一章 十年後の解放 10
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やがて俺達は、最上階にたどり着き、廊下の一番端にある部屋へと入る。
俺は通りすぎる際に、扉のプレートを確認した。
部屋の番号と共に文字が書いてある。また読めず、何の部屋かはわからない。
しかし部屋の中は、凄い広さである。さらに、より豪華な家具が設置されていた。
また隅々まで掃除してあり、清潔に保たれている。
先程の玄関先と比べても比較にならない。
すると老人が、「そこのソファーに掛けたまえ。」と、部屋の中心にある家具を指差しながら、促してきた。
そこには、長テーブルとソファーが設置されている。此方も上等な物のようだ。
俺はおずおずと座った。ソファーは柔らかい座り心地である。まるで吸い込まれるようだと錯覚してしまう。
そして真向かいの席に老人も腰かけたら、
「おい!…ダフネ。」
と部屋の奥の方を向いて、呼び掛けていた。
俺も釣られて、顔を振り向かせる。よく見ると部屋の奥には別の扉があった。どうやら隣の別の部屋と繋がっているようだ。
ゆっくりと扉が開いていくと、綺麗なメイドが姿を現した。
短い黒髪と鋭い目付きが特徴的な女だ。肉感的で年齢は三十代程である。すぐに姿勢を正して、ロングスカートの裾を摘まみながら恭しく御辞儀しながら、喋りだす。
「旦那様、…お呼びですか?」
「あぁ。…済まないけど、…冷たい飲み物を淹れてくれ。」
「はい。」とメイド、ーーダフネはお辞儀したまま、再び元の部屋に戻っていた。
それから瞬く間に、彼女は御盆にお茶の入ったコップを持ってきて、長テーブルの天板に置いていった。




