ある男達の末路 5
あまりにも一方的な展開である。
僅か十数秒間の出来事だった。
ダフネは仕留めたのを確認すると、刀を布で拭って付着した血を取ってから鞘に納める。続けて姿勢を正してルサールの方へと向き直ると、冷やかな視線を浴びせながら、凛とした佇まいを崩さない。もはや頬や服に着いた返り血を気にも止めないままだ。
その姿をルサールは見て、異様な寒気を感じた。全身を震わす程に恐怖していた。まだゴブリンの方が耐えれたとさえ、錯覚してしまう。
「大丈夫ですか?…話せますか?…まぁ、無理そうですね。」
対してダフネは、優しい声色で話かけてくる。だが目は全く笑ってはいない。まるで視線だけで人を刺せそうである。
「あ、あんた。…何故、此処に?」
とルサールは、なんとか声を絞りだした。少し裏返り、たどたどしい口調だ。
「私はヒルフェ様を追っていたんですよ。」
とダフネも、淡々と会話を続ける。
「…あ、あの餓鬼か。…し、知らない。…俺等は途中で、はぐれたんだ。…まだ森にいるんじゃないか、…」
「えぇ、言われなくても全て存じています。…」
「…え?…」
「ヒルフェ様は無事ですよ。…先程、ボルドーボアを討伐してしまいましたから。」




