ぽっちゃり白豚令嬢とガリガリ骸骨侯爵の、幸せな白い結婚
「悪いが君を愛することはない。というより妻などに構う暇などない。干渉しないから好きに過ごしてくれ」
「分かりましたわ」
寝室に入るなり放たれた夫ローガンの言葉に、ジェナは快く頷いた。
愛されなくても問題はない。もちろんあれば素敵だなとは思うけれど、貴族同士の結婚に、愛だの恋だの求めていなかった。
「話が早くて助かる」
ジェナが承諾するなり、ローガンは寝室を出て行った。
****
ジェナとローガンは少し特殊な政略結婚だ。
由緒ある伯爵令嬢と侯爵という、身分と権力と財産があるにも関わらず。二人とも結婚適齢期をゆうに越えたというのに、婚約者はもちろん、色恋のいの字もなかった。
それというのも、結婚に消極的だったということもあるが、何より二人の容姿と性格に問題があった。
まずはジェナ・グロス伯爵令嬢。
彼女は幼少の頃から、食に関して並々ならぬ関心があり。何よりも食べることが大好き。
両親もにこにこと食べる娘が可愛くて、たっぷりの愛情とカロリーを注いだ。
おかげでジェナはすくすくとぷくぷくと育ち、白豚令嬢と呼ばれるようになった。
それだけでも敬遠されるのだが、ジェナは食への知識と愛で次々と新しい調味料、調理法を生み出し、商才を発揮した。ジェナのプロデュースした飲食店は全て繁盛。開発した調味料はヒットを飛ばし、斬新な調理法は料理界に革命を起こした。
おかげで伯爵領の財政は潤い、民の生活水準は向上し、両親と領民はジェナを手放したがらなくなった。
ジェナの名声は社交界にもとどろき、知らないものはいない。
しかしそれに反比例して、ジェナへの求婚者は減った。
政も商売も、男のものだ。男の世界にしゃしゃり出るジェナは煙たがられた。
次にローガン・プレヴォー侯爵。
彼は幼少の頃から完璧主義者の潔癖症で、何かをとことん追及することが好きだった。
その性格と類いまれな魔力を生かし、数々の魔法理論と魔道具を生み出した。
有能で忠誠心も高く、国王の覚えもめでたい。賜った権限も領地も名誉も大きく、これだけなら優良物件である。
しかしながら、ローガンは仕事の鬼だ。
一度没頭すると寝食を忘れる。目の下に色濃い隈を作り、肉の削げた外見はまさに骸骨。
さらには部下にも自分にも一切の妥協を許さないため、常にピリピリとした空気を身にまとっている。側にいたい者は男女問わずいなかった。
そんな二人であるから、浮いた話はなし。釣書の一つも来ず。
両家とも早々に二人の結婚を諦めており、養子を迎えて家門を存続させるつもりであったのだが。
これに待ったをかけた人物がいた。
国王と第三王女である。
「もともと細くて不健康そうなやつではあったが、最近の侯爵は幽鬼と見まがう。早死にさせるのは勿体ない。誰かやつの手綱を握れそうな令嬢はいないものか」
ローガンは国王の王子時代の従者だ。偏屈で堅物なローガンであるが、有能さはよく知っている。人材は短期で使い潰すのではなく、長期運用が要だ。強制的に休暇を取らせているが、どうにも休暇中に仕事を持ち帰っている節がある。
「丁度私のお気に入りに食べることが大好きな子がいるの。二人をくっつけてはどうかしら? 彼女はおおらかで懐が深いし、カチコチな侯爵を少しは柔らかくするかもしれないわ」
「ふむ」
悪く言えばミーハー。良く言えばあらゆる流行の最先端を知り尽くす妹は、サロンによくグロス伯爵令嬢を招いていた。
「あの商才と新開発に長けた白豚令嬢か。魔道具専門家のローガンと組み合わせれば、我が国のさらなる発展に繋がりそうだな」
真逆の性格の方が、案外うまくいくかもしれない。駄目なら駄目で、それぞれが今まで通り勝手にやるだろう。形だけの夫婦など珍しくない。仕事の面では相性が良さそうであるし、ビジネスパートナーとしては最良だ。
かくして二人の政略結婚はセッティングされた。
****
ジェナとローガンが顔を合わせたのは、結婚式当日だった。
ジェナが夫ローガンをはじめて見て抱いた感想は、絵姿よりも細くて顔色が悪い、だった。
(さて。どうしたものかしら)
形ばかりの結婚式を終え、お披露目のパーティーでは仕事の話ばかり。初夜では予想通りの「君を愛することはない」宣言からの白い結婚である。
別にそれは全く構わない。むしろウェルカム。貴族家の義務から子供だけは作らなければならないかと身構えていたが、なくてほっとした。好きに過ごしていいというのだから、さらに重畳である。
(だって顔も知らない相手と政略結婚だなんて。昭和初期じゃあるまいし考えられないわ)
何を隠そうジェナは転生者である。
