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積み重ねられた木箱はそこそこ数があるけれど、入っているものが同じ種類のものばかり、ということが多いので、以外と疲れずに仕分け作業ができている。収める場所を探すのが大変なだけで、見つかりさえすればどうということはない。
……これ、使わなくなった箱、一つもらえないかな。段ボールとかだったら、一つくらいくれたかもしれないけれど、しっかりした木箱なら難しいかな? 再利用前提だよね、これ。
でも、小さめのやつとか、多分、ショドーやひいさまが喜んで入ると思うんだよね。
実際、わたしがふたりを入れてこの国に来たときのバスケットにすっぽりと収まっていることもあるし。ショドーもひいさまも成長したのか、今はふたりで入ることもなかなかないけれど。
ショドーが先に入っているとギリギリふたりが収まるけど、ひいさまが先だと無理。必ず追い出されている。最終的には、ひいさまって、凄く大きくなるらしいから、ひいさまの方が成長スピードが早いのかもしれない。
でか猫でしか得られない栄養素もあると思うので早く成長してほしい反面、抱っこできなくなってしまうのはさみしい。これは、ひいさまがどれだけ大きくなっても抱っこできるように鍛えろというお告げ……? ……いや、でも、ひいさまってショドーと違って、そもそもあんまり抱っこさせてくれないしな。
そんなことを考えながら、物品を棚へと収めていく。
あー、でも、ノルンさんって、魔物が苦手なんだよね? もし、昔襲われたことがあって、野放しの魔物が怖い、というのなら、ショドーとひいさまの話をするだけで不快な気分にさせたらどうしよう。
わたしがここにいる以上、ショドーとひいさまもいるのは避けられないことだけど、ふたりに悪い印象を持たれたくないし。
箱が欲しい、という願望と、魔物の話を一切しないほうがいいのかな、という気づかいが脳内でぶつかり合う。
「…………」
ま、まあ。魔物が苦手だというのなら、苦手な範囲を聞くのに越したことはないよね。こっちだって避けないといけないもんね。
だからとりあえず、どこまでなら大丈夫なのか聞いてみるくらいはいいんじゃないだろうか。
――と、誰に弁明するでもなく、脳内で言い訳をするが、とどのつまり、箱が欲しいという気持ちが、ちょっぴり勝った。
話をするのも嫌、と言うほどでなければ、箱をもらえないか聞いてみよう。
「ノルンさ――」
そう思って、パントリーを出てノルンさんに声をかけようとして。
わたしは思わず彼を二度見してしまった。
大皿を、とんでもない量、持ち上げて運んでいたのである。




