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一章 十年後の解放 13

 その後も彼の話は淡々と続いた。

 若かりし頃のリキッドは、マーサの行方を追いかけたらしい。

 ずっと職を転々としながら、情報をかき集めては、様々な街に移るのを繰り返す。幸いにも学んだ一般教養が役立ち、仕事には困らなかったらしい。

 今までの経験と培ったコネを使って、現在の地位を確立したらしい。

 「しかし、それでもマーサさんを見つけるのは苦労してね。…最後に会ってから、行方を掴むまで二十七年も掛かってしまった。…そして五年前に、晩年の彼女が住む村へと訪れたんだが、……」

 「だが?」

 「…私が村に辿り着いた時には、彼女の葬式は終わっていて、君が連れて行かれた後だったんだ。」

 「……。」

 「結局、彼女には間に合わなかった。…でも、村人達から、君の事を聞いたんだ。…更に五年かけて情報を集めて、急いで金を準備してきたんだ。」

 と彼は一息をつきつつ、話を終える。

 「…それが、俺を引き取った理由か。」

 俺も話を聞くと頷いて納得し、ゆっくりと視線を向けた。全部聞けば、なんとも突拍子もない話で、まるで物語の出来事であると感じた。しかし、今まで様子から嘘である様には見えなかった。

 すると、今度はリキッドも此方に向き直り、

 「…で、話は変わるんだけど、……。」

 「まだ何かあるのか?」

 「君、…私と一緒に暮らさないか?」

 と告げてきたのだった。

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