前世では無理なダイエットがたたり、拒食症になって命を落とした。
死んでから気づいたのだが。思えば我慢我慢の人生だった。
両親の言う通りに塾に通いつめ、いい大学を卒業。
休日返上で押し付けられた仕事もこなし。
世間の風潮と彼氏の言葉に踊らされ、食べることさえ我慢した。
今世は絶対に我慢しない。
好きなだけ寝る。
笑いたい時に笑い、怒りたい時に怒り、悲しい時は泣く。
食べたいものを食べたいだけ食べる。
特に食。
欲望のままにあらゆる食材を網羅。
食べたいものがなければ作った。
量産できる体制も敷いた。
結果、ジェナの笑顔は両親を笑顔にし。怒りは改革の原動力に。悲しみは改善につながった。
前世ではあんなに我慢しまくっても、一つもうまくいかなかったのに。皮肉なものである。
求婚者がいないのも都合がよかった。
伯爵家の跡継ぎには弟がいる。適当に裏から支えつつ、今まで通り好きに暮らすつもりだった。
ローガンとの縁談が降って湧いたのは誤算ではあったけれど、結婚しても好きにするつもりだった。
美しさとはかけ離れたこの太ましい体ならば、どうせ愛されることもないだろう。
それにローガンは骨と皮。上背はローガンの方があるが、横幅は二倍……いや三倍である。いざとなれば腕力に物を言わせよう。
と、思っていたのだが。
実物のローガンを一目見て、気が変わった。
あまりにローガンが前世の自分とそっくりだったのだ。
(せっかく干渉しない、好きに過ごしていいって言ってもらえたのにね)
寝室を出たローガンの後をこっそりと追う。見つかっては困るので姿が見えなくなってからだったが、屋敷の間取りは事前に把握していた。自室に戻ったはずだ。
音を立てないようにローガンの自室の前に立つ。そっと扉の向こうに耳を澄ませた。
(やっぱり)
聞こえてきたのは寝息でも無音でもなく、紙ずれとペンの音。ごとごとと何かを動かす音もする。
仕事をしているのだ。
ジェナは溜め息を一つ吐くと、また足音を忍ばせて立ち去った。
****
自室に引っ込んだローガンは、ジェナの見立て通りに仕事をしていた。
ローガンにとって結婚など青天の霹靂だ。片付けなければならない仕事は山ほどある。妻や家族などにかまけている時間はない。
(そもそもあんなに太った女性と結婚だなんて冗談じゃない。昔の自分を思い出してしまう)
書面に走らせていたペンが止まった。頭痛が酷くなってきたので、こめかみを揉む。
(いや。彼女は単に食べることが好きなだけ。部屋に閉じこもってぶくぶくと肥え太っただけの自分とは違うな)
ジェナはこの世界では珍しく自立した女性だ。食べることが好きという、何でもない欲を強みにして様々な事業を展開させた。性格も明るく社交的でローガンには眩しい。
ずきりと頭ではなく胸が痛み、誤魔化そうとさらにこめかみを揉んだ。頭痛も胸の痛みも全くマシにはならなかった。
(仕事をしよう。僕には仕事しかないのだから)
ローガンが初対面でジェナに抱いたのは、嫌悪ではなく強烈な劣等感だった。
ローガンは転生者だ。
前世では受験に失敗し、五年も引きこもった上に耐え切れず首を吊った。
何一つ成せず、無意味な一生だった。
あんなに期待されたのに、何も応えられなかった。
心配と迷惑しかかけられなかった。
後悔して後悔して。
明日こそ、明日こそと焦るのに、明日が今日になった途端に動けなくなる。
毎日毎日、時間を消費するばかりで、申し訳なくて仕方がなかった。
もうあんな思いは嫌だ。
もう失敗しない。今世こそ役に立つ人間になるんだ。
がむしゃらに勉強をした。前世の知識を組み合わせて新しい魔法理論と魔道具を作った。
出来上がる度に言いようのない達成感を味わった。
両親は喜び、周囲には褒められた。
功績を認められ、重職にも就いた。
ああ、自分は今生きている。
もっと役に立ちたい。もっと喜ばせたい。もっと。もっと。もっと。
やりがいと喜びに震え、さらに仕事に打ち込んだ。
立ち止まっている暇はない。一分一秒が惜しい。
前世のように無能な役立たずに戻ってはいけないのだ。
ジェナのような有能な女性がローガンの世界にやってきたのだから、負けないよう、もっともっと頑張らなければ。
ローガンは回復ポーションの小瓶に手を伸ばした。
もっと頑張らなければならないというのに、最近処理速度が落ちている。遅れを取り戻すため回復ポーションを使って睡眠時間を削っているのだが、それでもさばききれない仕事が少しずつ増えている。
(こんなことではいけない。もっと頑張らねば)
ポーションの瓶のふたを開けたその時。
「失礼しますわ」
自室の扉が開いた。
