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Dの中で走ってはいけません、って事だ

剣と魔法とダンジョンと宇宙船の話を、書きたくなったんで書いてみた作品です。 序盤は地球の日本の話で、長いプロローグと背景説明が続きます。



『 ホントに追いついちゃったんだね 』

『 4人共俺の言う事を聞かないんで、仕方なくだけどな 』


僕は4人から預かったポータブルシールドを降ろしながら答える。

彼女たちは僕とエチゴから離れた場所で、イザベラを中心に集まって何か話してる。


4人と別れて別々に攻略しても良かったんだけどな。

ケガでもされたら僕のせいにされる。

それは僕が居なくても変わらないんだけど、居れば庇うことぐらいはできる。

最悪を回避するために、一緒に居ることにした。


それに、班の指揮をマルッと放棄するわけにはいかない。

正直に言うと僕は困らないんだけど、母さんの評価に傷が付きそうで怖い。

班員を見捨ててケガをさせたヤツの母親って言われるかもだし。

軍のことは詳しく知らないけど、脳筋が多そうなんだよな。


ハイエルフはミスをしても自分の責任を決して認めない、必ず誰かに責任を擦り付ける。

何もしてなくてもその場に居なくても、僕の責任になってる事が在る。

だから注意し過ぎってことは無い。


『 それはそれとして、なんで4人分のシールドを持ってるんだい? 』

『 早く合流したいって言うからさ、彼女たちの荷物を減らせば早く走れて、早く合流できると思ってね 』


とりあえず小隊としての行動を命令したけど、ハイエルフの彼女達がエルフの僕の言う事を聞くハズなんて無かった。

Dに入ってすぐに走り始めたんだけど、走るスピードは遅かった。

パワーより機動性の設定だったんだって思ってる、フル装備の荷物の重さと合わなかったんだろう。


こりゃダメだなって思ったんで、早く安全に終わらせる方に方針を変えた。

何度言っても聞かないなら、早く終わらせてしまった方が良いと思ったんだ。

だから移動速度を上げるために、装備の中で2番目に重いポータブルシールドを僕が持つことを提案した。


簡単に了承された。

なんで、もっと早く言わなかったんだって言う子も居た。

気が利かない奴だって言う子も居た。

無視したけどな。


結果として、荷物が減った彼女たちの移動速度は上がった。


マジカルスーツには通信機能は在るけど外部スピーカーは無い、音で護衛に気づかれるから。

通信は小隊系しか用意されてないから、違う小隊のメンバーと話そうと思ったら、マジカルスーツの頭部装甲を開かなくちゃいけない。

小隊長同士は通信できるけどな。


Dの中で装甲を開ける気が無い僕やエチゴには、彼女たちが何を話してるかは聞こえない。

聴く気は無いし、こっちの通信も聞こえないからお互いさまって事で。


『 僕は3体倒したよ、赤2、青1。 カミハはどうだったんだい? 』

『 0だよ、1発も撃ってないから当たり前だけどな 』


エチゴはレッドスライム3匹とブルースライム1匹を討伐したと、僕は0だ。

僕のいる小隊は可能な限りの速度でDを移動したから、そもそも遭遇した護衛の数は少なかった。

少ない獲物を彼女達4人だけで撃ってたから、僕に回ってくる分は無かった。

僕は1回も射撃してない。


小隊の指揮もしてないし、色々問題視されるなとは思う。


『 最初にしたら上出来じゃないか? 』


もちろんエチゴの成果のことだ。


『 でも、この程度じゃステータスは上がらないだろうね 』


『 だな 』


護衛を倒して得られる経験は、単独か複数かで変わると言われてる。

もちろん、単独撃破の方がレベルが上がるのが早いと言われてる。

僕はポータブルシールドの最後の1つを置いてからエチゴを見る。

エチゴは僕の側で立ったまま、イザベラ達を見てた。


『 何とかしなくちゃいけないね 』


Dに潜るのは経験を積むためだ、それでステータスを上げるためだ。

何もしないで走ってるだけじゃ来る意味がない。


『 そうか? 俺は上手くいったと思うぞ 』


『 どういう事だい? カミハはシミュレーションの成績も悪かっただろ? その上Dの実習で成績が悪かったらクラスが・・・ 』


そこまで話して急に黙り込むエチゴ、さすがに気が付いたかな。


『 カミハ、まさか君は・・・ 』

『 前から言ってるだろ、俺はハイエルフと関わりたくないって 』


学校のクラスは年2回成績順に割り振られる、それ以外でも臨時で変更される時もある。

