一章 十年後の解放 15
「もう、うんざりなんだよ!」
「う、うんざり?」
「俺は、…ばあちゃんと一緒に暮らせれば良かった。…なのに、あの日にいきなり大人の勝手で連れてかれて。ずっと辛い目に合わされ続けた。…もう親やキールみたいな奴らの、大人の都合で振り回されたくないんだよ!」
「わ、私は、…決して、そんなつもりじゃないんだよ!」
「どこがだ!!…お前が自己満足したい様にしか聞こえねぇよ?」
「あ、…あぁ。…」
とリキッドは、やがて表情を曇らせながら、両目を見開いて愕然としていた。もはや何も言えなくなったようである。
「…そうしたいなら、未だに顔も見せない俺の馬鹿両親にしてやればいい。」
そして俺は手を振り払うと、踵を返して出口の扉へと向かい、ドアノブに手を掛けた。
「…何処へ行かれるのですか?」
ほぼ同時に、ダフネが凛とした声で質問してくる。
「どこって、少なくとも、この部屋から出ていくんだよ。」
「…貴方、行く当てでもあるんですか?」
「………。」
今度は俺が押し黙る。言い返せない部分を、突かれてしまった。しかし、結局は何も言わないまま逃げる様に部屋を出ていき、宿屋から去っていった。




