間章 合間の出来事 4
「ぐ?!…げぼっ!?!」
足元では、ノイマンが立ち上がろうとしている。代わりに口から血を吐いてしまう。
「ノイマン、う、動けないの?…」
と美女が怯えながら、聞き返していた。
ノイマンからの返事はない。
対して細身の男は、構わずに話を続けていく。
「実はさっきなぁ。…フォン支部長のジジイが試験前に俺に頼んできたんだ。…手段は問わないから、何とかしろって言ってたんだ。…今まで必死に考えていて、良い案が思いつかずにいたけど、行き当たりばったりだったが上手くいったよ。」
「あう、…」
逆にテッドは喋ろうと口を動かそうとするも、心臓が早鐘の様に脈動するのを感じ、呼吸を整えるのに精一杯となってしまう。
美女も理解が追い付かず、交互に顔を振って、話を聞き入っている。
その様子に細身の男は、調子に乗る。口元では、クックッと笑いをこらえており、何気なく懐から小瓶を取り出して、
「…この瓶に入ってるは弱めの神経毒でね。即効性が売りで、魔物の討伐で数稼ぐ時に使ってるんだ。…勿論、人間にも効くから、アニキを刺す前に、たっぷりと短剣に塗ったからね。…少しの間は動けないよ。」
と、意気揚々と説明しているようだった。あまりにも饒舌であり、まだまだ己の犯行を得意気に喋り続けている。
「…お前が集中して熱く語っていたから、簡単だった。…聞き入ってたアニキも、隙だらけだったよ。…普段なら上手くはいかない。…あぁ、全く馬鹿な奴らだぜ。」
「酷い。」
と、美女は、か細い声で批難した。
テッドも顔の表情を険しくしている。
だが二人は、恐怖と混乱に支配されて、棒立ちしか出来ないのだった。
ノイマンも最後の抵抗とばかりに、顔をあげて睨み付けようとした。
その直後に細身の男は、ノイマンの頭を思いっきり踏みつけだした。
何度も執拗に、同じ事を繰り返す。
やがてノイマンは鼻血を流し、苦痛の声を漏らす。
「やっと、……やっと、こいつの寝首を掻く事ができた。…今の光景を何度も夢みていたよ。…いつも扱き使いやがるうえに、俺が討伐で失敗すると殴るは蹴るわ、…力が強いから我慢していたけど、あぁ、今は最高だ!!」
さらに細身の男は悪どい笑みを浮かべ、目を血走らせながら、悪口を言う。
「おら、どうした!?…何か言ったか?…なら、いつもみたいに野次れよ。ほら、…しないのか、…言ってこいよ!!」
目の前の光景に、美女は目を反らした。
それと時同じくして、ー
再びボアの咆哮が木霊した。
木々の倒れる音もする。
今までで最も近い場所から、鳴り響いていた。