教育の効率を上げるためだ。


ちなみに、同学年の男子でシミュレーションで死亡判定が付いたのは僕ともう1人だけだ。

マジカルスーツを着てて、スライム相手にやられるのは実はかなり難しい。

僕は後ろから撃たれたけど、もう一人はどうしたのか気にはなる。


僕には班の指揮官としての実績も無しって言うオマケも付く、成績は最低のハズだ。

小隊としての作戦行動が出来ないんだから、指揮能力が無いと判断されるだろう。

当然、僕のクラスは落ちるはず。


『 僕達は友達のハズだよね? 』

『 そうだな 』

『 だったら、どうして自分だけクラスを変えようなんて・・・ 』


エチゴは僕のマジカルスーツの肩を掴んで、ワッサワッサ揺さぶる。

まだしゃがんでるから力が入らなくて逆らえない。


『 だから俺はハイエルフと関わりたくないんだよ 』


スッと立ち上がってエチゴの手から逃げる、体術は僕の方が上だ。


『 僕はハイエルフじゃない 』

『 でもそのうちハイエルフになる。 それにハイエルフとも商売するんだから、慣れとかないとな 』


エチゴは僕のマジカルスーツの肩を掴んで、またワッサワッサ揺さぶり始める。


『 せめて相談してくれても良かっただろ 』

『 お前に相談するとイザベラに情報が漏れるだろ? 』


シミュレーターで後ろから撃たれたり、色々と邪魔する班員だったり。

全ては、僕と同じ班のハイエルフがやってる。

誰が指示を出してるかは知らない、イザベラの母親なのか、それともはエチゴの母親なのか。


ハイエルフが商人の言う事を素直に聞くとは思えない。

まぁ、イザベラの母親辺りではないかと思ってる。


イザベラはエチゴと婚約してるから僕とも接点が有るだけ。

僕とは直接関係は無い、関係無いのに取り巻きが色々とやってくる。

『 握手で利き腕を塞いでおいて、開いた手で毒付きのナイフを突き刺してくるのがハイエルフのやり口です 』 とホームロイドのアイが言ってた。


僕とエチゴのクラスが離れれば、僕とハイエルフの接点は無くなる。

そうすれば邪魔をするハイエルフが居なくなる、少なくも授業で直接邪魔は出来なくなる。

下位のクラスにはハイエルフはいない、エルフばっかりだから。

僕はそう考えた。

ホームロイドのアイも、対象の行動予想を間違っていないと判断した。


『 かなり前から準備してたんだね 』

『 そりゃそうだ。 ハイエルフ様のご機嫌を損ねるのはまずいからな 』


迫りくるエチゴの手を躱しながら答える、エチゴが何をしようとしてるのかは知らない。

手が来るから避けてるだけだ。


それでだ、彼女たちの射撃なら後ろから撃たれても避けられる。

マジカルスーツには、アイのコピーがインタフェースとして搭載してある。

コピーアイは優秀だし、マジカルスーツのセンサーも良いモノを付けてある。

急に転んでも良いし、クシャミで偶然避けられた風を装っても良い。

どうとでも避けられる。


でもハイエルフ様たちのご機嫌を損ねないためには、当たるのが一番良いと考えたんだ。

『 なんで避けたの!? 』 って言いそうじゃん。

シミュレータだから怪我しないし、まぁ当たっておこうかなと考えた。


『 ・・・エルフのくせに 』

『 これだから下々は・・・ 』

『 イザベラ様を放置するとは・・・ 』


マジカルスーツには通信機能は在るけど外部スピーカーは無い、音で護衛に気づかれるから。

違う小隊のメンバーと話そうと思ったら、マジカルスーツの頭部装甲を開かなくちゃいけない。

でも、唇の動きで何を話してるかは分かる、僕のスーツにはそう言う機能が載っけて在る。


マジカルスーツにどんな機能を搭載してるかは、みんな結構秘密だったりする。

武器の種類や索敵用センサーの情報は班員のみんなで共有するけど、それ以外の情報は基本的に秘密だ。

エチゴのスーツの情報は本人から聞いてるけど、全部じゃないと思ってる。

そう思えってアイから教えられてる。


Dから出たら教官に嫌味とお小言を言われるだろうな、でもそれで最後だ。

もう少し我慢すればハイエルフとはサヨナラだ。


『 僕達は離れても友人だよね? 』

『 当たり前だろ 』


エチゴの友人であり続けることと、ハイエルフとの接点を減らすことは何の問題もなく両立できるはずだ。

たぶん、おそらく。


誤字、脱字、読後の感想お待ちしています。

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