05 女神降臨
「ちょ、ちょっと待ちなさい!!!」
天から大きな声がして、なんと空から女神が降ってきた!
女神はあわてて神楽から短剣を奪いとり息を整えた。
「はあ、はあ、ふう。やめなさい、死のうなんて。まだ遅くはありません!」
「え?(いや、死ぬつもりはないんだが)」
「わたしは先代かぐや姫。」
(うわー、びっくりした。平常心、平常心)
「は、はじめまして。」
「いい、二人ともよく聞きなさい。かつてこの世には『かぐや姫食堂』という世界一のレストランがありました。」
「はあ。(な、何この展開?)」
「わたしはそのお店の店主です。わたしがつくった竜の国の郷土料理は天下一品でした。」
(え?え?お姉さん、いきなり登場からの自慢?え?え?)
「お客様から受け取った報酬は幸せエネルギー。わたしはかつて、世界中に竜の国に郷土料理を広め、人と竜の橋渡しをしたのです。そう。今に至るまで、わたしのおかげで、平和はつづいたのです。」
「何が言いたいか、わかりますか?」
神楽と紫苑は、首を傾げた。
「神楽、紫苑。かぐや姫食堂を継ぎなさい。この看板を背負って人間に料理を提供し、たくさんの幸せエネルギーを集めるのです。そして、竜が人間にとって守り神であり、大切な仲間であることを、世界中の人間に知ってもらうのです!」
そういって女神は神楽に看板を手わたした。
神楽は戸惑いながら看板を受け取ると、見た目では考えられない看板の重さに驚愕した。
(え?何この重さ。このテンションの高いお姉さん、わたし達に何を?)
「は、はい...。ですが、女神様。世界はもうわたしが滅ぼしてしまいました...。」
女神が神楽の目の前で指をふる。チッチッチッ。
(お、お姉さん?)
「わたしは15年前、あなた達に二つの力を継承しました。一つは紫苑、あなたに『未来視』を。そしてもう一つは神楽に『時空転生』を。」
「時空転生?」
「神楽、あなたは、たった一度だけ、過去に転生することができます。」
「も、もう一度、やり直せるんですか?わたしが世界を滅ぼす前から・・・?」
女神は満面の笑みをうかべた。
「はい、その通りです。」
「で、でも、紫苑をおいてわたしだけ転生なんて・・・」
「その心配はいらないわ。紫苑の固有能力『未来視』は消えるけど、あなた達は特別な絆で結ばれている。運命共同体ってやつね。だから当然一緒に過去に戻れるわ。そんなわけだから、固有能力なんて不要よね?紫苑?」
紫苑がチカチカ光っている。
「はい、もちろんです女神様!」
神楽の右目に月の模様が浮びあがった。
『時空転生』覚醒。
「いってらっしゃい、わたしの可愛いかぐや姫達・・・。もう一度、あの時へ。竜の国を頼みましたよ。」
こうして、神楽と紫苑は過去へと旅たった。
「かぐや姫伝説」いや、「二代目かぐや姫食堂」の伝説が今、始まる!