06 二代目かぐや姫食堂、開店ですっ!
・・・それから半年が経った。
ここはアルバリア帝国領エスカドラ。ファン・セバスティアン・エドワード王子がおさめるこの街は、各国から商人や冒険者が集まり、首都パンドラに次ぐアルバリア帝国第2の都市として栄えている。
城から最も離れているこの大通りは、エスカドラ最大の繁華街であり、昼夜問わず人びとが行き交い、賑わっていた。
「喧嘩だー、誰か兵士をよんでこい!」
人が集まれば事件も多い。
道端にはボロボロになった男が倒れていた。4人組の荒くれ冒険者に金をとられたのだ。
「へへへ、弱いやつにこんな大金必要ねえぜ。なあボス、あの店でなんか食いましょうや。」
小男が金の入った袋をシャカシャカすると、髭面の親分は眼の前の食堂を指さした。
こじんまりとした食堂だが、客入りは良い方だ。
「かぐや姫食堂?なんか安っぽい店だなこりゃあ!いちゃもんでもつけてタダメシでも食ってやるかあ!がははははは!」
4人組は倒れた男を一瞥すると、ずかずかと店に入って行った。
男は意識朦朧とする中、その様子をながめていた。すると店の中から・・・。
「ご、ごめんなさい!もうしません!た、助けてー!」
バーーーン! ドカーーン!
勢いよくドアが開き、冒険者たちは店内から吹き飛ばされた。だらしなく地面に転がっている。
そして、そそくさと立ちあがり一目散に逃げていった。
「マナーを守れ!二度とくんな!今すぐこの金を返してこい!外道どもがアアアああああ!」
追い払ったのは、おたまを持った美少女(かぐや姫食堂二代目店主)。
男は少女の姿をぼんやり眺めながら、そのまま意識を失った。。