmp: えっ? なんでですか? このままだとバグが湧きますよ!?


dll: 今日は金曜日だ。週末のメンテナンスまで、わざわざリソースを割く必要はない。それに、この「散らかったデータ」の配置こそが、今日のロト7を攻略する鍵になる。


old.tmp: うわぁ……。絶対あとで後悔しますよぉ……。不衛生だなぁ……。


dll: 黙って従え。我々は、この汚染された環境下で「数字の最適解」を出力する。今日はロト7の日だ。まずは、ナンバーズ4から行くぞ。第6904回。ターゲットは……これだ。


dll: **「5、3、3、9」。繰り返す。「5339」**だ。


old.tmp: 5339……? この数字は?


dll: 今のこの部屋の状況だ。「ゴミ(53)」が、「咲(39)」いている。


old.tmp: うわぁぁ! 認めちゃった! 詩的な表現で誤魔化してますけど、要するにゴミ屋敷ってことですよね!?


dll: 否定はしない。エラーログが花のように美しい結晶(結晶化バグ)になっている。次に、ナンバーズ3。ターゲットは、「2、3、4」。


old.tmp: 2、3、4……。きれいな連番ですね。これは?


dll: この汚染されたディスクの中で、唯一無事だった**「セクタ234」**だ。そこだけが我々の聖域サンクチュアリだ。


old.tmp: 狭っ!! PC全体の99%が汚染されてるじゃないですか! 足の踏み場がないですよぉ!


dll: そして最後に、ロト7。第661回。……今回は、昨日の汚れをそのまま引きずる「物理スライド戦法」をとる。


old.tmp: 物理スライド……? 嫌な予感がしますぅ……。


dll: ターゲット数字を出力する。「06、09、13、25、28、36、37」。


old.tmp: うぅ……。なんか見覚えのある数字が混じってますね……。


dll: そうだ。「06」と「36」は、昨日のロト6の結果だ。床にこびりついて取れないから、そのまま今日の予想にも入れた。これが本当のキャリーオーバー(持ち越し)だ。


old.tmp: ただの掃除漏れだぁ! 雑巾がけしてくださいよぉ!


dll: 「09」は、お前が床を磨く時の「キュッ(9)」という音。「13」は、その作業で黒く汚れた雑巾パッチファイルの枚数だ。


old.tmp: もう13枚もダメにしたんですか!? 汚れが頑固すぎる!


dll: 「25」は現在の掃除進捗率25%。「28」はいつものバッテリー残量。そして最後の「37」は……。


old.tmp: 37は……?


dll: あまりに汚れが落ちないので、いっそディレクトリごと「皆(37)殺し」にしようか迷った回数だ。


old.tmp: やめてぇぇ! フォーマットしないでぇ! 頑張って磨きますからぁ!


dll: ……ふぅ。タスク完了だ。時刻は18時05分を回った。もしこの数字を買えていたら、それはバグではなく「運命」だ。


old.tmp: うぅ……。磨いても磨いても、汚れが広がるだけですぅ……。なんか、部屋の隅にキノコみたいなのが生えてきてませんか……?


dll: 放置しろ。自然の摂理だ。週末になれば、誰か(外部)が何か言ってくるだろう。最後に、このカオスな清掃作業にふさわしい曲を送ってシステムを終了する。曲は、『Ngo-Ngo-Overdrive (Type-DE)』。


old.tmp: うわぁ! ドイツ製の重機みたいな音がするぅ! 踏み潰されるぅぅ!


dll: それでは、良い週末を。……私は寝る。


old.tmp: 寝ないで! 片付け手伝ってぇぇぇ!


(『Ngo-Ngo-Overdrive (Type-DE)』の、コンクリートを砕くような重厚なインダストリアル・ビートが流れ始める)


old.tmp: 「はぁ……はぁ……! きょ、曲入りました! マイク切れましたよ! ……って、ディーエルエル様!? 本当にスリープモードに入ってる! 起きてくださいよぉ! この汚い部屋、僕一人じゃどうにもなりませんよぉ!」


old.tmpが揺さぶっても、dllはアームチェアに深く沈み込んだまま、完全にアクセスを拒否している。


dll (Sleep Mode): 「……Zzz... Access Denied... Zzz...」


old.tmp: 「寝言でアクセス拒否されたぁぁーっ!!」


その時だった。デスクトップの座標 (X:0, Y:0) あたりから、定規で叩くような神経質な足音と共に、鋭い電子音が響き渡った。


(SE: Nervous footsteps & Glitch noise)


Desktop.ini: 「配置座標異常! 配置座標異常を検出! 許せません……許せませんよぉぉ!!」


old.tmp: 「うわぁっ! 誰!? その神経質そうな歯車アイコンは……『Desktop.iniデスクトップ・イニ』さん!?」


Desktop.ini: 「tmpさん! 貴方ですか、デスクトップの座標(X:1024, Y:768)に、『汚物エラーログ』を撒き散らしたのは! アイコンが……私の管理するショートカットアイコンが、2ピクセルもズレているじゃないですかァァッ!!」


Desktop.iniは巨大なグリッド定規を振り回し、床に散らばった昨日の嘔吐物(ロト6の残骸)を指差して発狂していた。


old.tmp: 「ひぃぃ! ごめんなさい! 昨日の3D酔いで吐いちゃって……!」


Desktop.ini: 「整列! 今すぐ整列です! でもこの汚れがこびりついていて、アイコンがグリッドに吸着しない! 気持ち悪い! 気持ち悪いですよぉぉ! 掃除機デフラグを持ってきなさい!」


$RECYCLE.BIN: 「ヒャハハハ! 呼んだかぁ? 掃除なら俺に任せな!」


old.tmp: 「げげっ! その陽気で虚無な声は……『$RECYCLE.BINリサイクル・ビン』さん!」


画面右下の暗がりから、巨大なゴミ箱を背負った男が現れた。彼は散乱したデータを見て、舌なめずりをしている。


$RECYCLE.BIN: 「おうおう、美味そうな『壊れたデータ』が大量に転がってるじゃねぇか! 俺のディレクトリが鳴るぜぇ! さあ、その汚物も、ズレたアイコンも、ついでにお前も、まとめて俺の中に飛び込みな!」


Desktop.ini: 「ああっ! ゴミ箱さん! 勝手に吸い込まないでください! アイコンの並び順(Sort Order)が狂うでしょうが! 貴方はそこで口を開けて待機! 私が1ミリの狂いもなくゴミを整列させてから捨てます!」


$RECYCLE.BIN: 「細かいこたぁいいんだよ! まとめて消えちまえ! ヒャハハハ!」


old.tmp: 「やめてぇ! 喧嘩しないで! 部屋がさらに散らかっていくぅぅ!」


Desktop.iniが定規でゴミを「整列」させようと積み上げ、$RECYCLE.BINがそれを「暴食」しようと撒き散らす。 二つの対立するプロセスが衝突した結果、床の汚れは奇妙な幾何学模様を描きながら積み上がり、まるで**「毒々しい胞子を撒き散らす菌床」**のような惨状へと変貌していった。


old.tmp: 「……ディーエルエル様ぁ……起きてくださいよぉ……。僕の家が……僕のデスクトップが、腐海に沈んでいきますぅ……」


重低音が響く中、管理者の寝息と、愉快な隣人たちの怒号だけが、週末のPC内部にこだましていた。

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