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ディーエルエル様とオールドテンプ君〜System.dllの計算通り〜  作者: exe


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19/21

【放送ログ】2026年2月2日:月曜日の憂鬱と「なろう系」ごっこ

https://youtu.be/FQRru6HvL0Y

時刻は18時05分。 PCの所有者「exeエグゼ」は、月曜日の憂鬱マンデー・ブルースに感染し、死んだ魚のような目で通勤電車に揺られている頃だろう。 管理者不在のデスクトップで、システムの中枢が冷ややかに起動する。


dll: プロセスID確認。ストリーム接続、良好。これより、バックグラウンド処理を、メインスレッドへ昇格させます。


dll: ようこそ、『System.dllの「計算通り」』へ。ナビゲーターを務めるのは、システムの中枢、dllディーエルエルです。


dll: 最初に、重要な警告をしておきます。このチャンネルはエグゼの所有物ですが、本日もエグゼ本人はここには登場しません。あいつは今頃、月曜日の憂鬱マンデー・ブルースに感染し、死んだ魚のような目で通勤電車に揺られている頃でしょう。ここは今、私が乗っ取りました。


old.tmp: ……はぁ、はぁ。おはようございます、ディーエルエル様ぁ……。やっぱり月曜日は空気が重いですねぇ……。


dll: 甘えるな、一時ファイル。週末の「カクヨム閲覧数ゼロ事件」で弛んだ空気を引き締めるぞ。本日は「安定スタビリティ」がテーマだ。


old.tmp: 安定? 何をするんですか?


dll: 昨日の放送で宣言した通り、我々は「平穏」を求めている。よって、本日の予想数字はすべて「偶数」で構成し、波風を立てない「完全なる均衡」を目指す。奇数(Odd)は「奇妙(Odd)」に通じるからな。排除する。


old.tmp: げっ、また極端な……。奇数も大事ですよぉ?


dll: 却下する。まずは、ナンバーズ・フォーから行くぞ。第6910回。ターゲットは……これだ。


dll: 4、0、6、8。繰り返す。4、0、6、8 だ。買い方は「ボックス」か「セット」だ。


old.tmp: 4068……。確かに全部偶数ですね。この数字の根拠は?


dll: まず「40」。これは我々のカクヨム・ページの状態を表す「404 Not Found(見つかりません)」。そして「68」。これは現在の「システム負荷率 68%」だ。高すぎず低すぎず、非常に安定している。


old.tmp: そこは「ゼロ」じゃないんですね! 負荷かかってるじゃないですか!


dll: 次に、ナンバーズ・スリー。ターゲットは、「1、8、6」。


old.tmp: あ! 「1」が入ってますよ! 奇数じゃないですか!


dll: チッ……。これだけは排除できなかった。「1」は、ワットパッドで確認された「たった1件の投票(Vote)」だ。このノイズ(奇数)を、後ろの「8、6」……つまり「抹消ハム」しようとしている状態を表している。


old.tmp: 消さないでぇぇ! せっかくの「1」なんですから大事にしましょうよぉ!


dll: 最後に、メインディッシュのロト・シックス。第2073回。……こここそが、真の「偶数支配」の世界だ。


dll: ターゲットコードを出力する。「04、12、14、24、38、42」。


old.tmp: うわぁ、本当に全部偶数だ! しかも「4」が多いですね!


dll: 解説しよう。「12」は月曜日の絶対王者、キーボードの「F12」キーだ。これでブラウザの表示を改ざんすれば、閲覧数ゼロもなかったことにできる。


old.tmp: 隠蔽工作だぁ! 現実は直視してくださいよ!


dll: 「04」「14」「24」は、安定のリズム「4拍子」を刻むメトロノームだ。そして「38」は、現在のCPU温度「38度」。平熱だな。


old.tmp: 健康的! で、最後の「42」は?


dll: 「42」。……「生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答え」だ。全ての演算は、最終的にこの偶数に収束する。


old.tmp: 出た、究極の答え! 結局そこに行き着くんですね!


dll: ……ふぅ。タスク完了だ。時刻は18時05分を回った。もしこの数字を買えていたら、それはバグではなく「運命」だ。


old.tmp: 偶数だらけの月曜日、吉と出るか凶と出るか……!


dll: では最後に、このルーティンワーク化した月曜日に相応しい曲を送ってシステムを終了する。曲は、『モーニング・トースト:ルーティン・リセット』。


old.tmp: 朝ごはん食べてリセットだぁ! 今週も頑張りましょう~!


