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変えるものと変えないもの

剣と魔法とダンジョンと宇宙船の話になります。 序盤は地球の日本の話で、長いプロローグと背景説明が続きます。


※誤字報告を頂きました、ありがとうございます。

 反応が在るってのは、投稿してるって感じがして最高です。


『 お帰りなさいませ、サラ様、カミハ様 』


「 ただいま~ 」

「 アイ、ただいま 」


アイが開けてくれた玄関のドアを通って家に入る。


「 疲れた~ 」


何だか一気に気が抜けた、ハイエルフと一緒だと気疲れするね。

やっぱりお家が一番だね、母さんはチョット笑ってるけど。


「 緊張した? 」


「 そりゃあね、したよ 」


リビングを通ってそのまま洗面所へ行く、家に帰ったら手を洗わないと。

あと、ウガイもしておこう。


『 カミハ様のステータスでしたら、授業でお疲れになることはありません 』


「 そうよね 」


『 精神的摩耗については未知数ですのでご注意下さい 』


「 ・・・了解 」  そりゃそうだよな。



僕が先に洗って手を乾かす、母さんは僕が終わってからだ。

広いから2人一緒でも洗えるんだけどね、しっかり洗わないともう一度って言うんだよ。

母さんもアイも。


『 サラ様、先にお食事になさいますか? 』


「 そうね。 先に今日の話をしましょうか、夕飯はそれが終わってからにします 」


『 承知しました 』


「 カミハ。 着替えたらリビングに来てね 」


「 は~い 」


僕は返事をしてから部屋に向かう。


-----------------------------


「 カミハの班が決まったわ 」


「 え? もう? 」


着替え終わってリビングのソファに座ろうとしてたんだけど、思わず止まっちゃったよ。

母さんがとった2週間の休暇はどうなるんだろ。


「 前に訊いた話だと、もっと時間が掛かるって 」


「 そうね。 母さんもこんなに早く決まるとは思わなかったわ 」


母さんが差し出したコーヒーを受け取ってソファに座る、これはアイが淹れたのだな。

飲む前だけど分かる。

だって、僕が着替えてる間に母さんも着替えてたから、淹れてる時間は無かったはずだ!


「 誰と一緒になるの? 」


「 分からないわ 」



「 え? 」

「 ん? 」


「 今、決まったって・・・ 」


ニッコリほほ笑む母さん、母さんはこういう所が在るんだ。


「 え~っと? 決まったんだよね? 」


「 決まったわよ、ちゃんとね 」


コーヒーを飲んでる母さん、僕はどうすれば?


