ギルドとスキルと勝負 12
そうして俺達は、また豪華な部屋の前にまで再び戻ってきた。
「さぁ、入りますよ。」
ダフネは、さっさと扉に手をかけながら呟く。
しかし俺は返事が出来なかった。凄く戸惑うと、足が前に進まずに躊躇している。さらに顔も俯くと、身体の中で不安が渦巻いていた。
暫しの間、周囲に沈黙した空気が漂う。
ふとダフネは、此方を振り向いたようだ。すぐに溜め息を吐くと、「大丈夫ですよ。」と軽く言っている。
溜まらず俺は、ぼやいて言い返す。
「何がだよ。…大口叩いたってのに、また戻ってきたんだぞ。…凄い馬鹿みたいじゃないか。」
「…確かに。…」
「……今さら、どんな顔して会えってんだ。」
「ですが。…旦那様は、気にしないと思いますよ。…失礼だ、と考える頭もないですが。…」
それでもダフネは皮肉げに言葉を告げると、ゆっくりと扉が開く音がしていた。
「え?」
と俺は思わず顔をあげて、部屋の中を覗き込む。
すると真正面に、リキッドの姿があった。未だにソファーで項垂れている。
先程のダフネが言った通りである。
「…ん?」
やがて彼も此方の気配に気がついたようだ。すぐさま顔をあげ、振り向き様に目が合うと、
「ヒルフェ君!!」
と飛び付いていた。素早い動きと勢いで迫って来て抱きつくと、頬擦りしてくる。
もはや顔中を、涙や鼻水でぐしゃぐしゃだった。
もう俺の顔や服が汚れても、お構いなしだった。
俺も顔を背けて、逃れようとする。同時にダフネと視線があった。
同時に隣で彼女は、呆れた仕草をしているようだ。ほらね、と顔が言いたげであり、自信満々で憎たらしい表情をしていた。
鬱陶しくて仕方がない。
だが俺は、胸を撫で下ろしているのに気がついた。今までの陰うつな感情も、馬鹿らしく思えており、心の底から安心していた。
※※※
ようやくしてリキッドも、落ち着きを取り戻していた。
俺とリキッドは共にソファーへと座る。図らずも、最初に部屋に入った時と同じく、互いに真向かいの席に腰かけている。
彼の傍らでは、ダフネが立っており、耳打ちしながら話をしており、
「それで旦那様。…実は先程、ギルドで、……。」
と、先程の建物で起きた経緯を簡単に説明しているみたいだ。