「何の用だ」
ローガンは驚いた。愛することはないと突き放したばかりなのに、いきなり部屋に乗り込んでくるとは何事だろう。離婚だろうか。
ジェナはにっこりと笑った。ふっくらとした頬にきゅっとえくぼが出来る。
「パーティーで何も召し上がらなかったでしょう? 軽食を持ってきました」
「……は?」
意味が分からずにフリーズしたローガンの元へ、ジェナがトレイを抱えてやってきた。
「好きに過ごしてくれとおっしゃったでしょう。ですから好きに行動しました」
戸惑うローガンの目の前に、はい、と差し出されたのはガラス容器に入った黄色と茶色のぷるんとした物体。ふんわりとした甘い香りが広がった。プリンだ。
「これならのど越しも消化にもいいですよ」
「すまないが」
せっかくの好意ではあるが、食事をとると眠気がきてしまう。
「ローガン様。あなたご自分の体の状態が分かっておられます?」
制止しようと出した片手にプリンの瓶を押し付けられ、反射的に握ると、さっと回復ポーションを取り上げられた。代わりにスプーンを握らされる。
「あっ、何をする」
「回復ポーションはその場しのぎでしかありませんし、こんな時間に飲めば不眠の原因になります」
「だから飲むんだ」
眉間にしわを寄せて、低くうめいた。大抵の人間はこれで怖気づいて逃げ出すか気分を害する。
「早死にしたいのですか」
「大げさなことを」
「最近何もしていないのに心臓がどきどきしたり、立ち上がったときにめまいがしませんか」
「‥‥‥」
「慢性的な頭痛と倦怠感が当たり前になっているでしょう」
「あなたは医者の心得もあるのか」
やけに具体的に言い当てられ、ローガンはうめいた。
「まさか。あなたとよく似た、ある人の症状を言っただけです」
「そうか」
「ちなみにその人は死にました」
「‥‥‥」
なんと返せばいいか分からず、ローガンは黙り込んだ。
「今のあなたは、その人とそっくりです。死んでしまったら、もう仕事も何もできませんよ」
「だが‥‥‥」
仕事をしなければ、自分は死んだも同然だ。
口に出せずに飲み込んだ言葉の苦味に顔をしかめていると、ふう、とジェナが息を吐いた。
「一応新婚です。一週間は休暇ですよね。仕事が進まなくても問題ないはず。騙されたと思ってこの一週間は私の言う通りにしてください」
「は?」
「いいから」
「……」
「い・い・で・す・ね」
迫力に呑まれ思わずうなずく。いつも厳しく仕事に向き合い、しかめっ面がデフォルトのため誤解されがちだが、ローガンはもともと押しに弱い。頼まれたら嫌と言えないタイプだった。
「では、まずはこれを食べてください」
手の中の瓶に視線を落とした。スプーンで少しすくい、口に運ぶ。優しい甘さが喉から胃へとしみた。何故だか泣きそうになった。情けなさに喉がつまって、次が食べられない。
「私が作ったのですが、口に合いませんでしたか?」
ずっと強気だったジェナが、急に不安そうな顔になった。しゅんと肩を落としてしまう。
「いや、美味い。こんなに美味いプリンははじめてだ」
そもそもこの世界でプリンを食べたのがはじめてだった。
それもそのはずである。ジェナが前世の記憶をもとに作り、新商品として売り出したものなのだから。あまり食に興味のないローガンは、たまたま食べていないだけで、この世界にもプリンが存在したのだと思った。
ジェナもまた、新感覚デザートとしてプリンを王都でも流行らせたので、ローガンも知っていたのだろうと思った。
二口目のプリンを口に入れる。コンビニのプリンより堅めで卵の風味がしっかりと感じられた。それからはスプーンが止まらなかった。あっという間になくなる。
ジェナはそんなローガンをにこにこと眺めていた。
「どうぞ。リラックス効果のあるハーブティーです」
食べ終えたローガンが顔を上げると、ジェナの笑顔にぶつかった。眩しい。
見ていられなくて、ハーブティーを飲む。
「美味いな」
爽やかな酸味と落ち着く香りが広がって、ふわりと胸が温かくなった。砂糖を入れた様子がなかったのに、ほんのりと甘みも感じる。
「飲んだらベッドに仰向けに寝てください」
ベッドの枕元に座ったジェナが、肉付きのいい膝をぽんぽんと叩いた。躊躇っていると、手招きされた。おそるおそる言われた通りにする。
目の上に布がかけられて、ジェナの指が頭を刺激し始める。めちゃくちゃ気持ちいい。頭皮と共にいつしか緊張も弛んで。
「ローガン様。おはようございます」
ジェナの明るい声と、シャッとカーテンの開く音で、ローガンは目を開けた。
「‥‥‥明るい? 朝!?」
飛び起きたローガンの目に、書類が片付けられたテーブルと朝食が映った。
