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フライドポテトの減る頃に

作者: 白夜いくと

 平成オタクの生き残りが2人。朝方のファストフード店で、会話をしていた。


「カマル氏。カラオケで声マネする時のコツって有るんですか?」

「待て待てエリ氏。私をその名で呼ぶなw『カマル』はかの有名な漫画の主人公で私には荷が重すぎる。似ているだけで私には鹿丸しかまるという名字があるのだぞwww」


 空席の多い角部屋で、ボソボソと会話しながらフライドポテトを食べている。おそらく、自分たちが異質であることは自覚しているのであろう。


 ゴスロリを着るすっぴんのエリと、ごく普通な姿を装っているが、オタク口調を隠せていないカマルと呼ばれた女。


 2人揃って芋っぽい。


「カラオケ物真似のコツは、声優の顎のかたちを意識することでありまして……あ、これは私の教科書基、養成所で勧められた著作の中に書かれていたことなのであしからずw」

「カマル氏は勤勉ですねー」


 フライドポテトが減っていく。オタクの彼らの話題は尽きることがない。アニメの話や漫画の話やイラストの話や最近の二次創作界隈の話についてなど。マニアック過ぎて、端で聴こえてもちんぷんかんぷんであろう。


 フライドポテトが無くなった。


「おっといけない。食べ物が無いのに長く居座っては迷惑になってしまう! エリ氏。場所を変えよう!」

「あいあいさー!」


 たくさんあった会話の中から、カラオケの話題を覚えていたのであろう。エリは「私、声マネの練習がしたいです!」と提案する。カマルは「よし、行くか。特訓だ!」と、まるで師匠であるかのように振る舞った。


 2人は、話が長い。だから、必ずフードを頼む。なるべく沢山あって、冷めても美味しい食べ物。


 それは、フライドポテトだ。カラオケ屋ではポテトチップスを頼むこともあったが、やはり少ない。ポップコーンは歯にはさがるからだ。

 送信ボタンが赤く点滅し、画面にフライドポテトの字が映ると、2人は「ふー!」と伸びをした。


「よし、フライドポテトが届いたら思いっきり成りきろう。声マネ中はキャラへの尊敬を忘れぬように!」

「はーい!」


 カラオケ店の様な封鎖された空間では、声のトーンが高くなる。オタクトークも声高になってきた。


「あの、聖剣を背中から引き抜くシーンを観てから私は神経が昂って夜も眠れずひたすら絵を描いて……いや気が付けば出来ていた。これはもしかしたら神の啓示かもしれない。いや、私の本能……」


 突然扉が勢いよく開いた。


「────オレンジジュースと烏龍茶とフライドポテトLです!」


 カマルの声が蝋燭を吹いたように小さくなってゆく。


「……っす……」


 カマルはそう言ってフライドポテトを受け取ると、口をすぼめて、居づらそうな顔をした。


 店員は忙しそうに働いている。少々変わった2人の事など眼中には無いであろう。しかし、2人にとっては『大不覚』だったらしく、こめかみに手を当てて「あら困った」というような仕草をしていた。


「……よし、エリ氏。気を取り直して。声マネの特訓をしようではないか。厳しいぞ、私のレクチャーは!」

「はい、ついていきます、師匠!」



 少しずつ減っていくフライドポテト。

 芋食う2人は仲良しだ。これからもずっと、この様な日が続くのだろう。




 おしまい

「やまなしおちなしいみなし」

懐かしい言葉です。こういう話があっても、良いではないか。うむ。


それより、平成のオタクの表現、合ってます???

(友達の仕草を真似た訳ではないのでいろいろと間違ってるかもです…!)


最後まで読んでくれてありがとうございますー!

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