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ネコ科に愛される加護を貰って侯爵令嬢に転生しましたが、獣人も魔物も聖獣もまとめてネコ科らしいです。  作者: ゴルゴンゾーラ三国
第一部

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 ――でも、まあ。言われてみれば、確かに、わたしの加護レベルのテイムスキルとやらがアルベアちゃんになんらかの影響を与えていてもおかしくはないんだよな。

 ヴォジアさんはAランク以上のテイムスキルを持っている人なら、他人が行ったテイム契約を強制的に解除できると言っていた。ということは、高ランクであればあるほど、他人のテイム契約にも影響を出せるわけだ。


 ……もしかして、アルベアちゃんがわたしにテイム契約の魔法陣らしき模様を触らせないのって、わたしが触ってテイム契約を強制的に解除されてしまうことを本能的に警戒しているのだろうか。

 Aランク以上のテイムスキルを持っているなら、解除できるわけだし。やり方知らないけど。


「だから、頼めばアルベアも乗り気でついてくると思うよ」


 イベリスさんにそう言われてしまうと、本格的にわたしは言い返せなくなった。わたしが行ったところで、行方不明者なり、死体なりが増えるかもしれないが。

 でも、探しに行きたい、と思ったのはわたしなのである。わたしが討伐依頼をこなして活躍できるような人間ではないことは、イベリスさんだって分かっているだろう。……分かってるよね?


「――……その、ザムさんがいなくなった場所って、ここから遠い、んですか?」


「まあ、遠いか近いかで言ったら……近いんじゃない? 徒歩で行ってギリ日帰りできるよ」


 イベリスさんがそう言うと、「それは慣れてるアンタだからできる話でしょ。彼女じゃ一泊野宿するつもりで行った方がいいに決まってる」と女性店員さんから反論が飛んできた。……この世界に生まれてから、運動もろくにしてないわたしだ。そりゃあ、まあ、社交界のためのダンスとかは叩きこまれてはいるが、それとは違う筋肉を使いそうだ。


「……ま、本気で行きたいっていうなら、ウチの店員一人貸すよ。道案内ができて、ある程度討伐依頼の心得はある奴を。ウチの連中も、ザムが生きているなら帰ってきて欲しいんだ」


 女性店員が、イベリスさんがまとめた依頼書を彼から受け取りながら、そんなことを言った。

 ……わたしが探しに行けたら、と思って、すぐに外堀が埋められるように行けるだけの状況が整いつつある。


「見つかるか、分かりませんよ」


 今になって怖気づき始めたのを見抜いたように、イベリスさんは「人探しは経験や実力も必要だけど、結局は運だよ」と言った。


「いろんな奴がザムを探して見つけられなかったという事実は、君がアルベアのために行動したいという感情を否定する材料にはならない。……ま、それなりに命かかることだしね。好きにしたら」


 そう言って軽く笑うイベリスさんは、多分、わたしが怖いのと同時に、アルベアちゃんのためにザムさんを見つけ出したいと考えていたのを、きっちり見抜いて板のだと思う。

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