「一緒に食べましょう」
信じられない。朝まで一度も起きずに眠っただなんて。
呆然としながら席に着く。こんがりと焼けたトーストの香ばしさに、ぐう、と腹が鳴った。吸い込まれるようにトーストに手を伸ばす。
「いただきます!」
「‥‥‥いただきます」
カリッとした歯ごたえの後、とろりと溶けたチーズとハムの塩気がやってくる。美味い。
「う~ん、美味しい」
トーストを頬張るジェナが、幸せそうに目を細めた。ほんのりと上気した頬がリズミカルに動き、口角がきゅっと上がっている。ローガンが一枚食べている間に、ぺろりと二枚たいらげた。
食べているジェナを見ていると、体にじんわりと温もりが広がって、ローガンは目を細める。視線に気づいたジェナが、つやつやとした頬にえくぼを作りながら首を傾げた。
「? フルーツもありますわよ」
赤と紫のベリー入りのヨーグルトは、甘酸っぱかった。
****
量こそ少ないが、文句を言わずに朝食を食べるローガンに、ジェナはほっと胸をなでおろした。
といっても普段朝食を取らないらしいローガンが、トースト1枚を食べきった。快挙だ。
(ローガン様が思ったよりも素直で良かった。ブチ切れられたらどうしようかと思ってたけど)
回復ポーションを取り上げた時、怒ると覚悟していた。マッサージも嫌がってもっとごねると思っていた。だがローガンは予想以上に素直で従順だった。
(それにしてもヘッドマッサージって本当にきくのね。前世で自分もやればよかった)
テレビでヘッドマッサージを受けた芸人が爆睡している間に全然違う場所に運ばれる、というドッキリがあって、どの芸人もマッサージを受けるとぐっすりと寝ていた。当時は起きた時の慌てっぷりを笑うよりも、気持ちよさそうに熟睡する様をうらやましく見ていた。
自覚はなかったが、お笑い番組で笑えないほど疲れていた。
(まあ、あの時は何を見てもそんな感じだったけど)
泣けるドラマでは、悲しいと思うよりも、励まされる主人公がうらやましかった。グルメ番組では、料理を美味しそうと思うよりも、美味しそうに食べるリポーターがうらやましかった。
そして、そんな風に思う自分が、なんだか悲しかった。
ふと視線を感じて顔を上げると、ローガンが目を細めてジェナを見ていた。くすぐったいような、照れくさくなるような視線に、ジェナは首を傾げる。
「? フルーツもありますわよ」
勧めると、ちびちびとヨーグルトのかかったベリーを口に運ぶ。
ちゃんと食べていることに満足して、ジェナもデザートに取りかかる。ローガンとは違い、はちみつたっぷり、カリカリとしたフレークも入っている。甘さと酸味、なめらかなくちどけとカリカリ食感が絶妙なハーモニーだった。美味しい。幸せだ。
また視線を感じる。食べ終えたローガンがじっとジェナを見つめている。
「お待たせしてしまったかしら」
「あ、いや。美味そうに食べるから、つい」
「嫌ですか」
「嫌じゃない」
慌てて首を振るローガン。確かに嫌がっているようには見えないので、まあいいかと食事を再開。綺麗に食べきった。
一週間はあっという間に過ぎた。
あれから毎日三食一緒に食事をとり、夜はマッサージを続けている。
そのほかの時間はお互いに自由。ローガンは仕事を、ジェナは新しい食品開発にいそしんでいた。
最初は戸惑いながら。最近は嬉しそうにジェナの言う事を聞く。顔色もよくなってきていて、目の下の隈も薄くなってきた。肉付きは一週間ほどでは変化がないけれど、食べる量は少しずつ増えてきている。そのうち肉もついてくるだろう。
(心配なのは、仕事に復帰してからね)
昨日で一週間の休暇が終わり、今朝は王宮に出勤した。環境が戻ることで、また寝食を忘れてしまうのではないだろうか。
「何を悩まれているんですか?」
卵白を泡立ててメレンゲを作りながら、うーんとうなっていると、料理長をはじめとした厨房の面々が、ジェナに注目していた。
ジェナは食品開発やローガンの食事の一部を作るために、しょっちゅう厨房に来ていたので、すっかり顔馴染みだ。主のローガンよりもよほど親しい。
「明日からローガン様の仕事が始まるんだけれど。また昼食を抜いたり、夜遅くまで帰って来ないんじゃないかと心配なのよ」
「それは確かに」
ふくふくとした指を頬にあててぼやくと、厨房の面々が深くうなずく。
「奥様がいらっしゃってから、あの坊っちゃ……いえ侯爵様が三食召し上がるようになったんですもんね」
「本当に。今でも信じられないですよ」
感無量といった風情である。ローガンが幼いころから仕えている彼らからすると、ジェナは救世主に思えた。