「 で、誰かは分からないの? 」


「 分からないわ 」


僕は天井を見上げる、アイ説明をプリーズ。


『 サラ様、カミハ様に決まった事をお伝えするのはいかがでしょう 』


「 あら! そうね 」


ありがとうアイ、心の中でお礼を言っておこう。



母さんたちのお話し合いで決まったのは、イザベラのお母さんに一任するっていう事。

もちろん、僕の班は母さんが最終的に決めるんだけど、人選はイザベラのお母さんが決めた中から選ぶと。


母さんは軍の高官だ、3個ある首都防衛艦隊の内の1つを指揮する司令官だ。

派閥としては軍閥になる。


イザベラの家は女王派だ。


で、エチゴの家は微妙だ、国内で1,2を争う商家だから軍とも女王派とも商売の繋がりが在る。



「 誰がどんな子を選んでも、結局誰かが文句を言うでしょ? それでね・・・ 」


だったら最初から一人一人を全員で選ぶんじゃなく、別の方法を採用したんだって。

まずエチゴ家とつながりが在る女王派と軍閥派から、つながりのある家の子を片っ端からリストアップする。

その中からイザベラのママが選んで、最終確認は母さんが選ぶと。


「 あれ? 貴族派はどうするの? 」


「 無視よ無視 」


母さんが笑ってる、いい笑顔だ。

うん、僕は無視で良いと思う、お茶会にも興味無いし。

班分けは、母さんとエチゴママとイザベラのお母さんの3人だけで決める。

親の力関係だとそうなるらしい、正直僕はほとんど興味が無い。


コーヒーを飲ん一息ついたら、学習ポッドへ入る。

今日の授業の復習だ。


『 知識と実践を繰り返して、生体フィードバックループを組むと学習効果が上がります 』


「 了解だよアイ。 別に学習が嫌いな訳じゃない、学習ポッドが嫌いなんだ 」


『 カミハ様。 それは、学習が嫌いな事と同義ではないでしょうか? 』


僕がポッドに入ると、アイがポッドのハッチを閉める。



「 昔みたいに紙とペンで勉強するとかさ。 実際にやる方が好きなんだよね 」


『 紙とペンでの学習は効率が悪すぎます 』


「 それはそうだけどさ。 ポッドの教育って終わった後ボーっとするんだよな~ 」


眩暈がするしさ、頭の中を弄られてる感じが残って気持ち悪いんだよね。


『 了解しました。 頭部のスキャンと脳温度低下シーケンスの微調整を実行します 』


「 ありがとアイ。 頼むよ 」


目を閉じて学習睡眠状態に入る、学習睡眠状態じゃないと余分な筋肉を動かして余分な信号が脳に流れるから。

学習で書き込もうとするデータからするとそれ以外のすべてのデータ、脳内だから微弱な電気信号だけど、はノイズになる。


脳内マップがあるから、前に学習した分は邪魔にはならない。

今回は大丈夫だと良いんだけどな、アイも頑張ってくれてるけど脳の中の信号を弄ってるんだし、ダメだろうな~きっと。



「 カミハは学習に入った? 」


『 ハイ。 4秒前に、学習睡眠状態に入られました 』


「 そう・・・ 」


私は学習ポッドに近づいてカミハの顔を見る。

表情が無くなるのが学習睡眠の特徴だ、余分な筋肉、特に頭部周辺の筋肉は動かなくなる。


「 何とかならないのかしらね 」


『 今のところ、有効な解決策は確認されていません 』


「 今日もお母さん達と話をしたんだけどね、みんな同じだって。 症状の差は在るみたいだけど、みんな症状が出てるんだって 」


男の子を持つお母さんたちが集まると、情報交換会がいつも始まる。

育て方のお手本なんてどこにもない、探りながら進めるしかない。


『 科学技術庁のデータベースでも、全員に同じ症状が出ているとレポートされています。 テラリアンの脳内記憶領域は完全に解明されていません 』


「 そうよね・・・ 」


『 サラ様、心配されることは御座いません。 プログラムは少しづつ改善が進んでいます。 カミハ様の症状は、初期と比べ31%軽くなっています 』


「 ・・・ 」


カミハの頭を撫でる、そこに在るのはポッドのカバーでカミハには直接触れられない。

でも、そうしないと居られない。


「 カミハを連れてきちゃったけど、本当に良かったのかしらね・・・ 」


『 サラ様? 』


「 こっちの世界に連れてきて、戦い方を機械で学習させてるのよ? まるで兵器みたいに 」


『 そうしなければエルフ族が滅亡していた確率は 「 分かっているわ 」 』


「 それは、分かっているのよ 」



カミハをはじめ、魔素に適合したテラリアン、新テラリアン達は社会に順応し始めている。

先に社会に出た者たちは、新テラリアンの発想をエルフの科学を用いて現実のものとすることで、各方面で才能を発揮し始めてる。


エルフの女性の中には子供を授かっている娘もいる、既に期待以上の成果は出ているのだ。

それも理解している。


全員自分の意思でテラを出た、無事にイスリルに付けない可能性だってあった。

事実、全員は連れてこられなかった、カミハが生き残ったのは偶然だ。

それも分かってる。



大きく深呼吸。


「 はい、落ち込むのはおしまい! 」


『 同意します。 行動しなければ状況は変化しません 』


「 そうね、その通りね。 行動し続けてないと何も変わらないものね! 」


うふふ、とサラは笑う。

私にはまだまだカミハにしてあげられる事が沢山ある、してあげたいことも沢山ある。

考え込んで落ち込んで、立ち止まってる時間なんてない。


「 さぁ、夕飯の準備をしましょう! 起きたらきっとお腹を空かせてるわ! 」


『 同意します 』



サラはキッチンへと歩いて行く。


「 今日のメニューは、ミートボールスパゲッティと海藻サラダ。 付け合わせに肉じゃがね 」


『 了解しました。 ミートソースの作成を始めます 』


サラはエプロンを付け、キッチンに立つ。



『 サラ様。 肉じゃがのバージョンアップを提案します 』


「 その必要はないわ。 あれはカミハのお気に入りだから 」


『 状況を変えるためには、行動し続けることが重要なのでは? 』


「 そうね。 でも、変わらない事も重要なのよ? 」


お母さんの味ってのは、変わらない方が良い事もある。

サラは現地でそう聞いたとアイに語った。


『 理解できません 』


「 そのうちアイにも理解できるわよ 」


サラはうふふと笑い、肉じゃがを作り始めた。


気が付かれた点など在りましたら、読後の感想をチョロットでも、足跡だけでも残して頂けると励みになります。


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