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ネコ科に愛される加護を貰って侯爵令嬢に転生しましたが、獣人も魔物も聖獣もまとめてネコ科らしいです。  作者: ゴルゴンゾーラ三国
第一部

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 ここに来てから、アルベアちゃんの世話が終わればショドーやひいさまに遊んで貰ったり、一緒に昼寝したりと、割と外に出ない生活を送っていたので、散策がてら猫獣人の彼と一緒に外へと出ていることになってしまった。ちなみに、ショドーとひいさまの食事は、飲食店部分に入荷してきている食材を有料でわけて貰っているので、外へと買いに行くことすらしていない。


「それじゃあ、適当に時間を潰して歩きましょうか。ええと……」


「ああ、オレ? オレはイベリス。君のことはヴォジアから聞いてる。新しい子が入ってきたって」


 「名前はルティシャちゃんだよね」と言われたので、わたしはうなずく。

 聞きたいことは一杯あるけれど、初対面でどこまで踏み込んでいいのか分からない。どうして猫の姿だったのか、とか、なんでそんなに物理的に冷たいのか、とか、そういうことくらいは聞いてもいい……よね? 初対面でも、普通にそのくらいは思うだろうし……。あとは、店になかなかいなかった理由も。理由も、っていうか、普段はいないものなのか、くらいは尋ねてみてもおかしくはないよね。わたし、一応この店の雇われなわけだし。


「あの――あれっ!?」


 とりあえず、無難に、今まで店にいなかった理由を聞こうとしたが、さっきまですぐ隣に立っていたはずのイベリスさんが忽然と姿を消していた。

 まだ一分も経ってないんじゃない!? そんなにすぐはぐれることある!?

 いや、でも、流石にそこまで遠くに言っていないはず、と辺りを探すと、案の定、近くのパン屋らしき店のショーウィンドウを覗いていた。


「おいしそう……。ね、アレとアレ、買ってきて」


 イベリスさんが、ガラス越しにパンを指差す。ええと……ああ、焼きたて、って書いてある奴か。

 ……いや、自由人か? わたしもつい、パンを目で追ってしまったが、パンくらい自分で買えるだろうに。


「自分で買いに行ったらいいじゃないですか」


「オレが行ったら店が冷えてすぐにパンが冷めちゃうよ。余ったお金で君も好きなやつ買ってきていいから」


 そう言ってイベリスさんがわたしにお金を渡そうとしてくる。別に、わたしはお腹空いてないんだけどな……。ショドーとひいさま、ふたりと一緒にご飯食べちゃったし。

 でもまあ、そう言われてしまっては、関係ない、と再度突っぱねることもできない。


 わたしは仕方ない、とイベリスさんから数枚の銅貨を渡される。その銅貨は、まるで冷蔵庫に入れていたかのように、ひんやりと冷たかった。

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