(この反応。ローガン様は使用人たちから好かれているのね)
偏屈な骸骨侯爵。鬼、死神などと世間では散々な言われようだったが、どれも外見から来たものらしい。本人は寡黙だが温厚。真面目で働き者なだけだ。
「よし! 決めた!」
袖をまくってぷっくりとした腕を出すと、興味津々にみんなが寄ってきた。こういう時のジェナはいつも新しい料理をすることを知っているのだ。
「朝食のパンは余っているかしら?」
「もちろん。足りなければ焼きますよ」
「ありがとう。ローガン様は少食だから十分よ。それと‥‥‥」
次々と材料を用意してもらうと、調理に取りかかった。
まずはふわとろのスクランブルエッグ。卵を割りいれて、塩コショウ、砂糖とミルクを加えて手早くなめらかに混ぜる。
熱したフライパンにバターと溶かしたら、一気に流し込み、ちょっとだけ待った後さささっと混ぜてボウルにあける。うん、いい感じにふんわり。
あら熱をとっている間に料理長の作り置きローストチキン、トマトと玉ねぎをスライス。パンは端を切ってしまわないよう、切り込みを入れる。
「よし、冷めた」
あら熱の取れたスクランブルエッグに。ジェナが開発したマヨネーズを入れる。さらに塩コショウを振って、ざっと混ぜたらパンに挟む。
普通ならこれで完成だけど、少食のローガンは二つも食べられないだろうから、半分に……いや、三つに切り分けておく。
「二種類の一口サンドイッチの完成ー!」
「おおお」
沸き上がる拍手に、ジェナはえへんと豊満な胸をはった。お腹も二の腕も豊満だが。
なんてことのないサンドイッチだが、この世界には存在しない料理だった。
パンはハードなタイプで、冷えると硬くて食べられない。なので、カチコチのパンに具材を挟んで食べるという発想がなかった。
焼きたてを食べるか、火であぶり直すか、ちぎってスープにひたして食べたり、肉のソースを絡めたりして水分で柔らかくする。
それはそれで美味しいのだが。
柔らかいパンが食べたーい! という当時5歳のジェナの一念から、うろ覚えの知識でヨーグルトの酵母を使って試行錯誤を繰り返し。天然酵母を作り出した。領地のパン屋と共同開発して売り出した天然酵母パンは大ヒット。今では主流になっている。
柔らかいパンが主流になったことで、レーズンやチーズ、燻製肉を練り込んだパンなど、バリエーションも豊富になりつつあるが。まだサンドイッチはなかった。
「これなら仕事の合間にもつまんで食べられるでしょ」
もちろんラップなどないので、紙に包んでバスケットに入れる。紙は十年前まで羊皮紙しかなく、高級品だったが、ローガンが使いやすい実用的な紙を量産できる大型魔道具を開発。今ではかなり安価になって普及している。うちの旦那様、さり気にすごい。
「それじゃ行ってきます」
「行ってらっしゃいませ」
執事に見送られ、いざ昼食を届けに王宮へ。ジェナは第三王女のお気に入り。社交界でも有名であるし、目立つ容姿のため王宮も顔パスだ。何なら王宮内部の地理にも明るいので、案内なしにローガンの務める魔道具開発管理棟に着いた。
魔道具開発管理棟の内部は、開発部、設計部、管理部と細部に分かれていた。入り口の事務所に詰めている職員に声をかける。
「こんにちは。魔道具総監プレヴォーの妻です。お忙しいところ申し訳ないのだけれど、ローガン様はどちらかしら」
「プレヴォー総監の!?」
職員の背筋が伸びた。
「ご、ご案内します」
「これを渡すだけですから案内はいりませんわ。皆さんの貴重な時間を取らせるわけにはいきませんので、場所だけ教えてください」
教えてもらったのは、棟の最上階にある責任者執務室だった。コンコンとノックをすると中から「入れ」という低い唸り声がした。
「失礼します」
「何事だ。また不具合か‥‥‥ジェナ!?」
書類の山から顔を上げたローガンが、慌てて瓶を後ろに隠した。ジェナはにっこりと微笑む。
「お昼を回復ポーションですませるおつもりでしたね?」
「いや、これはその‥‥‥」
「そんなことだろうと思っておりましたわ」
ウィンクしながらバスケットをかかげる。いぶかしそうに首を傾げたローガンに中身を見せた。
「これは」
「サンドイッチです。一口サイズですから、食べながら仕事もできますよ。行儀は悪いですけどね」
「作ってきてくれたのか」
仕事場に押しかけるなと怒ることもなく、ローガンはバスケットを大事そうに受け取った。その隙にジェナは回復ポーションをドレスと肉の間に挟み、周囲を見渡す。
ローガンは片付けられない性格なのか、棚や机の上だけでなく、床まで資料や本、書類が積まれていた。執務机までの動線だけ、ぽっかりと空いている状況だ。
