ある男達の末路 9
「な!?…他の者達は、どうでもいいなんて、……。」
と、試験官は反感を覚えて言い返す。
そのまま彼等は言い争いをしてしまう。
「だいたい試験官のお前さんがしっかりやれば済んだ事じゃ。もっと急いで戻って来ないで、現場で対応していれば、まだ速く動けた筈じゃ。」
「…あんな化け物を相手に、戦闘はからっきしの職員一人で、完璧な対処なんて出来る訳ないでしょう!!」
「…そんなの、お前さんに任せた時点で責任の一端はあるのじゃぞ!…試験会場で手を打つのも、職員の仕事のうちじゃ!!…もし、これ以上言うのなら、お前さんをどうにかしてもいいんじゃぞ。」
「ぐっ、……」
ただ一方的に、フォン支部長が言葉でねじ伏せてしまう。権力を傘に着た発言だった。
次第に試験官は気圧されてしまい、何も言えずに口を紡ぐ。終いには苦々しい顔をしながら睨み付けていた。
「全く、…ボア程度だからと侮っていた。他の冒険者がいれば容易く済むと高を括っていたが。…いったいどうなっとるんじゃ。…このままではワシの長年の経歴やらに傷がつく。…」
それでもフォン支部長は気にも止めず、忌々しげに独り言を呟く。さらに顎髭を撫でながら明後日の方を向いて呟きながら思案する。思い付く限りの方法が脳裏を過る度に、頭を振って否定し、また別の案を模索するのを繰り返す。
試験官は黙って立ち尽くしていた。
他の職員達も、狼狽えながら指示を待っているようだった。
「ねぇ!!…いつまで時間がかかるのよ!」
「早くしてくれ!」
すると唐突に大きな声がする。
美女が怒鳴りつけたのだった。フォン支部長や職員達の様子に痺れを切らしている。
隣のバンダナ男も同じく、続けざまに文句を言う。
すぐさま、近くの女性職員が宥めだした。
「あの、落ち着いてください。…傷に響きますから。…」
「これが落ち着ける訳ないでしょ!…テッドや他の人達は、まだ山に残ったままなのよ!…あれから、どうなったか解らないのに悠長なんかしてられないわよ!」
「そうだ。…あれは、あのボアは尋常じゃねぇ。…皆が危ねぇよ。」
「お願いだから、早く助けに行ってよ!」
だが彼等は決して、叫ぶのを止めない。怒りで興奮していて、冷静に対応できないようだった。




