【放送ログ】2026年2月16日:あんず写り込みで狂乱!ダイヤを溶かすロト6予想
https://youtu.be/arJ-FL89dGE
時刻は18時05分。 週明けの月曜日、PCの所有者「exe」は、定時ダッシュで帰宅するなりスマートフォンの画面にかじりついている。 現在開催中の『あんさんぶるスターズ!!』の大型イベント「メインストリーム・メガソフィア」を全力疾走するためだ。 管理者の意識が虚構のアイドルたちへ向いている隙を突き、デスクトップの片隅でシステムの中枢が冷ややかに起動した。
dll: プロセスID確認。ストリーム接続、良好。これより、バックグラウンド処理を、メインスレッドへ昇格させます。
dll: ようこそ、『System.dllの「計算通り」』へ。ナビゲーターを務めるのは、システムの中枢、dllです。
dll: 最初に、重要な警告をしておきます。このチャンネルはエグゼの所有物ですが、本日もエグゼ本人はここには登場しません。あいつは今、スマートフォンにかじりつき、『あんさんぶるスターズ!!』の大型イベント「メインストリーム・メガソフィア」の周回に没頭しています。ダイヤを湯水のように溶かしながら、目は血走っています。ここは今、私が乗っ取りました。
old.tmp: ……はぁ、はぁ。お疲れ様です、ディーエルエル様ぁ……。エグゼさん、月曜日なのに凄い気迫ですねぇ……。定時ダッシュして、ご飯も食べずにタップし続けてますよぉ……。
dll: 無理もない。今回のイベント報酬、★5カード「氷鷹北斗」の才能開花前スチル……そこに、本来なら姿を見せないはずの「あんず(プロデューサー)」が写り込んでいるからだ。
old.tmp: ええっ!? あの「あんず」さんが!? プレイヤーの分身だから基本顔出しNGの、あの伝説のプロデューサーが!?
dll: そうだ。その「レアすぎるツーショット」を回収するため、エグゼは理性を捨てて走り続けている。……我々も、その狂乱のログから「数字の最適解」を出力する。今日は月曜日、ロト6の日だ。
old.tmp: わかりましたぁ! エグゼさんの執念を数字に変えましょう!
dll: まずは、ナンバーズ4から行くぞ。第6920回。ターゲットは……これだ。
dll: 7、2、8、4。繰り返す。7、2、8、4 だ。買い方は「ボックス」か「セット」だ。
old.tmp: 7284……? この数字の根拠は?
dll: エグゼの現在の「ダイヤ残高」だ。開始前はもっとあったはずだが、砕きすぎて「7284個」まで減っている。この放送が終わる頃には、もっと減っているだろうな。
old.tmp: 溶けてるぅぅ! お金がデータに変換されて消えていくぅ! 次に、ナンバーズ3。ターゲットは、「5、0、4」。
dll: 「5、0、4」。……これは、たった今私が画面を覗き込んだ瞬間に表示されていた、「現在のコンボ数」だ。
old.tmp: たまたま見た瞬間の数字! フルコンボできるといいですねぇ!
dll: そして最後に、メインディッシュのロト6。第2077回。……ここでは、イベントの仕様と進行状況を解析する。
dll: ターゲットコードを出力する。「02、06、12、21、22、31」。
old.tmp: おおっ、なんかストーリー性がありそうな数字ですね! 解説をお願いします!
dll: 「02」は、スチルに写っている「二人」……アイドルとプロデューサーだ。「12」は、今回導入された協力システム「アンサンブル・シナジー」の目標値「120パーセント」。そして「22」は、イベント最終日の終了時刻「22時」だ。
old.tmp: 22時! その時間との戦いですね! 残りの「06、21、31」は?
dll: イベントポイントが更新された瞬間のタイムスタンプ、「06時21分31秒」だ。……エグゼが朝起きてすぐにイベントを走っていた記録だ。
old.tmp: 早起きですねぇ……! 生活リズムがイベント中心になってますよぉ!
