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存在そのものが嫌われる存在

剣と魔法とダンジョンと宇宙船の話を、書きたくなったんで書いてみた作品です。 序盤は地球の日本の話で、長いプロローグと背景説明が続きます。


ランニングから帰ってシャワーを浴びたら朝食だ、今日も母さんがお手製のスープが美味しい。

パンはアイが作ってくれてる。

アイには手が無いから手料理って言えるのかは知らないけど。


「 母さん。 うちの家計ってどうなってるの? 」


「 何か欲しい物あるの? すっごく高くなければ大丈夫よ 」


朝食を食べながら我が家の家計について母さんに訊いてみた、思い立ったらすぐに行動だ。

って訳じゃない。


子供がクレジットの事に口を出して良いか悩んだし、男子が受けられる国の補助金も調べた。

自分で出来ることは自分でやる、男子のお約束だよな。

補助金は色々あるみたいだ、申請しているのかは母さんに聞かないと分からなかった。


「 別に欲しい物は無いけど家計が気になったんだ。 これから実習が始まるから節約した方が良いのかなって 」


「「 !!! 」」


母さんとアイがビックリしてる、ホームロイドも時々ビックリするんだよ。

隣に座ってる母さんが僕をハグっとした。


「 カミハはそんなこと気にしなくて良いの。 我が家はタップリとクレジットを貯めてあります 」


「 そうなの? 」


「 そうよ~。 アイ、我が家の家計概要を報告して 」


『 ハイ、オーガスタ家におけるカミハ様指数は 「 ちょっと待ってアイ。 カミハ様指数ってなに? 」 』


母さんは朝食を食べながらハグっとしたんで、スプーンからスープが零れてる。

でも今日は出勤日じゃないから服にシミが付いても洗濯すればOKだ、何とかなる。

それにしても、急に聞いたことの無い単語が出てきたんだが。


『 オーガスタ家の収入において、カミハ様に関連した支出合計の割合になります 』


「 なるほど? 」


『 先月のカミハ様係数は平均で0.866%で、過去10年間大きな変化は在りません 』


ハグっとし続ける母さんの手からスプーンをとってテーブルに置く。

我が家の収入の0.866%を僕だけが使ってると、なるほど、なるほど。


「 それって多いの? 少ないの? 」


数字だけ言われても良く分からん、母さんの収入は平均よりかなり多いはずだし。

せめて比較対象が欲しい。


「 少ないと思うわよ? 」


母さんも詳しく知らないらしい、母さんらしいと言えば母さんらしい。

僕もさっきまで気にしてなかったからな、親子だからしょうがないか。

似てるってのはちょっと嬉しい、親子だから当たり前だけど。


『 エチゴ様やハイエルフの極端な例を除けば、我が家のカミハ様指数は低いと言えます。 少しの贅沢は許容範囲内と判断します 』


「 なるほど 」


全収入のってことは、母さんの収入が他の人の10倍だったら実際の係数は8.66%になるってことか。

他の家に ” カミハ指数 ” が在るとは思えないけど。


これからはDに潜るための装備が必要になってくる、武器やスーツや色んなモノが必要だ。

消耗品だってある。


男子用の装備は女子と比べて数倍の値段がする、女子と違って量産化による原価低減が期待できないから。

訓練用のDでも命をなくす可能性は0じゃない、だから装備の手抜きは出来ない。

それに国の補助が入ってる値段で数倍だから、実質的に上限なんかない。

軍に入れば支給されるから問題ないんだけどね。


「 これからD用の装備でクレジットが掛かっちゃうよ? 」


「 そうよね、そこは手を抜けないわよね。 カミハには最高のものを用意するわ、でも軍のコネで安く仕入れるから大丈夫 」


「 そうか、その手があるんだ 」


「 そうよ。 だから心配しなくて大丈夫、欲しいものが在ったら正直に言うこと 」


「 は~い 」


学校の時間があるから、その後は朝食を食べながらの話になった。

急にクレジットの話をし始めた理由を聞かれた、エチゴが映像のためだけに1000万クレジット使った話を聞いたからだって話したら笑われた。

ヨソはヨソ家は家だって、そりゃそうだよね。



学校前でコミュータを降りる、学校の敷地にはいろんな施設が建ってる。

全ての授業は屋内で実施される、射撃場や格闘術、剣術もだ。


ボルトはドームで覆われていて敷地面積に限りがある、屋外で運動したければ中央公園でどうぞって感じだ。

エルフは元々身体を動かすのが好きな種族だ、普段から運動してるから学校に来てまで運動する必要がないってのも大きいだろうね。


上履きに履き替えて教室に向かう、突き当りを右に曲がればすぐに教室だ。

左に曲がれば1組から3組、右には4組から6組が在る。


この時期はクラスのメンバーが激しく入れ替わるって聞いてる、女子だけね。

成績優秀な1組で班別けが終わると、つまり必要な女子を1組に優先的に移動するのが終わると2組の班別けが始まる。

2組が終わると3組、3組が終わると・・・って感じで6組が完了するまで続くって聞いてる。

6組は選別から漏れたエルフが集まるんだってさ、なんか嫌な感じだ。


僕の学年の班別けはチョット変わってるらしい、4組が優先されるんだと。

1組や2組はボルトの有力者の子供が多いみたいだけど、国の有力者は4組に集まってる。

エチゴとか、エチゴの婚約者とかだな、だから今年は4組が優先なんだってさ。



「「「 ・・・・・・ 」」」


教室のドアを開けたらみんなの視線が僕に集中した、ほとんどの顔に見覚えが無い。

どうやら入れ替わりが在ったみたいだ。


「 おはようカミハ 」


「 ・・・おはようエチゴ 」


エチゴの席は廊下側の1番前だ、僕はその後ろ2番目の席だ。


「 ちょっと良いかい? 」


僕がカバンを置くのを待っていたエチゴに連れられて、席に座ることなくそのまま廊下に出る。


「 母上に聞いたんだけどさ・・・ 」


エチゴの後をついて歩く、トイレに向かってるのみたいだな。


「 4組の班分けが終わったよ。 後は残りのクラスが変わるのを待つだけだね 」


「 そうみたいだな 」


トイレに入ったら一番奥の窓際まで移動だ、ここなら他の誰かに聞かれる可能性は少ない。

個室に誰も居ないことを確認したエチゴが僕に言う。


「 一体何をやったんだい? クラスのほとんどの女子が、君を嫌ってるみたいだけど 」


「 だろうな 」


僕がクラスに入った時、そこに居た女子全員の嫌な視線が集中したからな。

まるでゴミでも見るような視線だった、中には物凄い表情で睨む娘もいたし。

僕は他人の感情が分かるスキルは持ってない、持ってないけど負の感情って伝わるね。

そこは自信を持って言える。


「 一体何をやったんだい? 」


「 俺には分からん 」


エチゴは手を顎に当てて考え始めた、考えて分かるもんなのかね。


「 じゃあ一体どうして・・・ 」


「 班別けを決めたのは俺たちじゃないだろ? 何が出来るって言うんだ? 」


まぁ、何もしなくても嫌われる存在ってのは居るけどな。

それが自分だとは思わなかったけど。



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