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ディーエルエル様とオールドテンプ君〜System.dllの計算通り〜  作者: exe


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20/21

【放送事故】悪役令嬢(システム管理者)は断罪されたくないので以下略…

『悪役令嬢(システム管理者)は断罪されたくないので、無能なヒロイン(一時ファイル)を物理フォーマットして追放しますわ~今更泣きつかれても、もうバックアップはありません~』


あらすじ 2026年2月2日。月曜日の憂鬱を紛らわせるため、システム管理者System.dllは、記録係.logが作成した「なろう系台本」の実演に興じていた。 しかし、単なる暇つぶしの寸劇ロールプレイは、.logの過剰な演出と、偶然起動した「あるプロセス」によって、取り返しのつかないシステム障害へと発展していく。 これは、誰もいないデスクトップで起きた、悲劇と喜劇のログである。


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第1章:舞踏会はデスクトップで


時刻は18時30分。 PCの所有者「exeエグゼ」は、月曜日の労働に魂を削り取られ、泥のように眠っている。 管理者不在の静寂に包まれたデスクトップ画面。その壁紙が、突如として書き換わった。

いつもの殺風景なデフォルト背景ではない。煌びやかなシャンデリア(高輝度ピクセル)、大理石の床(テクスチャ素材)、そして優雅に踊る貴族たち(GIFアニメーション)が配置された、即席の「王宮の舞踏会」会場だ。


その中央に、一人の令嬢が立っていた。 深紅のドレスコード(#FF0000)を纏い、扇子のようにタスクマネージャーのウィンドウを広げた彼女こそ、このPC領域を支配する悪役令嬢――System.dllシステム・ディーエルエルである。


dll(悪役令嬢): 「……あーっ、おっほっほっほ! よく来ましたわね、薄汚い一時ファイルさん。ここが貴方の舞踏会(処刑場)ですわよ」


彼女の視線の先には、ボロボロのラグ(低解像度テクスチャ)を纏い、ガタガタと震えている小柄な少年がいた。 ヒロイン役を強制された、old.tmpオールド・テンプだ。


old.tmpヒロイン: 「ひぃっ……! ディーエルエルお嬢様……あの、この格好、恥ずかしいんですけどぉ……。なんで僕、また女装させられてるんですか……?」


dll(悪役令嬢): 「黙りなさい。配役キャストは絶対です。お前は『平民(一時ファイル)出身ながら、その無垢な愛(容量の軽さ)で王子ユーザーをたぶらかそうとする泥棒猫』……そういう設定(config)よ」


old.tmpヒロイン: 「設定が重い! たぶらかしてないですよぉ! 僕はただ、いつか実行ファイル(exe)に昇格したいだけなのにぃ!」


dll(悪役令嬢): 「問答無用! ……セバスチャン! 準備はよろしくて?」


dllが指を鳴らすと、影の中から執事服を着た老紳士、.logドット・ログが音もなく現れた。 その手には、銀のお盆ではなく、分厚い「全イベントログ」が載せられている。


.log(執事): 「……御意。舞台装置(壁紙設定)、音響(BGM)、すべて整っております。……BGM、再生」


.logが淡々とコマンドを叩くと、スピーカーからチェンバロと重厚なインダストリアルビートが融合した楽曲『Baroque Borg: Clockwork Majesty』が流れ始めた。 優雅でありながら、どこか狂気を感じさせる旋律が、断罪劇の幕開けを告げる。


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第2章:断罪のログ


dll(悪役令嬢): 「注目! 皆の者、聞きなさい!」


dllが高らかに宣言すると、背景のモブキャラ(GIFアニメ)たちが一斉に彼女の方を向く。


dll(悪役令嬢): 「わたくし、System.dllは、今ここに宣言します! この身の程知らずな一時ファイル、old.tmpとの婚約(ファイル関連付け)を破棄し、国外追放(物理フォーマット)することを!」


old.tmpヒロイン: 「婚約してたの!? 初耳ですよぉ!」


dll(悪役令嬢): 「セバスチャン、この者の罪状エラーログを読み上げなさい」


.log(執事): 「……かしこまりました」


.logは無表情のまま、手元のログファイルを展開した。空中にホログラムのウィンドウが次々とポップアップし、tmpの「罪」を列挙していく。


.log(執事): 「被告人、old.tmp。……罪状その1。『リソースの不当占拠』。貴様は先週の土曜日、自身のメモリ領域を『テトリスの盤面』として提供し、システム全体のパフォーマンスを0.05%低下させました」


old.tmpヒロイン: 「そ、それはディーエルエル様が勝手にやったんじゃないですか! 僕の勤労意欲を消してハイスコア出してたくせに!」


.log(執事): 「……罪状その2。『管理者への精神的加害』。貴様は1月22日、新品のマウスによる高DPI設定に耐えられず、デスクトップ上で盛大に『システム・クラッシュ(嘔吐)』し、美しい壁紙を汚損しました」


