密会 3
しかし、彼の言葉は受け入れられず、ーー
尚もフォン支部長は嬉々として、己の要望を語り続けている。
「この際じゃ、身辺は綺麗にする。…仮に失敗しても、ランクを剥奪して追い出すつもりじゃ。…」
「…それはノイマンがあんまりです。…私には、出来ません。…犯罪の片棒なんて担げません。」
とテッドは説得を諦めて、キッパリと断る。
これが悪手だった。
フォン支部長は怒りの表情を露にすると、
「やれやれ。…お前さんには目をかけてやったのに、頼みごとも聞けんか。」
と、呟いていた。
完全に、脅しともとれる言い回しである。
「…た、確かに。…私は家庭の事情から貴方に無理を言って、冒険者にしてもらいましたけど、別の話でしょう。…脅されたって、やりませんよ。」
テッドは後退りながら、必死に拒否する。
「もう既にやると決定した事じゃ、必ずやってもらうからの。…それでも嫌なら、それ相応の態度に出るしかないからな。」
それをフォン支部長は怒気を含む声色で、一蹴してしまう。
彼の言葉は本気だと、テッドは思い、気圧されてしまう。もはや萎縮して言葉が出なくなった。
やがてフォン支部長は歩きだして、話を終わりにしようとしていた。さらに、ーー
「他の者って、毳毳しい女と、自己中心的なバンダナ男に、頼りなさげな少年じゃ。…適任とは考えられん。…もし、お前の働きが上手く行ければ、今後のギルドでも融通を効かせるから、兎にも角にもやるんじゃ。」
と、テッドの真横を去る際に呟いていた。
ほぼ一方的な命令である。
「し、しかし、……。」
暫くしてテッドは、食い下がろうとする。すぐに後ろを振り返る。
だがフォン支部長は、さっさ離れている。
もう彼は、追いかける勇気はなかった。最終的に「あ、あぁ。……」と呟くだけで、愕然としてしまい、地面に膝を付いて呆然となる。
そんな中でも、フォン支部長はランク昇降格試験の開始を、高らかに宣言したのである。




