僕は僕らしく
剣と魔法とダンジョンと宇宙船の話になります。 序盤は地球の日本の話で、長いプロローグと背景説明が続きます。
※誤字報告を頂きました、ありがとうございます。
「 ご馳走様でした! 」
お腹一杯だ、学校に行くようになってから食べる量が増えた気がする。 今日も食べすぎたかもしれないけど育ち盛りだからな。
「 美味しかった~。 やっぱりミートボールはかぶりつく位の大きさが良いよね~ 」
母さんが笑ってるけど美味しいものは正義だ、一口サイズのミートボールだと物足りないんだ。
「 どう致しまして 」
『 満足いただけて何よりです 』
食後はコーヒータイム、母さんが淹れてくれたコーヒーは最高だ。 食後のコーヒーは脂分の分解を助けてくれるらしいから、食べ過ぎた時でも太りにくいって。 僕は太ってないけど。
「 それで、何を上げるか決まった? 」
「 とりあえずは自己紹介からかな。 後は今日あった事をチョット喋る感じで行こうかなって 」
母さんが話してるのは、男子が入学したら始めなくちゃいけない 『 情報発信の義務 』 の事だ。
何を上げても良いけど嘘はもちろんダメだし、大げさに書いたり、あいまいな表現もダメだって。
男子のランキングが表示されてる、ナンバーボードにも直結する内容だ。
投稿初日に貰った、ポータルの拡張チップをセットしないと上げられない仕組みになってる。
義務が2日目からなのは、ポータルを準備するのに時間が必要だから。
拡張チップを嵌めなきゃいけないのは、国が管理するため。
ポータルを買いに行って、学校でもらった拡張チップをセットしないと上げられない。
だから、1日の猶予が在る。
僕は前に母さんが用意してくれるって言ってたポータルを使うから、拡張チップをセットするだけだ。
「 内容はカミハが思う通りにやれば良いと思うわ。 はい、じゃあこれ! 」
「 ん? なに? 」
「 入学おめでとう! 」
母さんがテーブルに置いたのは古い型のポータル? 最新型よりちょっと太い、違うなゴツイな。
傷は付いていないけど、ポータルは手首に付けて使うから傷がつかない材質が使われてる、最新型じゃないのは確かだ。
「 ありがとう母さん 」
ポータルを手に取る。 最新型じゃない、最新型じゃないけどどのカタログでも見た事が無い型だ。
「 母さんが使ってたお古よ。 軍用なんだからね 」
「 軍用なの! 」
母さんが使ってたって事はかなりのハイスペックだ、なんたって艦隊司令官の使うやつだからね。
軍用だからタフさも十分だ。
「 気に入った? 」
「 もちろん! ありがとう母さん 」
最高だぜ。
と言う事で早速アップしないとな、リミットが迫ってる。
「 何処で撮るの? 」
「 庭にしようかなって思ってる 」
「 庭なの? 」
ソファから立ち上がって玄関に向かう、腕に母さんから貰ったポータルを付けてだ。
カメラは用意してある、壁か柱にポン付けするつもりだ。
「 庭でいいでしょ 」
「 いい加減ね~ 」
母さんが僕を手招きした。
「 アイ。 エチゴ君の動画を見せて 」
『 承知しました 』
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広い室内だが家具がほとんどない、例外なのは椅子だけなんだが。
その椅子は派手な色で染まってて座り心地も悪そうだ、画面はその椅子に向かってズームアップしていく。
座ってるのはエチゴだな、あいつの映像なんだし当たり前か。
『 皆さんこんばんわ。 今日初めて動画をアップします・・・ 』
「 エチゴのヤツ、気取ってんな~ 」
映像の中のエチゴは何故かスーツを着てる。
派手な椅子に足を組んで座ってる。
「 エチゴ君は専用の部屋を用意したみたいよ、家具も骨董品で100万クレジットですって 」
「 なにその無駄使い! 」
100万クレジットって、水が10万本買えるんですけど?
専用の部屋は分かる、あいつん家って広いんだよ。 メイドさんも一杯いるし。
映像は15分ほどで終わった。
「 ・・・ 」 なんも言えね~。
「 どう? 」
思わず立ったまま見てたけど。
「 どうって言われても。 同じ事やれって言われてもね~ 」
「 そんな事言わないわよ 」
母さんはコロコロ笑ってるけど、じゃあ何で見せたんだろ。
+1が物凄い勢いで増えてる、登録者数も増えてるな。
「 凄いでしょ? みんなこれ位力を入れてるみたいよ、撮影に掛けるクレジットは別だけど 」
エチゴと同じだけクレジットつぎ込める家は、ハイエルフでもなかなか居ないだろうな。
あいつん家はクレジットはアホみたいにある、羨ましいとは思えないけど。
子供のころは誘拐とか、誘拐未遂とか在ったって聞いてるから。
でもね~。
「 これはこれで、エチゴらしくて良いんじゃないかな。 でも僕には合わないかな 」
改めて庭に向かう。
「 プライベートを切り売りしてまで、ナンバーボードを上げたいとは思わないし。 僕は僕らしくやるよ 」
玄関のドアノブに手を掛けた所でそうだと思いついた。
「 とりあえずやってみるよ。 それを見てさ、何かあったら言ってくれる? アイもだよ 」
「 分かったわ 」
『 承知しました。 編集はお任せ下さい 』
お願いね~と手を振りながら庭に出る。
庭には母さんが植えた花が色々咲いてる、樹も3本ある。
一番家に近いところ立ってる樹は神樹と同じ種類だそうだ、同じ種類なだけで神樹って訳じゃない。
家は裕福な部類に入ると思う、ボルトの中で一軒家に住んでるし庭もある。
母さんが頑張ってくれてるからだ、僕は何もしてない。
男子が居る家庭は優遇されるけど、それで裕福になれる訳じゃない。
3本並んで立ってる樹、その真ん中の1本にカメラを固定する。
神樹と同じ樹まで行ってポータルで画像を確認する、母さんが窓に張り付いてるけど気にしたら負けだ。
画角とズームを調整して録画を始める、流石に母さんが窓に張り付いてる姿を画像には写せない。
「 こんばんわ。 カミハ=オーガスタ 今年で100才になりました。 昨日から学校に通っています、1年4組になりました・・・ 」
簡単な自己紹介と学年とクラス、初回だしこんなもんかな。
好きなものでコーヒーとか言ったら、ハイエルフから-1を連打されそうだから止めておく。
目立ちたい訳じゃない、これは義務だ。
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