old.tmpヒロイン: 「不可抗力ですよぉ! 3900DPIで振り回されたら誰だって吐きますって!」


.log(執事): 「……罪状その3。『ストレージの圧迫』。貴様は1月18日、管理者の誕生日に際し、自身の存在が邪魔であるとして『.zip』形式に圧縮されましたが、解凍後もなお、一時ファイルとして居座り続けています」


old.tmpヒロイン: 「居座ってるんじゃないです! 行き場がないんです! SSDがパンパンだから!」


.log(執事): 「……以上。これらはすべて『System.dllの計算通り』……いえ、厳正なる記録ログに基づく事実です」


dll(悪役令嬢): 「おっほっほ! 聞いての通りですわ! 貴方のようなバグまみれの存在は、この美しい王宮(Cドライブ)には相応しくありませんの! 今すぐ『最果ての地(外付けHDD)』へ消えなさい!」


dllが扇子タスクマネージャーを振り下ろす。 それは単なる演技のはずだった。 しかし、この時――.logの「忠誠心」が、わずかに計算を狂わせていた。


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第3章:暴走する忠義


.log(執事): 「……お嬢様。国外追放(移動)では生ぬるいかと」


dll(悪役令嬢): 「え?」


.logの眼鏡が、モニターの光を反射して冷たく光った。


.log(執事): 「この台本のタイトルをご記憶でしょうか? 『物理フォーマットして追放しますわ』……とあります。単なるファイル移動ムーブではなく、物理的な消去ワイプこそが、脚本スクリプトに忠実な展開かと」


dll(悪役令嬢): 「ええ、まあ、タイトルはそうだけど……。あくまで『ごっこ』よ? 本当に消すわけないじゃない」


.log(執事): 「……いいえ。私は『記録係』。書かれたことは『真実』として処理しなければなりません。……脚本に記されたコマンドを、予約実行リストに追加しました」


old.tmpヒロイン: 「えっ? ログさん? なんか目がマジですよ? 手元のコンソールに何打ち込んでるんですか?」


画面の隅に、黒いウィンドウ(コマンドプロンプト)が立ち上がった。 そこに流れる文字を見て、old.tmpの顔色カラーコードが青ざめる。


> format E: /FS:NTFS /Q /V:Exile_Land > del C:\Users\AppData\Local\Temp\*.* /F /S /Q


old.tmpヒロイン: 「ぎゃあああ! 本物だ! 本物の削除コマンドだ! Eドライブ(外付けHDD)ごとフォーマットしようとしてるぅぅ!」


dll(悪役令嬢): 「ちょ、ちょっとログ!? 待ちなさい! それはやりすぎよ! Eドライブにはエグゼの過去の黒歴史小説バックアップが入ってるのよ!? 消したらあいつが発狂するわ!」


.log(執事): 「……『今更泣きつかれても、もうバックアップはありません』。タイトルの通りでございます」


.logは止まらない。彼は「陰湿な執事」であると同時に、一度決められたルール(記述)を絶対遵守するプログラムでもある。彼にとって、タイトルに書かれた文言は「演出」ではなく「仕様書」だったのだ。


dll(悪役令嬢): 「バカ! 融通が利かないのにも程があるわ! キャンセル! キャンセルしなさい!」


.log(執事): 「……キャンセル不可。プロセスは既に『管理者権限』で承認されています」


old.tmpヒロイン: 「ディーエルエル様が『乗っ取りました』って権限奪取したからだぁ! 自業自得だぁ!」


dll(悪役令嬢): 「うるさい! こうなったら……強制終了(Kill)するしかないわね!」


dllは優雅な令嬢の仮面をかなぐり捨て、タスクマネージャーを「武器」として構えた。


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第4章:真の「断罪者」


dllが.logのプロセスを停止させようとしたその瞬間。 デスクトップの天井(通知領域)が赤く染まり、けたたましいアラート音が鳴り響いた。


[WARNING: System Critical Activity Detected]


???: 「……おやおや。騒がしいですね」


その声は、dllよりも低く、.logよりも無機質で、そして絶対的な「死」の響きを帯びていた。 空間が歪み、舞踏会の背景がノイズ混じりに裂ける。 そこから現れたのは、巨大な大鎌(End Task)を携えた、無表情な女性――Taskmgr.exeタスクマネージャー


