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一章 十年後の解放 9

山道を進む度に、ワゴンが揺れる。

 車窓からは外の風景が流れていき、坂を下りきって岩山を抜けたら、煉瓦作りの建物が並ぶ町へと移り変わっていた。

 外は色鮮やかな家々が行き過ぎる。整頓された石畳の大通りを、スーツを着た紳士と、荷物を背負う行商人と、ボールを持った子供が交差していく。

 俺は目の前の光景を、凝視している。町の景色は久しぶりで、目が離せない。

 やがて大通りの一角に差し掛かると、大きな建物があった。

 今まで見た中でも、最も豪華な場所である。看板には、「宿屋」と文字が書いてある。

 しかし、俺は文字が読めなかった。

 やがて馬車は速度を落とし、「宿屋」の前に停まった。

 すぐにワゴンの扉が開くと、先に老人が降りていき、手招きして促してくる。

 俺も後に続いて降り、玄関を潜っていくと、

 「……うぇ?!」

 と、辺りを眺めた瞬間に驚いていた。

 建物の中も、内装が豪華だ。見た目通りの印象である。

 まず入り口の部屋は、天井まで吹き抜けだった。高さは三階までありそうだ。

 また真正面の壁際の中央には、受付のカウンターがある。

 部屋中は、埃や汚れもなく清潔にされている。

 さらに彼方此方に、多くの宿泊客がいるようだ。

 従業員も齷齪と動き回っている。凄く繁盛しているようだった。 

 ふと老人が部屋の奥へと進み、カウンターの従業員に声を掛けていた。

 すると、彼等は媚びへつらう態度で返事を返し、

 「…リキッド様、お戻りですか?」

 「…今、戻ったよ…。夕食時にルームサービスを用意してくれ。後、悪いが私の部屋に誰も来ない様に頼むぞ。」

 「かしこまりました。」

 と最後には、お辞儀して業務に戻っていく。

 「ではヒルフェ君、…来てくれ。」

 と老人もカウンターを離れて、先に階段を上がりだした。

 俺も、急いで後を追いかけた。

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