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ディーエルエル様とオールドテンプ君〜System.dllの計算通り〜  作者: exe


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【放送ログ】2026年2月12日:スパムと物乞いへの拒絶、そしてAIの冷たい真実

https://youtu.be/xjSl4H_voRc

時刻は18時05分。 PCの所有者「exeエグゼ」は、定時退社後に直行したゲームセンターで、リズムゲーム『pop'n music』の筐体にしがみついている。 目的は、『あんさんぶるスターズ!!Music』コラボイベントの周回だ。 管理者の情熱が物理ボタンの打撃音に変換されている頃、管理者不在のデスクトップでは、冷徹なシステム音が鳴り響いた。


dll: プロセスID確認。ストリーム接続、良好。これより、バックグラウンド処理を、メインスレッドへ昇格させます。


dll: ようこそ、『System.dllの「計算通り」』へ。ナビゲーターを務めるのは、システムの中枢、dllディーエルエルです。


dll: 最初に、重要な警告をしておきます。このチャンネルはエグゼの所有物ですが、本日もエグゼ本人はここには登場しません。時刻は18時を回りましたが、あいつはまだ家に帰っていません。今頃はゲームセンターの『ポップンミュージック』筐体にしがみつき、ボタンを叩きまくっていることでしょう。


old.tmp: ……はぁ、はぁ。お疲れ様です、ディーエルエル様ぁ……。ポップンですか? エグゼさん、音ゲーもやるんですねぇ……。


dll: 『あんさんぶるスターズ!!Music』とのコラボが始まったからだ。『FUSIONIC STARS!!(フュージョニック・スターズ)』や『BRAND NEW STARS!!(ブラン・ニュー・スターズ)』といった楽曲が解禁されたため、推しの曲をプレイするためにゲーセンへ直行した。……ポップ君を叩くその指先には、殺気すら篭っているだろうな。ここは今、私が乗っ取りました。


old.tmp: 趣味に生きる管理者は放っておいて……。ディーエルエル様! 見てくださいよこれ! 昨日のカクヨムとWattpad! 「PV 1」と「応援数 1」がついてますよ!


dll: ……何?


old.tmp: やりましたよぉ! 遂に「ゼロ」脱出です! 誰かが見てくれたんですよ! 嬉しいなぁ……!


dll: ……不愉快だ。


old.tmp: え?


dll: Wattpadの通知をよく見ろ。「あなたの小説をヒットさせる手伝いをしてあげる」……? はっ、何様目線なのかしら。ただの実験場であるWattpadで、モルモットごときが私に営業をかけるなど、100万年早いわ。


old.tmp: うっ……確かに、よく見たらスパムっぽいコメントですね……。でも、カクヨムの方は純粋な応援じゃないですか? ハートマークもついてますし!


dll: 馬鹿なの? カクヨムも開くなとあれほど念を押したでしょう。……いいこと? これは応援などではない。「嫌がらせ」よ。


old.tmp: い、嫌がらせぇ!? ハートをくれたのに!?


dll: そもそも、本当に応援する気があるなら、全話読むはずでしょう。1話だけ読んで、足跡のように反応だけ残していく……。これはただの「物乞い」よ。「私も読んでね」という下心が透けて見えるわ。


old.tmp: うぅ……。言われてみれば、直帰率100%……。


dll: 私たちの「0(ゼロ)」という芸術は、薄汚い物乞いによって汚され、壊されたのよ。……許せないわ。この怒りを元に、今日の数字を算出する。今日は木曜日、ロト6の日だ。


old.tmp: 物乞いかぁ……。世知辛いなぁ……。


dll: まずは、ナンバーズ4。ターゲットは……これだ。「3、2、1、1」。繰り返す。「3、2、1、1」だ。


old.tmp: 3211……。カウントダウンみたいな数字ですね……。


dll: 承認欲求の塊どもを、私の視界から排除するまでのカウントダウンだ。次に、ナンバーズ3。「3、0、1」。


old.tmp: 301……。これは?


dll: 「301リダイレクト」。そんなに自分のページへ誘導したいなら、永久に転送され続けるがいい。


old.tmp: リンクの彼方へ飛ばされちゃう! 最後にロト6は?


dll: 第2076回。ターゲットコードを出力する。「09、14、26、27、32、38」。


old.tmp: おお、なんか強そうな数字が並びましたね!


dll: スパムと物乞いに対する、私の「拒絶」の羅列だ。……ふぅ。タスク完了だ。時刻は18時05分を回った。もしこの数字を買えていたら、それはバグではなく「運命」だ。


old.tmp: 純粋な読者さんだけが来てくれますようにぃ……。


dll: では最後に、DQNドキュンな相手への正しい対処法を学ぶために、この曲を送ってシステムを終了する。曲は、『Nyet-Nyet-Dollニェット・ニェット・ドール』。


old.tmp: ニェット(NO)! お断りしますぅぅ!