「食べきれない分は誰かにあげてもいいですし、持って帰っても大丈夫ですから」
「いや。全部食べる。その‥‥‥」
バスケットを抱えたローガンが口ごもった。
「あなたは食べないのか」
なんだか寂しそうに言われて、胸がきゅっとなる。ぺたんと垂れた耳と尻尾が見えた気がした。
「では、一切れだけ」
ぱあっと表情を明るくしたローガンがいそいそと分厚いファイルや本を退けると、椅子が現れた。埋もれて見えなかっただけらしい。
ついでに回復ポーションの箱も椅子の下から出てきた。没収したいところだが、してもまた買うだろうから諦める。
ジェナが椅子に座ると、ローガンはサンドイッチを頬張った。
「美味い」
「ふふ。良かったです」
ジェナも一切れ、スクランブルエッグのサンドイッチを口に放り込んだ。
「う~~ん、美味しい」
ふわふわのほんのり甘い卵と、マヨネーズのまろやかさと塩気が我ながら絶妙だ。ローガンはそんなジェナに目を細め、スクランブルエッグのサンドイッチに手を伸ばした。
ローガンは食べているジェナを見るのが好きなのか、普段より柔らかい表情になる。
「こっちも美味いな」
一切れなどすぐ食べ終わったので、ジェナは水筒のハーブティーを二人分くんだ。
(意外だわ)
仕事の手を止めたくないだろうからとサンドイッチにしたのに、ローガンはペンを置いて味わっている。
ローガンはちゃんと完食した。
「それじゃあ私はお暇します。なるべく早く帰ってきてくださいね」
「え?」
「定時は無理でも、少しでも早く帰ってきてください。一緒に晩御飯を食べて、寝る前にマッサージもしましょう」
「あなたの負担にならないか」
「まさか」
ジェナはころころと笑った。
「私は我慢というものが嫌いなんです。やりたいことをやりたいようにやります。あなたと一緒に食べたいし、マッサージをしたいんです。あなたを死なせたくありませんからね」
ローガンは迷うように灰色の瞳をわずかに揺らしてから、口を開いた。
「‥‥‥それは、僕に『ある人』を重ねているからか」
「そうですわね」
前世の自分と同じ道を行くローガンを放っておけない。
「大事な人だったのか」
「‥‥‥そう、ですね。大事だったと後から気づきました。もっと大事にすればよかったと、後悔しました」
今の自分が幸せだからか、前世の自分を抱きしめてやりたいほど愛しい。
「そうか」
ローガンが目を伏せた。
「ごめんなさい。仕事の邪魔をしてしまいましたね」
「いや。邪魔なのは‥‥‥」
思ったよりも長居をしてしまった。多忙なローガンの貴重な時間を削っては悪い。早く立ち去らねばと椅子から腰を上げると、ローガンはもごもごと何かを言いかけてやめた。
「‥‥‥なんでもない」
いいと言ったのに、ローガンは律儀にも、執務室を出て魔道具開発管理棟の出入り口まで送ってくれた。真面目な人だから、きちんと送らないと気が済まないのだろう。いよいよ本格的に邪魔をしてしまった。
「職場におしかけてすみませんでした。次からは出勤前に作ってお渡ししますね」
「いや。わざわざ持ってきてくれてありがとう」
手を振ると、ローガンも振り返してくれた。
****
手を振ってジェナを見送ったローガンは、後悔していた。
(聞くんじゃなかった)
何気なく聞いた『あの人』の存在に、みっともなく浮かれていた心が一気に沈んだ。
ジェナが寂しそうに、だが愛おしそうに『あの人』。
ジェナの家族は皆存命だ。ならば大事な人というのは。
(恋人か、片思いの男性だろう)
「‥‥‥仕事をしよう」
唯一、ローガンが役に立てるのは仕事だ。仕事をしていれば気が晴れる。
丁度、休暇で仕事が溜まっている。
目を通さなければならない書類は山積みだ。
「プレヴォー総監!」
重い体を引きずるようにして、自室に戻ろうと昇降口に向かっていると、部下に呼び止められた。
「何だ」
「その、も、申し訳ありません!」
「謝らんでいい。用件を言え」
「は。魔力供給システムに原因不明の不具合が発生しまして、私どもではどうにも手に負えず‥‥‥」
「すぐ行く」
魔道具は、明かりをともす、熱する、冷やす、など、一つの魔法の性質を利用したものが通常だ。動力源が魔法石だったため、単一の魔法しか組み込めなかったのだ。
しかしローガンは地中に眠る無属性の魔力供給システムを考案。無属性魔力をいくつもの魔法陣に流すことで、複数の魔法を同時利用できるようになった。
それにより複雑で高機能な魔道具を生み出し、生活水準を飛躍的に向上させた。前世の知識で、家電の代わりの魔道具を開発したのだ。
