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何が大切かは、エルフによって違うよね?


母さんとの通信が終わったんで夕食だ、スープは母さんの手作りが保存されてる。

まとめて作ってあって、小分けされてるのを食べるんだ。

母さんがいない間の食事の支度はアイの仕事になってる、僕は待ってるだけだ。


『 今日は、カミハ様がお好きなジャムが乗っているパンを用意しました 』


「 ありがとアイ 」


一人の夕食にも慣れた。

でもそれを言うとアイが凄く怒るから決して口にはしない。

怒らせると、小声でボソッとつぶやくアイの得意技がでるから言わない事にしてる。


「 アイ、母さんを心配させちゃったかな? 」


夕飯を食べながら、母さんとの通話を振り返る。

最初から最後まで母さんはチョット元気が無かった。


『 いえ、むしろサラ様は安心されたと考えます 』


「 そうなの? 」


『 はい。 カミハ様がシミュレーターで後ろから撃たれた時の事です・・・ 』


母さんはスゲー怒ったそうだ。

もちろん僕に怒ったんじゃなくて、撃ったハイエルフの方に怒ったんだって。

でもハイエルフとか派閥とかのイザコザに僕を巻き込んじゃったって、すぐに落ち込んだんだって。


「 巻き込んだって、撃たれたのは僕の判断なのに? 」


シミュレーターで後ろに居る班員から撃たれたけど、避けようと思えば避けられたんだ。

アイが事前に警告してくれたし。

それでも当たっておこうと判断したのは僕だ、母さんじゃない。

それに実戦じゃなくてシミュレーターだ、危険は無いしケガもない。


『 はい。カミハ様をハイエルフの派閥争いに巻き込んで、撃たれるような状態にしてしまったと考えられたようです 』


「 そうなんだ・・・ 」


僕は、どうしたらハイエルフとの繋がりを無くせるかしか考えてなかった。

母さんも心配するだろうとは思ったけど、それはクラスが落ちることだと思ったんだよ。


「 失敗しちゃったな~ 」


椅子に座ったまま天井を見て反省する、天井には天井しかないんだが。

そう言えば、アイの本体は何処に在るんだろうか。


『 カミハ様を、ハイエルフや派閥の争いに巻き込んだのは事実です。 決してカミハ様の失敗でありません 』


「 そうは言うけどさ、巻き込まれたなんて考えたこと無いんだよな。 だから母さんが、それを心配するって思いつかなかった 」


アイが言うには、『 もし実戦だったら 』 母さんはそう考えたみたいだ。

実戦だったら避けたけどね、そういうんでも無いんだろう。

やっぱり失敗だな、母さんが帰ってきたら謝ろう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


夕飯が終わったら、今日アップする動画を撮影する。

毎日アップしないといけないのはかなり面倒だけど、これは義務だ。

男子は優遇されてるんだから義務は果たさないとな。


『 いつも通りに撮影されるのですか? 』


「 そのつもりだよ 」


『 クラスが変わる事態があったのですから、「 緊急で動画を回しています! 」 が使えると思うのですが? 』


「 なんだそれ? 」


アイは他の男子の動画をチェックしているそうだ。

それによると、他の子は目に留まり易くするために色々工夫しているんだと。

「 緊急で動画を回しています! 」 もその一つだとか。


キャッチーなタイトルにすると、動画を見てくれる人が増えるんだとか。

アイの分析では、ある程度の効果は在るんだって。

タイトルに着けるサムネイルも、大げさにしても効果があるんだとか。


彼らはバカなのかな?

見るエルフが増えても、中身がシッカリしてないと逆効果だと思うんだよ。

一時的に増えても、それ以上に減るって考えないのかな。


まあ、増えても減っても僕には影響無さそうだけど。

彼らは ”中身には自信がある、見てもらえば判るぜ” 的な発想なのかな。

まぁバカなんだろうな。


「 僕はそんな事しないよ。 それにアイ、動画は回らないからね? 」


何だろう動画を回すって表現は、動画を記録した媒体をクルクル回すんだろうか?

予定にない動画を記録しています! って言いたいんだろうか?

昔の撮影媒体だとしても、記録してある動画を回したら再生になるはずだけど。


それに緊急だったら録画してからアップするなんてしないで、そのままライブで放送すればいい。

むしろ ”緊急” なんだからそうすべきだ。


確かに、”ドウガ” と言う物体を回す新しい芸の発表会って可能性はあるけど。


『 承知しました、残念です 』


やっぱし無いんだろうか、新しい芸って可能性は。

見てみたいとは思う。



「 こんばんは、カミハ・オーガスタです。 今日、初めてDの探索がありました・・・ 」


詳細な情報は伏せる。

ハイエルフの嫌がらせがあったとか、妨害されたとか、非協力的だったとかは言わない。

初めてのD探索で1発も撃てなかった事、小隊の指揮が出来なかった事。

シミュレーターの低評価もあって、成績がクラス4に相応しくないと判断された事。


「 明日からは6クラスに落ちる事になりました 」


僕の中では移動だけど、教官は落としてやったって思ってるらしい。

ハイエルフの派閥に、嬉しそうに報告しに行ったって言うし。

だから落ちたって言った、そうすれば向こうはいい気分になれるだろうし。

いい気分になれば、母さんや僕への嫌がらせも減りそうだし。


希望的観測なのは認める。


「 ・・・以上になります。 おやすみなさい 」


何時もの言葉でいつも通りに録画を終了する。


「 アイ。 確認とアップをお願い 」


『 確認済みです、そのままアップしますか? 』


アイも慣れてきて、録画しながら編集するようになってきた。

編集って言っても、映っちゃいけないモノ、映したくないモノ何かを隠して消す作業だ。

ウソや紛らわしい表現は禁止されてるから、それも確認してくれてる。

僕も気を付けているけど、ウッカリが在るからね。


「 ありがと。 アップして 」


『 了解しました、アップ完了しました 』


アイは仕事が早い、僕はまだ片づけが終わってないのに終了だ。


「 了解。 じゃ、コーヒーを飲んだらポッドに入るよ 」


学習ポッドで、今日の訓練をフィードバックして効果を上げるんだ。

でもさ、今日ってDの中を走っただけなんだよな。

教官のお説教は在ったけど、スルースキルでも上げるんだろうか。


『 コーヒーはいつも通りでよろしいですか? 』


僕は玄関のドアに手を掛けた姿勢で止まる。

何時もと同じコーヒーで良いのか、アイはそう聞いてる。

僕の気分はどうなんだろう。


チョット考えてから答える。


「 いつも通りでお願い 」


『 承知しました 』


クラスが最下位になったからって、気にしない。

誰に何を言われても気にならない。

自分で建てた計画だし、上手くいったんだし。


「 ごめんアイ。 ヤッパリ生クリームを乗せてくれる? 」


『 チョッピリでよろしいですか? 』


「 タップリで! 」


ドアを勢いよく開けながら答える。

計画が上手くいたんだし、お祝いしなくちゃ。


でも寝る前、母さんに心配させちゃたことを思い出して、落ち込んだんだけど。

















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