ギルドとスキルと勝負 15
「…そう言えば昼間に、ルームサービスを頼んだが。…もう持って来てもいい頃だけど。」
「…私の方で出かける前に、丁重にお断りを入れました。」
それにもダフネは、淡々と答えていた。
リキッドは驚き、振り向き様に問い詰めだす。
「何で?!…せっかく美味しい物を食べて貰おうと思ったのに。」
「いや、当たり前でしょう。…今のヒルフェ様の胃に、宿屋で出てくる味の濃い食事を与えたら、身体を悪くします。」
しかし、すぐにダフネは強めの口調で指摘する。
端から聞いても、至極真っ当な意見だった。
「…うぅ、…わかりました。」
とリキッドは苦々しく返事をした。静かに口を紡ぐと姿勢を正して座り直す。やがて背中が丸まっていき、項垂れる程に落ち込んでいく。
さっきまでの凛々しさは、嘘の様に失くなった。
情けないな、と俺は、冷ややかな視線を送っていた。
それからダフネは部屋の奥に移動する。少ししてカートを押しながらテーブルまで戻ってきたら、乗せていた大きな鍋の蓋を取る。続けて、お玉で鍋の中から黄金色の透明な液体を皿に注ぎ入れて、配り始めた。
俺とリキッドの目の前に、皿は置かれる。
すると、皿から良い香りが漂う。
すかさずダフネが説明しだした。
「鳥を煮たコンソメのスープです。…薄めに作っているので、飲んでください。」
「あぁ……。」
と俺はスプーンで掬って、口に含む。確かに薄味だった。しかし、奴隷の頃の食事よりも旨い。また一口目、二口目と食べ進め、胃の中が温かさで満たされると、視界が涙で滲みだした。
やがて、カチャ。っと音が鳴るとーー
「あ、…!」
と俺が気がついた時には、皿は空っぽになっていた。まだまだ物足りない。
またダフネがスープを皿に入れてくれる。
「充分に用意してあります。…足りないのでしたら、仰ってください。」
「あぁ、…」
俺は遠慮なく、食べだした。再びスープを口に運び、胃に流し込んでいく。ずっと無我夢中で何度も繰り返していた。まだまだ物足りない。