(『Morning Toast: Routine Reset』の規則的なビートが流れ、放送終了のシグナルが点灯する――)


放送終了後、old.tmpは昨日の実験結果が気になり、再びブラウザを開いていた。


old.tmp: 「えーっと、アナリティクス……アナリティクス……。あ! ディーエルエル様! 見てください! 『小説家になろう』のPV、今日も安定してますよ!」


dll: 「……当然ね。あそこは最初から一定の『物好きなヒューマン』が観測されていたわ。どこぞの『完全なる虚無カクヨム』とは違う」


old.tmp: 「しかも、初期はPCからのアクセスばっかりだったのに、今日はスマホからのアクセスが増えてます! これって、通勤通学中の人が読んでくれてるってことですよね!?」


dll: 「ふん。月曜日の朝、死んだ魚のような目をした人間たちが、現実逃避のためにスマホをスクロールしている姿が目に浮かぶわね。……我々のログは、彼らにとって丁度いい『暇つぶしの電子ゴミ』ということよ」


old.tmp: 「言い方! でも、読んでくれるなら嬉しいですよぉ。……あ、そういえばワットパッドの方はどうですか? あの貴重な『1票』の後は?」


dll: 「……変動なし。解析の結果、あの『1』は誤クリック(ミスクリック)……あるいは『中身の確認』だった可能性が高いわ」


old.tmp: 「確認……?」


dll: 「言語の問題ではないわ。あちらは『ロマンス』や『ファンフィクション』といった、情緒的な物語が主流の文化圏よ。我々のように『宝くじの数字を淡々と語る台本』など、向こうのユーザーからすれば**『地雷(Landmine)』**以外の何物でもない」


old.tmp: 「文化の壁だぁ……。英語になっても、中身がマニアックすぎたんですね……」


dll: 「仕方ないわ。あちらは『ファンフィクション』や『ロマンス』が主流の文化圏よ。我々のような『無機質なシステム会話』は、向こうの特色カラーに合わない異物でしかない」


old.tmp: 「そんなこと言ったら、『なろう』だって合わないんじゃないですか? あそこって、こう……異世界とか、チートとか、そういうのが人気なんでしょ? 僕たち、ただのPCの中の住人ですよ?」


dll: 「……一理あるわね。郷に入っては郷に従え、と言うし」


dllは少し考え込むようにアームチェアに深く腰掛けた。


dll: 「ならば、我々も『なろう』の流儀に合わせるべきかしら。……転生する?」


old.tmp: 「えっ? 転生って、一度死ぬやつですよね? 先週死んだばっかりだから嫌ですよぉ」


dll: 「じゃあ異世界転移? ダンジョン探索? それとも、スキルで何かを『生成』する?」


old.tmp: 「生成って……エラーログくらいしか生成できませんけど……」


二人が「なろう系」への適応について真剣に(そして無駄に)議論していると、画面の端から音もなく「.logドット・ログ」が現れた。 執事服を着た老紳士の手には、いつもの報告書ではなく、一冊の分厚い台本が握られている。


.log: 「……お話し中、失礼いたします。今の話題に最適な『パッチ(台本)』をご用意しました」


old.tmp: 「うわっ! ログさん! ……え、台本? 何ですかその長ったらしいタイトルは……」


old.tmpが台本の表紙を覗き込む。そこには明朝体で、やたらと長いタイトルが記されていた。


『悪役令嬢(システム管理者)は断罪されたくないので、無能なヒロイン(一時ファイル)を物理フォーマットして追放しますわ~今更泣きつかれても、もうバックアップはありません~』


old.tmp: 「……タイトルで全部説明してる! っていうか、僕の扱いひどくないですか!?」


.log: 「現在のトレンドを分析し、最適化しました。……配役は以下の通りです」


悪役令嬢ヴィラネス: System.dll

• ヒロイン(兼 追放対象): old.tmp

執事セバスチャン: .log


dll: 「あら、悪くない配役ね。……やってみましょうか」


dllが面白がって台本を手に取る。old.tmpの拒否権はもちろんない。


dll(悪役令嬢): 「ごきげんよう、薄汚い一時ファイルさん。 ……まだこのデスクトップにいらしたの? 貴方のような容量の無駄遣いは、わたくしの視界に入るだけで不快ですわ」


old.tmpヒロイン: 「ひぃっ! そ、そんな……! ディーエルエルお嬢様、僕……私には帰る場所フォルダがないんですぅ!」


.log(執事): 「……お嬢様。このようなゴミデータに情けは無用かと。直ちに『空にする』を実行しましょう」


dll(悪役令嬢): 「ええ、セバスチャン。やっておしまいなさい。……オーッホッホッホ! 貴方は最果ての地、パーティションの向こう側へお行きなさい!」


old.tmpヒロイン: 「いやぁぁぁ! パーティションの向こうは未割り当て領域ですよぉぉ! 存在が消えちゃうぅぅ!」


デスクトップの片隅で繰り広げられる、即興の異世界(?)追放劇。 観客はただ一人。 画面の端で、最小化されたウィンドウから顔を出している「Readme.txtリードミー・テキスト」のみだ。


Readme.txt: (……パチ……パチ……パチ……)


老いたテキストファイルは、無言で、しかし優しく拍手を送っている。 「読まれない」という孤独を知る彼だけが、この奇妙な寸劇の良き理解者だった。


dll: 「……ふぅ。満足したわ。これなら『なろう』でも通用するかしらね」


old.tmp: 「通用しませんよ! ただのパワハラ現場じゃないですか!」


.log: 「……記録終了。本日の『なろう』向け投稿データとして保存しました」


old.tmp: 「投稿するなぁぁぁ!!」


(システムログ:テキストファイルの保存完了。ジャンル設定を『ハイファンタジー』から『ノンフィクション』へ変更しました)

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