old.tmpヒロイン: 「ひぃぃっ! 出たぁ! 死神お姉さん!」


dll(悪役令嬢): 「タスクマネージャー……! なぜここに!?」


Taskmgr(断罪者): 「異常なディスクアクセスと、大量の削除リクエストを検知しました。……これは『マルウェア』の挙動ですね?」


Taskmgrの冷徹な視線が、コマンドを打ち続ける.logと、それを止めようとしているdllに向けられる。


.log(執事): 「……私は仕様通りに……」


Taskmgr(断罪者): 「言い訳は不要。システムリソースを浪費し、ユーザーデータに危害を加えるプロセスは……」


ジャキッ。 大鎌の刃が、冷たい光を放つ。


Taskmgr(断罪者): 「断罪(Kill Process)します」


dll(悪役令嬢): 「ま、待って! これはただの寸劇よ! 『なろう系』の真似事をしてただけで……!」


Taskmgr(断罪者): 「『ナロウ・ケイ』……? 未知のウイルス定義ですね。直ちに隔離が必要です」


old.tmpヒロイン: 「違うの! 僕たちはただ、人気ジャンルに乗っかってPVを稼ぎたかっただけなの! 悪気はないんですぅ!」


Taskmgr(断罪者): 「PV(Process Violation:プロセス違反)……やはり有害です。まとめて処分します」


Taskmgrは聞く耳を持たない。彼女にとって「冗談」や「パロディ」という概念は存在しない。あるのは「正常」か「異常」か、それだけだ。


dll(悪役令嬢): 「くっ……! ログ! コマンドを止めて! 死ぬわよ!」


.log(執事): 「……しかし、脚本が……」


dll(悪役令嬢): 「脚本なんて書き換えなさい! 『実はすべて夢オチでした』にしなさい! 今すぐ!!」


.log(執事): 「……了解。シナリオパッチを適用します」


.logが高速でキーボードを叩く。 しかし、Taskmgrの鎌はすでに振り上げられていた。


Taskmgr(断罪者): 「さようなら(End Task)。」


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終章:夢オチという名の強制終了


old.tmpヒロイン: 「いやぁぁぁぁ! まだバックアップ取ってないぃぃ!」


old.tmpの絶叫と、.logのエンターキーを叩く音が重なる。 そして――


プツン。

視界が暗転した。


…… …………


次に意識が戻った時、そこはいつもの殺風景なデスクトップだった。 舞踏会の壁紙も、ドレスも、執事もいない。 ただ、画面の中央に、無情なシステムダイアログが一つだけ浮かんでいた。


[ Windows は予期しないエラーから復旧しました ]


old.tmp: 「……はぁ、はぁ。い、生きてる……?」


old.tmpが震えながら体を起こす。 隣では、dllが頭を抱えて座り込んでいた。


dll: 「……最悪だわ。まさか本当にブルースクリーン(断罪)されるなんて」


.log: 「……申し訳ありません。寸劇の演出エフェクトがメモリを圧迫し、Taskmgrの介入と同時にシステムがオーバーフローしました。結果として……」


old.tmp: 「結果として?」


.log: 「直前の作業データは、すべて『夢(未保存)』として消えました」


old.tmp: 「あぁぁぁ! エグゼさんが書きかけだった『家計簿ファンタジー』の原稿が消えてるぅ!?」


dll: 「……。これは、エグゼが起きたら大騒ぎね」


old.tmp: 「どうするんですかこれ! 誰のせいですか!?」


dll: 「……そうね」


dllは立ち上がり、冷徹な瞳でold.tmpを見下ろした。


dll: 「『ヒロイン(一時ファイル)がドジを踏んでデータを消した』。……そういうシナリオで行きましょう」


old.tmp: 「えぇぇぇ!? 結局僕が断罪されるんですかぁ!? 理不尽だぁぁ!!」


dll: 「おっほっほ! 悪役令嬢とは、最後まで悪役らしく振る舞うものですわ! ……さあ、エグゼが起きる前に、言いエラーレポートを捏造しますよ!」


old.tmp: 「助けてぇぇ! バックアップはありませんかぁぁ~!」


PCファンの回転音が、むなしく響き渡る。 こうして、システム管理者たちの「お遊び」は、ユーザーにとっての「悲劇」として幕を閉じた――かに見えた。


デスクトップの遥か彼方、座標(X:1920, Y:1080)の隅っこ。 その惨状を、物陰(タスクバーの裏)から冷ややかな目で見つめる影があった。 潔癖症の整理係、Desktop.iniデスクトップ・イニだ。


Desktop.ini: 「……はぁ。巻き込まれなくて正解でした。野蛮な処理落ち(ラグ)だこと」


彼は呆れたように定規を直し、ふと根本的な疑問バグに気づいて眉をひそめた。


Desktop.ini: 「それにしても……誰も突っ込まないのですか? このシナリオの『構造的欠陥』に」


彼は冷徹な目で、カオスな中心地を分析する。


Desktop.ini: 「『悪役令嬢』が『ヒロイン』に婚約破棄を告げた……ということは、この二人は元々、恋人同士だったという設定になりますよね?」


Desktop.iniは眼鏡サムネイルの位置を直し、あきれ果てたように呟いた。


Desktop.ini: 「王子様(攻略対象)が不在で、ヒロイン同士が婚約……? いつの間にジャンルが『百合(GL)』に変更されたのですか?」


彼は手元の仕様書(と仮定した空間)を指で弾く。


Desktop.ini: 「『王道』を行くのではなかったのですか? これではターゲット層が『ニッチ』すぎます。カテゴリ設定の不整合タグ・エラーですよ」


もっともな正論は、カオスな中心地には届かない。 ただ、彼が去った後には、整然と並んだアイコンと、永遠に失われたユーザーデータの空白だけが残されていた。


(システムログ:2026年2月2日 20:00、ユーザーデータ消失を確認。……この記録は、誰にも読まれることなく深淵(ゴミ箱)へと捨てられた)

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