一章 十年後の解放
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日の出と共に起床。
牢屋の中で両手首を手錠で繋がれ、すぐに外へ移動し、炭坑に到着した。
持ち場である最深部に着くと同時に作業を始める。
人力で掘削した大量の石を、外へと運びだす。休憩を挟む事なく、別の労働者が倒れても続けていき、空が夕闇に沈んで月が頭上より高く昇った頃に終了する。
再び牢屋に入れられ、土の床に座る。
やがて、運ばれている食事を口にした。
パサパサのパンと、味の無いスープだ。いつも同じメニューである。どんなに疲れて、胃が受け付けなくても無理やり飲み込んだ。やっぱり不味い。
食べ終わる頃には、日付が変わる時間帯だ。
早めに僕は床につく。薄い布を敷いただけの寝床で、ようやく一息つける。
そのまま沈みこむ様に、深い眠りについた。
以下、それを十年間も繰り返した。
蒸し暑い坑道に、屈強な監視員達の怒声が響く。
奴等は狭い通路の中を奔走している。作業する奴隷達を押し退けて、必死の形相で人を探していた。
「居たか?」
「いないぞ!?」
「あの餓鬼!…またやりやがって。」
「とにかく探せ、…。」
と男達は再び走り出していく。
その様子を僕、ーーいや俺は通路の窪みに身を隠しながら伺っている。奴らが居なくなると、
「あんな奴等に捕まるか、…今日こそ、俺は出ていくんだ。」
と鼻を鳴らしながら、一目散に駆け出した。
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