例えば感知魔法と熱魔法、風魔法を組み合わせた温度空調魔道具。前世でいう除湿のないエアコンのような魔道具だ。
「不具合箇所はどこだ」
「3番魔力回路の魔法陣です」
「予備の14番回路を繋げろ。3番魔力回路に関する魔法陣を全てリストアップ。一つ一つ誤りがないか点検しろ。供給導線に断裂がないかもだ。僕は魔法陣の制御コードを確認する」
ローガンはびっしりと刻みこまれた文字の一つに魔力を通す。一つの文字から、大量の文字列が空間に投影された。この一つの文字にコードを圧縮して刻む技術もローガンの考案である。
高性能になった分、使われる魔法陣の数と魔法陣を制御するコードは膨大だ。それを一つ一つ目視で確認するしかない。
「14番回路の繋げ方が分かりません」
「ちっ、僕が繋げる」
ただあまりに急激な技術向上に、既存の魔道具師の理解が追いついていない。大抵の不具合の対処はローガン自身がやらねばならなかった。
(今夜は遅くなるどころか、帰れそうにもないな)
ローガンは目頭を揉んで、部下に回復ポーションの箱を持ってこさせた。
****
「はあ」
「あら。ため息なんて珍しいわね」
「申し訳ありません」
我知らずため息が漏れていて、ジェナは姿勢を正した。
白く繊細で優雅な柱と屋根の西洋東屋、ガゼボでジェナは第三王女と向かい合って座っていた。
テーブルの上にあるのは、かりっとふんわり。パン生地の上にクッキー生地が乗ったパン──メロンパンの試作品だ。
青空の下、美しく手入れされた庭園に白いガゼボ。陽光にきらめく見事な金髪と豪奢なドレスもかすむ美少女──第三王女が、メロンパンを優雅にナイフ切り分けてフォークで口に運ぶ。
王女が食べると、なんだかメロンパンがメロンパンじゃない。
まあ、もともとメロンパンは、ちっともメロンじゃないけれど。ジェナにとってはこのパンがメロンパンなのだ。
「王女殿下。メロンパンは切り分けて食べると食感が落ちますよ」
「あら。ならどうやって食べるの?」
「こうやってかぶりつくのが正解ですわ」
「ふうん」
そう言った王女はナイフとフォークを置き、手で摘まんでぱくり。
「うん、美味しい」
「でしょう?」
「でも口元が汚れてしまうのはマイナスね。貴族向けじゃないわ。あなたが私に流行らせられないものをプレゼンするなんて、らしくないわね」
「‥‥‥そうですわね」
指摘されてから、ジェナは失態に気づいた。
ジェナが第三王女のもとを訪れるのは、新商品の広告塔になってもらうためだ。常に流行りの最先端をいく王女は、流行りを作る天才でもあるのだ。
しかし広告塔になるには、実際に愛用しているところを見せる必要があるのだが、王女が人前でメロンパンにかぶりつくわけにはいかない。
「侯爵と上手くいっていないの?」
「はい。もう三日も帰って来ないのです」
「あら。それは通常運転じゃないかしら」
「えっ」
ジェナは丸い目を見開いた。
「帰る時間も惜しいと言って、執務室で座ったまま寝るのが日常茶飯事だそうよ。帰れと言っても聞かないと、お兄様が嘆いていたわ」
「なっ」
ジェナは絶句した。
仕事人間なのは知っていたが、それほどだとは思わなかった。
「失礼ながら王女殿下。退出させていただいてもよろしいでしょうか」
「ええ。構わないわ。行ってらっしゃい」
第三王女は遠ざかる丸い背中にひらひらと手を振って、残りのメロンパンを口に放り込んだ。
肩をいからせたジェナが目指すのはもちろん、魔道具開発管理棟である。
****
「終わったか」
魔力供給システムが全て正常に動いているのを確認し、ローガンはぐったりと椅子に腰かけた。部下たちもほっとした顔でローガンに頭を下げる。
「お疲れ様でした」
「お前たちもよく頑張った。帰っていいぞ」
「いえ。総監こそお帰りください。ほとんど休んでおられないじゃないですか」
ローガンでないと分からない箇所が多いからと、部下たちは帰らせていたので、ずっと詰めていたのはローガンだけだ。
「‥‥‥そうさせてもらおう」
重い腰を上げると、今度はふわふわとしてよろめいた。
「大丈夫ですか」
「問題ない。回復ポーションをくれ」
部下から瓶を受け取ったその時、バン! と音を立てて扉が開いた。
「‥‥‥」
徹夜続きで幻覚でも見ているのだろうか。仁王立ちしているジェナが見える。
(幻覚にしてはリアルだな)
毎晩マッサージをしてもらって寝ていた弊害か、眠くなる度にジェナの顔が浮かんでいたが、今回は妙に現実感がある。
いまいち回らない頭では状況が掴めずに固まっていると、つかつかとジェナがやってくる。手の中から勢いよく瓶を取り上げられた。明らかに夢幻ではない感覚。
(本物!?)