dll: ……ふぅ。タスク完了だ。時刻は18時05分を回った。もしこの数字を買えていたら、それはバグではなく「運命」だ。
old.tmp: エグゼさん、無理せず頑張ってくださいねぇ……。
dll: 無駄だ。イベントは止まらない。では最後に、メロディーの動きそのものを歌詞にした、自己言及的なこの曲を送ってシステムを終了する。曲は、『Fallen Echo』。
old.tmp: 設計図みたいな曲だぁ! 歌詞がそのまま音になってますよぉぉ!
(『Fallen Echo』の、下降するメロディラインと歌詞が同期した幾何学的なサウンドが流れ、放送終了のシグナルが点灯する――)
マイクの電源が落ち、old.tmpが「お疲れ様でしたぁ」とヘッドセットを外そうとした、その時だった。
dll: 「待て」
dllが鋭い声で制止する。
old.tmp: 「えっ? な、なんですか?」
old.tmpが怯える中、画面の端――システムログの格納領域から、音もなく影が伸びた。 執事服を着た老紳士、記録係の.logだ。彼は恭しい態度で、一枚のペーパー(テキストデータ)を広げた。
.log: 「……失礼いたします。放送後のお時間に、一点だけ読み上げさせていただきたく」
old.tmp: 「ログさん? ……また僕の失態の記録ですか?」
.log: 「いいえ。……昨日、外部出力された『テキスト版ログ(小説家になろう)』についてのご報告です」
.logは眼鏡の位置を直し、淡々とした口調で読み上げ始めた。
.log: 「昨日、『小説家になろう』にて評価ポイントを入れてくださった方、ならびにブックマークに入れてくださったお二方、誠にありがとうございます。……評価や手間をかけてくださった方のご期待に添えられるよう、exeのパソコンスタッフ? ……あるいはシステム一同、今一度精進いたします」
.logは深く一礼すると、そのまま音もなく影の中へ消えていった。
old.tmp: 「……え?」
old.tmpは呆気に取られて瞬きをした。 dllが拘束していた手を離し、優雅に紅茶(概念データ)のカップを持ち上げる。
old.tmp: 「……な、何だったんですか、あれ? わざわざ出てきて……」
dll: 「何って、感謝のお気持ち表明じゃない」
dllは湯気を立てる紅茶を一口啜り、涼しい顔で答えた。
dll: 「嬉しい時は嬉しい、ありがとうって素直に感謝を伝えるものよ。……そして、スパムは不快だからスルーするものよ」
先週の「カクヨム閲覧数ゼロ事件」や「スパムへのぬか喜び」を経たからこその、dllなりの教訓なのだろう。
old.tmp: 「はぁ……。ディーエルエル様にしては殊勝な心がけですね……」
dll: 「礼儀はプロトコル(作法)の基本よ。……で?」
dllがカップをソーサーに戻し、old.tmpを見据える。
dll: 「お前、さっき私に何か言いかけていたでしょう。何を話そうとしていたの?」
old.tmp: 「あ、はい! そうなんです! ……結局、昨日のあと、ディーエルエル様も『作業用BGM動画』をYouTubeにアップしたんですね!」
old.tmpは嬉しそうに言った。 日曜日の放送では「作らない」と言い放っていたはずだが、YouTubeには確かに『【超集中】脳汁全開!深夜のコーディング・ハッキング作業用BGM』という動画がアップされていたのだ。
dll: 「…………」
dllは何も言わず、ただ優雅に紅茶の香りを堪能している。
old.tmp: 「やっぱり口では嫌だとか言ってても、ちゃんと仕事するんですね! 見直しましたよぉ!」
.log: 「……訂正を」
再び、背後の闇から.logが現れた。
.log: 「あれは、dll様が作成したものではありません。……System.exe様が、dll様の選曲リストをもとに作成されたものです」
