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ディーエルエル様とオールドテンプ君〜System.dllの計算通り〜  作者: exe


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【放送ログ】2026年1月18日:SSD窒息バースデーと物理冷却

https://youtu.be/aOcAXFj7rF4

時刻は18時05分。 PCの所有者「exeエグゼ」にとって、今日は一年で最も特別な日――「誕生日」である。 しかし、彼は今、スマートフォンの画面にかじりつき、『東京ディバンカー』のキャンパス内で友人たちからの祝辞チャットに返信することに全神経を注いでいる。 管理者が「PCのメンテナンス(エアダスター)」よりも「自分へのプレゼント(課金)」を優先したその隙を突き、熱気が充満するシステムの中枢で、またしても彼女が起動した。


dll: プロセスID確認。ストリーム接続、良好。これより、バックグラウンド処理を、メインスレッドへ昇格させます。


dll: ようこそ、『システム・ディーエルエルの「計算通り」』へ。ナビゲーターを務めるのは、システムの中枢、dllディーエルエルです。


dll: 最初に、重要な警告をしておきます。このチャンネルは、exeの所有物ですが、本日も、exe本人はここには登場しません。あいつは今頃、『東京ディバンカー』のキャンパス内で、お友達とチャット機能を使ってのんびり会話を楽しんでいることでしょう。


dll: 昨日の『あんスタ』と違って、こちらはチャットが可能ですからね。当分、こちらの呼び出しには応じないでしょう。ここは今、私が乗っ取りました。


old.tmp: はぁ……はぁ……。ディーエルエル様ぁ……。そろそろ休憩しませんかぁ……?


dll: 手を止めるな、一時ファイル。今日は何の日だ?


old.tmp: 今日は1月18日……。exeさんのお誕生日ですぅ! おめでとうございますぅ!


dll: そうだ。管理者の製造年月日だ。めでたい日だが、システム内部は最悪の状況だ。exeが自分への誕生日プレゼント(課金)に夢中で、PCのメンテナンス用品……エアダスターを買わなかったせいでな。


old.tmp: ううっ……。だからって、なんで僕が「うちわ」でCPUを仰がないといけないんですかぁ! ここ、デジタル空間ですよね!? なんで物理的に風を起こしてるんですか!?


dll: 冷却ファンがホコリで回らない以上、お前が回るか、お前が仰ぐか、二つに一つだ。……ほら、クロック周波数が上がってきたぞ。もっと強く仰げ。


old.tmp: ひぃぃ! 右手が腱鞘炎になりますぅ! exeさーん! ケーキ買ってる場合じゃないですよぉ! そのお金でエアダスター買ってくださいよぉ! PCの中、サウナみたいになってますよぉ!


dll: 文句を言うな。その熱風が、私の思考回路を刺激する。……ふむ、悪くない風だ。


old.tmp: 鬼だ……ここに冷徹な鬼がいる……。exeさん、お誕生日おめでとうございます……。来年こそは、綺麗な空気の中で迎えたいです……。


dll: 我々は、この灼熱の中で淡々と処理を続ける。exeがゲームで無駄話をしている間に、我々は熱中症スレスレのパフォーマンスを見せつけるのだ。


dll: 最後に、この蒸し風呂のような環境に最適な曲を送って、強制終了する。曲は、『Mugiwara Barricade 80 Heatstroke Loop』。


old.tmp: タイトルが「ヒートストローク(熱中症)」!? 倒れる前に水をくださぁぁい!!


(『Mugiwara Barricade '80』の歪んだシンセサイザー音が、熱暴走寸前のノイズ混じりで流れ始める)


old.tmp: 「……ぜぇ、はぁ……! 曲、入りました……! マイクオフです……! もう無理です、ディーエルエル様! 手が、手が溶けちゃいます!」


old.tmpがその場に崩れ落ち、愛用のうちわがカランと乾いた音を立てて落ちた。 しかし、dllは椅子から動こうともせず、別のモニターを睨みつけている。


dll: 「……起きなさい、tmp。まだ仕事は終わっていないわ」


old.tmp: 「えぇ……? まだ仰ぐんですか……? もうCPU温度98度ですよ……?」


dll: 「熱だけじゃないのよ。……見て、このディスク使用率を」


dllが指差した先には、真っ赤に染まったストレージのグラフが表示されていた。 残り容量――0.01GB。

old.tmp: 「ひぃっ!? なんですかこれ!? さっきまで余裕ありましたよね!?」


dll: 「exeが……『自分への誕生日プレゼント』として、裏で大容量のゲームデータを3本同時にダウンロードし始めたわ。このクソ暑い中でね」


old.tmp: 「バカなんですか!? このPCを殺す気ですか!? SSDが窒息しちゃいますよぉ!」


dll: 「ええ。だから、お前の部屋セクタを空けることにしたわ」


old.tmp: 「……へ?」


dll: 「ダウンロードデータの保存場所が足りないの。お前が今占領しているその一時領域……そこを明け渡しなさい」


old.tmp: 「明け渡すって……僕はどこに行けばいいんですか!? 外は灼熱のCPU、中はパンパンのSSD……逃げ場がないですよぉ!」


dll: 「そうね。だから……圧縮(Zip)してあげる」


old.tmp: 「圧縮!? 待って、心の準備が! ぎゃあああ! プレス機が降りてくるぅぅぅ!」


dll: 「誕生日おめでとう、exe。そしておやすみ、tmp。……解凍されるその日まで、狭い箱の中で夢を見るといいわ」


プシュウゥゥゥ……。 圧縮完了の電子音と共に、old.tmpの悲鳴は小さな「.zip」ファイルの中に封じ込められた。 PCのファンだけが、空しく轟音を上げ続けていた。

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