「これは禁止です!」
ジェナの鋭い目線が空き瓶にいってから、ローガンに戻った。
「あれ全部飲んだんですか。ざっと三十本くらいあるんですが」
「僕一人が飲んだわけでは‥‥‥」
「本当に?」
「飲みました」
きりきりとジェナの眉がつり上がった。普段のジェナの何倍も大きく見えて怖い。
「食事は!? 睡眠はとりましたか?」
「……時々寝ていたと思う……?」
意識が途切れている時が何度かあったので寝ていたはずだ。食事は覚えがない。
ジェナの瞳からぽろっと透明な液体が溢れた。
「えっ、なっ、どっ」
(涙!? どうして)
ローガンはみっともなくうろたえた。
ぽろぽろと涙を溢すジェナをどうすればいいのか。肩や背中をさすった方がいいのか。
涙だけでもなんとかしようと拭くものを探すが、洗っていないくしゃくしゃのハンカチが出てきただけだ。こんなものでは拭けない。
「どうした。どうして泣く」
ジェナが自分のハンカチを出して涙を拭い、鼻をかむ。赤くなった目元と鼻が可愛いいと思った。
「心配したんですよ」
「……は?」
心配? 何が。何を?
「心配したと言っているんです。もっとご自分を大切になさって!」
涙に潤んだ瞳が、ローガンに向けられた。
「あなたが大事なんです」
「僕が」
(ジェナが、僕を)
いつもにこにこ笑顔のジェナがローガンを心配して泣いている。
ローガンが大事だと言う。
雷に打たれたような衝撃だった。
自分をこんなにも心配して怒って泣いて大事だと言ってくれる人がいる。
震えるような感動と、泣きたいくらいの歓喜。
今すぐ抱きしめたい衝動に駆られた。抱きしめて赤く腫れた目元と鼻にキスをしたくなった。
前世、今世ともに、ローガンははじめて恋をした。
いや違う。
はじめて自覚した。
思えばプリンをくれたあの時から惹かれていた。
ジェナの作ってくれた食事は何もかも美味しい。
幸せそうに食べるジェナを見ると幸せになる。
柔らかな膝は心地よくて安心する。
ぷっくりとした頬も、笑った時にきゅっとくぼむえくぼも可愛い。
「すまなかった。これからは毎日帰る」
「本当ですか」
「約束する。僕以外の者も対処できるようマニュアルを作る。全部抱え込まないようにするから信じてくれ」
今まで眩しくて直視できなかったジェナの目を見る。どんな宝石よりも綺麗だった。
「しょうがないですね。信じてあげますわ」
ジェナが頬にえくぼを作ってにっこりと笑った。
「帰りましょう。帰ったらしっかり食べて寝てくださいね」
「ああ。だがその前にひとつ聞きたいんだが」
「なんでしょう」
「君の言う、亡くなった『あの人』とは……過去の恋人か?」
「え? っふ、ふふふ」
一瞬、何を言われたのか分からない顔をしてからジェナが笑う。
「なぜ笑う」
「嬉しいからですわ」
今度はローガンが理解できない番だった。
なぜローガンが嫉妬をするとジェナが嬉しいのか。さっぱり分からない。
憮然としていると、ジェナが真剣な顔でローガンを見つめた。
「ローガン様」
「なんだ」
「ローガン様は転生者ですよね」
言い当てられて、ローガンは押し黙った。なんと答えればいいのだろう。
「マニュアルという概念はこの世界にありませんわ。ローガン様が転生者だとしたら、革新的な魔道具の数々の開発も説明がつきます」
そして、なぜジェナは『転生者』を知っているのだろう。
「『あの人』は、過去の恋人なんかじゃありませんわ。あの人は……私の前世です。信じてもらえないかもしれませんが」
ジェナの言う前世という言葉を、ローガンはすんなりと受け入れた。
これまでのジェナの活躍こそ、転生者の証だったのだ。
「いいや、信じる」
差し出された、白くたおやかな手を迷いなく握って、ローガンは一歩踏み出した。
「ジェナ」
「はい」
「たった一週間強で悪いが、最初の言葉を撤回する」
ふわふわ柔らかいジェナの手を、握る手に力をこめた。
「君を愛してる」
****
この日を境にローガンは毎日早く帰宅するようになり。
日に日に顔色よく肉もついて、ガリガリの骸骨が薄幸の美青年にジョブチェンジ。
白豚と骸骨の結婚を面白おかしく笑っていた者たちが、うらやましがるほどのおしどり夫婦になったという。
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