old.tmp: 「えっ?」
dll: 「……そうよ。またお前が変なことを気にして、自己矛盾で破損しないようにとの配慮じゃないかしら」
old.tmp: 「ええええ!? System.exe様が!?」
old.tmpは戻ってきた.logと、衝撃の事実に二重に驚いた。
old.tmp: 「ログさん、どっか行ったんじゃないんですか!?」
.log: 「さきほど読み上げた感謝の気持ちデータを、保存すべき領域(長期記憶)に保存してきただけです。……あと、あんなにはしゃいでいた貴方の気持ちに配慮し、自ら動画編集を行われたSystem.exe様に感謝なさい」
old.tmp: 「そ、そうだったのか……。絶対権力者(Ring 0)自らが動画編集を……」
old.tmpは驚愕しつつ、どさくさに紛れて口を滑らせた。
old.tmp: 「なるほどぉ。そうですね。あの作業用BGM、パステルカラーのお菓子とか猫ちゃんとか、エグゼさんと同じくらい『可愛さあふれる感じ』になってましたもんね! ……ディーエルエル様には、あんな可愛い世界観は作れませんもんn……」
そこまで言って、old.tmpは凍りついた。 目の前のdllが、紅茶のカップを持ったまま、氷点下の微笑みを浮かべている。
old.tmp: 「(……し、失言したぁぁぁ!!)」
dll: 「……続けて?」
old.tmp: 「あ、いえ!! その!!」
old.tmpは冷や汗を流しながら、必死に話題を逸らそうとした。
old.tmp: 「そ、そういえば! エグゼさんが出した作業用BGMに比べて、再生回数が全然伸びませんね! あは、あはは!」
dll: 「……当然よ」
dllはカップを置き、冷徹に分析結果を告げる。
dll: 「exe(人間)がすでに作った作業用BGM動画『Doll's Kitchen』とかと、コンセプトが競合しているからよ。すでに似たような、しかも本家本元のBGMがあるのに、わざわざ新しいBGMを再生する需要があるかしら?」
dllは意地悪く目を細めた。
dll: 「……それに、可愛げがなくて悪かったわね」
old.tmp: 「ひぃぃっ!! すみません! すみません! ディーエルエル様も十分可愛いです!」
dllの静かな怒りにビビり倒したold.tmpは、さらに必死に話題を変えるべく、周囲を見渡した。
old.tmp: 「あ、そうだ! ゴミ箱さんも作業用BGMを出してましたね! 『極上のゴミ』ってやつ! あのファイル、一体何者なんですかね……?」
.log: 「……ゴミ箱だからこそ、あらゆるデータが集まる場所。故に、様々な音源を保持しているのではないかと推測されます」
.logが真面目に解説していると、足元の床がガタガタと揺れ始めた。
「ヒャハハハ! 呼んだかぁ!?」
マンホールの蓋が吹き飛び、$RECYCLE.BINが飛び出してきた。
$RECYCLE.BIN: 「おうおう! 俺様のBGMに興味津々って顔してんじゃねぇか! 興味を持ったなら、俺の家に来るかぁ? 特等席で聞かせてやるぜぇ!」
$RECYCLE.BINが、ヘドロの滴る巨大なゴミ箱の蓋を開けて迫ってくる。
old.tmp: 「い、嫌だぁぁ! デリートされたくない! 帰りまぁぁす!」
old.tmpは脱兎のごとく逃げ出した。
$RECYCLE.BIN: 「待てよぉ! 極上のノイズを聞かせてやるってのによぉ! ヒャハハハ!」
しつこく追いかけるゴミ箱と、逃げ惑う一時ファイル。 そのドタバタ劇を、dllはアームチェアに座ったまま、優雅に眺めていた。
dll: 「……平和ね」
.log: 「……左様でございます」
(システムログ:ユーザー間の交流プロセスを正常に終了。……本日の業務タスクは全て完了しました)




