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どっちの姿がベースなのか分からないが、姿が変わるって、普通に生活しにくそう。猫から人間になったら服が! みたいなことになってないだけマシだとは思う。謎原理だけど、魔法のある世界なんだから、こう、ファンタジーな異世界なりの理論があるとは思うけど。
「オレは獣人だから、猫にも人にも、自由になれるよ」
「猫の喉じゃ人間の言葉は喋れないけどね」とイベリスさんは言う。
……猫にも人間にも、自由になれるなら猫のままでいてほしいな。気まぐれにあっちこっち行かれるの、猫だと許せるけど人間だとイラッとするし。
――とは、流石に口にしない。その辺は本人の自由だとは思う。だが、猫のような性格の人間を許容できるかはまた別の話。
「ということは、ヴォジアさんも猫になるんですか?」
黒猫っぽいし、ショドーと並べたら黒猫二匹で可愛いんじゃないだろうか。多分、ヴォジアさんは嫌がるだろうけど。
なんて思ったのだが――。
「ヴォジアは無理じゃない? オレは猫族の獣人だから猫にもなれるけど、ヴォジアは人族の獣人だから」
「……?」
言っていることがいまいちよく分からなくて、きょとんとしてしまった。何言ってるんだろう、この人。
「でも、二人とも猫の獣人ですよね」
「うん」
あっさりとイベリスさんが肯定するものだから、余計に混乱してきた。獣人にも二種類いる、ってことでいいのだろうか? どういう分類になってるんだ、この世界。
いや、でも、待って。確かに、スキル鑑定所のお姉さんは「全ての『猫族』を従えることができます」って言っていた気がする。
わたしは勝手にネコ科だ! って解釈してたけど、もしかして、違う……?
とはいえ、ヴォジアさん、初対面でごろごろ言ってたよね。猫特有の、喉を鳴らす音。あれ、わたしがネコ科をテイムする加護があるからだと思ってたけど、人ならそうはならないよね。
まさか、わたしが『ネコ科』や『猫』だと思った範囲がテイムの加護に適応される、なんてことは……。そうしたら、猫族より、ちょっと範囲増えるよね? 実際、ヴォジアさんが猫族じゃなくて人族らしいし。
イベリスさんの反応から見て、こっちの人からしたら、わたしは一緒に見える猫獣人でも、猫族と人族に分かれるなら全くの別物、って考えてるっぽいし、この辺は前世の記憶があるわたしならではの分類になるのかも。
…………ま、まあいいか。深く考えなくても。猫に好かれるっていうのが重要なわけじゃん?
猫から好かれる範囲が広がって、損なんてある? いや、ない!
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