77/97
葉書
先輩から葉書が届いた。
写真付きである。
『なんとか元気にやっています』と手書きで記された上には、麻袋を抱えた笑顔の先輩が写っていた。
なるほどな。タオルちゃんは写真に映らないもんな。もしくは、映ってはならない感じになるもんな。
いやでも、我が子って麻袋に入れるもんじゃなくない?
先輩のお家ではそうだったの? 何?
もっと他に相応しい入れもんあるんじゃねえの、と思ったが、思ったところで伝えるつもりはなかった。
ついでに言えば差出人の住所も書かれていなかった。
万が一にも、⭐︎⭐︎教の人間に今の所在がバレたくはないのだろう。
ただまあ、あの人たちは俺のとこには絶対来ないから大丈夫だよ。
誰だって、目も当てられない失敗からは目を背けるもんだからね。
見ていなければ、見ないふりを続けていれば、いつかはなくなるものだと思っている。そんな訳がないだろうに。
『他に代わりが見つかったそうです』
なので当然、俺が見なかったフリをしたこの文言も、特になくなるようなことはなかった。




