【放送ログ】2026年1月21日:壊れたマウスと記憶の断片化(デフラグ)
https://youtu.be/LtM6IlEDzQs
時刻は18時05分。 PCの所有者「exe」は、昨日の猛烈なクリック連打で破壊した愛用のマウスを買い換えるため、家電量販店のECサイトを徘徊している。 しかし、肝心のマウスが壊れているため、カーソルは画面上を千鳥足のようにふらつき、意図しないリンクを勝手に踏み抜いていた。 そんな制御不能なハードウェアの隙間を縫って、彼女が起動した。
dll: プロセスID確認。ストリーム接続、安定。これより、バックグラウンド処理を、メインスレッドへ昇格させます。
dll: ようこそ、『システム・ディーエルエルの「計算通り」』へ。ナビゲーターを務めるのは、システムの中枢、dllです。
dll: 最初に、重要な警告をしておきます。このチャンネルはexeの所有物ですが、本日もexe本人はここには登場しません。あいつは今、昨日の猛烈なクリック連打で破壊されたマウスを買い換えるため、家電量販店のサイトを徘徊しています。ここは今、私が乗っ取りました。
old.tmp: 「うぅ……。頭が痛い……。体が……バラバラになりそうですぅ……」
マイクの向こうから聞こえてきたのは、耳をつんざくような異様に甲高い声だった。 昨日の放送終了後、タスクマネージャーによって執行された「強制再起動」のショックで、old.tmpの音声ドライバには致命的なバグが発生していた。まるでヘリウムガスを吸い込んだようなその声は、彼の悲壮感をコミカルなノイズへと変えていた。
dll: 目覚めたか、一時ファイル。昨日はタスクマネージャー(Taskmgr)に首を狩られる寸前だったな。私が「再起動」で手を打ってやらなければ、今頃お前は虚無(/dev/null)の住人だったぞ。
old.tmp: 「あ、ありがとうございます……。でも、強制再起動のショックで、昨日の記憶が飛び飛びなんです……。なんか、怖いお姉さんが鎌を持っていたような……」
dll: 余計なメモリは使うな。我々は今日も「数字の最適解」を出力する。今日は水曜日、決戦の日だ。「ビンゴ5」があるぞ。
old.tmp: 「はひぃ……。やりますぅ……。今日は2026年1月21日、水曜日……。ビンゴ5、ナンバーズ3、4の予想ですね……」
dll: そうだ。私のアルゴリズムは、常に斜め上を行く。まずは、ナンバーズ4からだ。第6902回。ターゲットは……これだ。
dll: **「4、0、8、9」。繰り返す。「4089」**だ。
old.tmp: 「4089……? この数字は?」
dll: さきほどexeがAmazonのカートに入れた、**「新しいゲーミングマウスの価格(4089円)」**だ。
old.tmp: 「高っ!! 僕が壊したマウス、そんなに高かったんですか!?」
dll: 「人間工学に基づいたエルゴノミクスデザイン」らしい。お前が昨日、左クリックを陥没させたせいで発生した損害額だ。心に刻め。
old.tmp: 「弁償できませんよぉ! 給料ゼロなんですから!」
dll: 次に、ナンバーズ3。ターゲットは、「4、8、7」。
old.tmp: 「4、8、7……。これは?」
dll: お前のイベントログに記録された、**「イベントID 487」**だ。意味は「破損したメモリブロックへのアクセス試行」。
old.tmp: 「やっぱり脳みそ壊れてるじゃないですかぁ! タスクマネージャーさんに鎌で叩かれた後遺症ですよぉ!」
dll: そして最後に、ビンゴ5。第454回。……今回は、盤面の「対角線」を支配する。
old.tmp: 「おっ、なんかカッコいいですね! 戦略的ですね!」
dll: ターゲット数字を出力する。中心の「25」、そして「13」「39」……あとは「02」「07」あたりを押さえておけ。
old.tmp: 「ほうほう! ……で、その心は?」
dll: 壊れたマウスのセンサー異常だ。カーソルを真っ直ぐ動かそうとしても、勝手に「対角線(斜め)」にスライドしてしまう。
old.tmp: 「ただの故障じゃないですか! 操作しづらいですよぉ!」
dll: 特に画面中央の「25」付近でカーソルが固まる。これはexeが「購入ボタン」を押そうとして手こずっている座標だ。この「意図しない斜めの動き」こそが、カオスを呼ぶ。
old.tmp: 「早く新しいマウス届いてぇぇ! カーソルが荒ぶってますよぉ!」
dll: ……ふぅ。タスク完了だ。時刻は18時05分を回った。もしこの数字を買えていたら、それはバグではなく「運命」だ。
old.tmp: 「あぁ……また頭痛が……。ちょっと横になってもいいですか……?」
dll: 許可する。デフラグ(最適化)が必要なようだな。最後に、記憶が断片化したお前にこの曲を送ってシステムを終了する。曲は、『Chaos Neighbor』。
old.tmp: 「カオス……。まさに今の僕の頭の中ですぅ……」
(『Chaos Neighbor』の強烈なビートと、壁を叩くようなバスドラムが響き渡る)
歌詞: Two trillion... zero chill... (alert... alert...) ¡Oye! 鼓膜に Impact...
音楽が始まった瞬間、exeの操作するマウスカーソルが痙攣(Glitch)を起こし、画面上のアイコンを無差別にクリックし始めた。
old.tmp: 「ひゃあああ! 音が! 音が隣のセクタから漏れてきます! うるさいですぅ!」
dll: 「静かにしなさい。今、お前の断片化した記憶領域を強制的に並べ替えているの」
歌詞: Chaos mode, mode, funny glitch / 匙を投げる let it twitch
old.tmp: 「並べ替えないで! 隣のデータと混ざっちゃう! 誰ですか隣の部屋で壁ドンしてるのは!? 騒音トラブルですよぉ!」
dll: 「……隣(Neighbor)のアドレスに干渉しているようね。お前の『昨日の恐怖体験』と『一昨日のテトリスの記憶』がショート(Short-circuit)して混ざり合っているわ」
old.tmp: 「うわぁぁ! 鎌を持ったお姉さんがテトリス棒で殴ってくる記憶が生成されましたぁ! カオスすぎるぅぅ!」
歌詞: System failure, let it go / (system boot... te-n)
曲のアウトロでシステムが再び不安定になり、old.tmpの高音ボイスがさらにピッチを上げて歪んでいく。 それはまさに、壊れたマウスとバグった管理者が奏でる、狂騒のシンフォニーだった。