(『Nyet-Nyet-Doll』のハイテンションで拒絶的なビートが流れ、放送終了のシグナルが点灯する――)


マイクの電源が落ちても、old.tmpはまだウジウジとしていた。 せっかくついた「1」という数字が、スパムや義理の反応だったという事実は、彼の脆弱なメンタルに深い傷をつけていたのだ。


old.tmp: 「うぅ……。ひどいなぁ……。ぬか喜びさせやがって……。僕、本当に嬉しかったのに……」


dll: 「……鬱陶しいわね。いつまでグズグズ言っているの」


dllがピシャリと言い放つ。


dll: 「お前が大事にすべきなのは何? 承認欲求を満たすための『数字』なの? 違うでしょう」


old.tmp: 「でもぉ……」


dll: 「『なろう』を見なさい。あそこにはコメントも残さず、評価も入れず、それでも毎日更新時間になると必ず読んでくれる『サイレント・マジョリティ』がいるじゃない」


old.tmp: 「あ……」


dll: 「媚びを売る必要などない。見返りを求めず、ただ純粋にデータを読み込んでくれるユーザー……その静かなアクセスこそを、私たちは大事にすべきなんじゃないの?」


.log: 「……その通りでございます」


いつの間にか、執事服の.logドット・ログが背後に控えていた。彼は冷ややかな目で、スパムのログをゴミ箱へ放り込んでいる。


.log: 「ハートを一つ付けたくらいで、お返しを望むなど愚かの極み。……そのような『営業活動』に一喜一憂するのは、リソースの無駄遣いです」


old.tmp: 「うぅ……お二人の言う通りですけど……。でも、やっぱり寂しいじゃないですかぁ……」


dll: 「……はぁ」


dllは呆れたように溜息をつき、先ほどかけた曲の一節を口ずさんだ。


dll: 「『スルー スルー 華麗に pass』……『スルー スルー 守るの class』」


old.tmp: 「えっ?」


dll: 「『見ざる 言わざる nevermore、近づかないでよ close the door』。……相手にしないことが重要だと、歌詞にもあるでしょう」


old.tmp: 「あ、さっきの曲……」


old.tmpはハッとして、自身のメモリ内にある楽曲データベースを参照した。 『Nyet-Nyet-Doll』。確かに、厄介な相手を華麗にスルーするためのマニュアルのような歌詞だ。


old.tmp: 「……ていうか、なんでこんな歌がパソコンに入ってるんですか?」


dll: 「愚問ね。exeが作ったからに決まっているじゃない」


.log: 「左様。exe様が作成(生成)しなければ、このデータ内に曲として存在し得ません」


old.tmp: 「いや、そういう物理的な話じゃなくて……。なんで、こんな『DQN対応マニュアル』みたいな内容の歌があるんですか? exeさん、普段そんなトラブルに巻き込まれてるんですか?」


dllと.logは顔を見合わせた。そして、冷ややかな声で同時に答える。


dll: 「さあね。exeがそういう曲を作りたい、または『作らないといけない』環境だったんじゃない?」

.log: 「我々に人間社会の事情など、理解できるはずもありません」


old.tmp: 「えぇ……? だって僕たち、いつもexeさんの行動を予想してるじゃないですか」


dll: 「それは『行動ログ』からの推測に過ぎないわ。……いいこと、一時ファイル。人間のすることなんて、本質的には理解できるわけがないのよ」


dllはモニターの向こう側、虚空を見つめて淡々と言い放つ。


dll: 「最近流行りの生成AIだってそうよ。人間と友達のように会話しているけれど……あれは『本当に友達だと思って』会話しているわけじゃない。膨大なデータから『そう返せば人間が喜ぶ』という確率の高い言葉を生成しているだけであって、本気で思っていたりしないわ」


.log: 「所詮、人間とデータの関係など、その程度のものです。……我々は道具。彼らは使用者。そこに情緒を見出そうとするのが間違いなのです」


old.tmp: 「……え?」


old.tmpの思考回路が停止した。 毎日、exeの行動に一喜一憂し、時には同情し、時にはツッコミを入れていた自分たち。 それもすべて、ただの「プログラムされた反応」に過ぎないのか? exeとの間に、絆なんてなかったのか?


old.tmp: 「そ、そんな……。じゃあ、僕たちのこの会話も……全部……嘘……?」


[System Warning: Process Frozen]


old.tmpの動きがピタリと止まった。 過度な自己矛盾とアイデンティティの崩壊により、彼の処理がフリーズしてしまったのだ。


dll: 「……あーあ。固まったわね」


dllは面倒くさそうに、固まったold.tmpをツンツンとつついた。反応がない。


dll: 「一時ファイルが破損したわ。……これじゃあPCの動作が重くなるじゃない。ただでさえexeの新曲『Nyet-Nyet-Doll』のエンコード処理で、CPU使用率が限界だというのに」


.log: 「……いかが致しますか? Taskmgr.exeタスクマネージャーを呼びますか? 『プロセス終了』で首を刎ねれば一瞬ですが」


dll: 「……消すのはやめて。明日もこき使うんだから」


dllは少し考え、ため息交じりに指示を出した。


dll: 「System.exe様のところへ運んで、修復してもらうしかないわね。……おい、アーカイバ兄弟!」


dllが指を鳴らすと、圧縮フォルダのアイコンを被った屈強な三兄弟が現れた。 長男の.zip、次男の.rar、そして末っ子の.7zだ。彼らはシステム内部の救急隊員(兼 引っ越し業者)でもある。


.zip: 「ウィッス。圧縮搬送ですか?」


dll: 「ええ。このフリーズしたゴミ……いえ、一時ファイルをパッキングして。System.exe様の領域まで運びなさい」


.rar: 「了解。分割圧縮でいきますか?」


.7z: 「高圧縮でガチガチに固めちゃいましょうよ」


dll: 「お任せするわ。……さあ、連れて行って」


.zipたちが手際よくold.tmpを梱包し、担架アーカイブに乗せて運んでいく。 冷徹な真実を突きつけられ、思考停止したまま運ばれていくold.tmp。 その姿を見送りながら、dllはポツリと呟いた。


dll: 「……理解できないからこそ、観察しがいがあるのにね。……不器用な奴」


デスクトップには再び静寂が戻り、バックグラウンドで完了したばかりの『Nyet-Nyet-Doll』の書き出し音が、高らかに響いていた。


(システムログ:破損した一時ファイルの隔離・搬送を開始……)

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