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山での攻防 9

 静かだった森の中は、一気に地獄となった。

 周囲の木々は倒れ、顔が出している岩も砕かれる。

 全てボルドー・ボアが突進しては、あらゆる障害物を薙ぎ倒していき、決っして止まろうとしない。

 未だ俺達は逃げ惑っている。

 だが徐々に遅れてくる者も現れだす。体力の差から一人ずつだが確実に、距離を詰められてしまう。

 今にも追いつかれようとしていた。

 「もう嫌ぁぁぁ、こっちに来るな!?」

 最後尾の美女が泣き喚き、逃げる方向を変えて走る。

 ボアも彼女の方に狙いを定めだしたようだ。

 その方角には、俺を含めて他の皆もいる。

 「ヒイィィィ?!」

 「馬鹿野郎!!…こっちにくるんじゃねぇ」

 「何を言ってんのよ!!…元はと言えばノイマン、アンタ達のせいでしょうよ!」

 「あぁん、なんだと!?」

 「だって、そうでしょうよ!!?」

 「誰か助けて!!」

 一瞬にして、一気に恐怖と混乱が伝染した。

 ノイマンや美女は口論を始めてしまう。

 気弱そうな少年も泣きわめきながら、走っている。

 するとボアが咆哮が間近で轟く。気配もびしばしと感じている。

 俺は後ろを一瞥すると、ボアは目と鼻の先にまで迫っており、後ろの二人に牙が当たる寸前だった。

 「危ない!?」

 とテッドが少年を抱えて、横に飛んで藪の中に回避する。

 俺も同時に脇の茂みへと飛び込んだ。

 やや遅れて、美女やノイマンに細身の男も間一髪で避けていた。

 そのままボアだけが真横を通り過ぎていき、最も近い大樹の幹に激突したのだった。

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