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口に出してから、自分でも、このタイミングではなかったな、と思うものの、それはそれとして、猫に過剰反応する体になっているので、許してくれとも思ってしまう。魂にまでお猫様への愛が刻まれているので。
それはそれとして、前世は猫アレルギーだったため、見つけたら即距離を取らないといけないので、二重の意味で過敏になっているのである。
お猫様はすべての事柄よりも優先されるべし、というのは、まあ、わたしだけの常識ではあるのだが。
「もう知りませんっ! 一人でこのダンジョンをさまよっていればいいじゃないですか! 野垂れ死ねばいいんですっ」
「わー、ごめんなさい、ごめんなさい!」
つかつかとわたしを置いて先に行ってしまうあアビィさんを慌てて追いかける。足が痛い、とか言っている場合じゃない。ここで見放されたら、本当に生きて帰れなくなってしまう。
「だいたい、こんな地下に猫がいるわけ――」
先に行くアビィさんが声を荒げたところで、タイミングよく、「なぉん」と猫の鳴き声が再び聞こえてきた。今度はわたしだけでなく、アビィさんにも聞こえたみたいで、彼女はパッと話と足を止めた。
地面の匂いを嗅ぎながら、行くべき道を探しているあアルベアちゃんだけが動いている。
「猫……まさか、飼い猫?」
アビィさんが信じられない、と言わんばかりの声音で言う。
とはいえ、この世界でのダンジョンが『魔法使いの家』と定義されているのならば、飼い猫の一匹や二匹、いてもおかしくはないのではないだろうか。わたしだって、ショドーとひいさまがいるし、飼うことができる環境なら猫を飼う。
わたしの発言が虚言ではなかったことにアビィさんはいくらか気持ちを落ち着けてくれたらしい。さっさと行ってしまう雰囲気はもうない。
まあ、落ち着いた、というよりは、猫の声の発生源が気になるからわたしのことなんかどうでもよくなった、というのが正解っぽいが。
「……もしかしたら、罠かもしれません。見つかったら面倒なので、見つからないように気をつけて進みましょう」
思わず、「ええっ」と声をあげてしまいそうになって、わたしは慌てて口をふさぐ。構うつもりはなかったけれど、いたら見たいな、くらいには思っていたので、避けて通る、という発想がなかった。
わたしが猫を見たかったのがばれたのか、アビィさんに呆れたように睨まれてしまった。子供のような見た目の彼女に睨まれたところで怖くはないが、置いていかれたら困るので、一応もう一度、謝っておく。
ざ、ザムさんを探すという第一目的と、ここから脱出するという第二目的は忘れてないもん……!




