ある男達の末路 1
一方で、ーー
此処は試験会場の山森の中。ヒルフェ達のいる場所から、少し離れた位置である。
そこには腰巾着の細身の男、ーールサールがいた。鬱蒼とした森の中を必死な形相で走り続けており、木々の間や藪の中を掻き分けながら、通り抜けていた。
やがて奥へ奥へと進んでいく。
「こ、此処まで来れば、とりあえずは平気か?…も、もう、…猪も、ノイマンや他の連中も追ってきていないよな?」
とルサールは呟き、何度も背後を振り返る。ずっと逃げ続けてヘロヘロの状態だった。息は荒れており、足取りも覚束ない。
ふと遠くから魔物の咆哮が聞こえてくる。
「しまった!?…こっちに来ていたのか、…仕方ない。また迂回しながら、逃げないと。…」
ルサールは気がつくと、慌てて踵を返して来た道を戻りだす。だが何かに足を引っかけてしまい、勢いよく転んで顔面を地面に打ち付けた。突然の出来事に驚くのもままならず、ジンジンと痛む顔を手で擦る。さらに口の中が傷つき、砂利や血の味がするのを感じて、血液混じりの唾液を吐き出したら、
「なんだよ!?…」
と、上半身を起こしながら、背後の方を振り返って、状況を確認した。
その視線の先には、ゴブリンが横たわっていた。既に絶命したようでピクリとも動かない。
すぐさまルサールは立ち上がり、近くまで寄っていって、まじまじと観察を始める。なんとなく魔物の身体についた傷の形状には見覚えがあり、
「こいつ、…森の中で最初に遭遇して、仕留め損なった奴だな。」
と、気がついたようだった。すぐに怒りを露にするや否や、凄い形相で睨み付けながら、ゴブリンの死体を蹴りだした。何度も何度も執拗に繰り返している。




