褒められても伸びないヤツも居る
魔法とダンジョンと宇宙船の話を、書きたくなったんで書いてみた作品です。 序盤は地球の日本の話で、長いプロローグと背景説明が続きます。
クラフターの授業は色んなとこで開かれる、一次系産業なら山だったり畑だったり、船で海に出たりもする。 実際に体験するのが目的だから、場所にもこだわって実施される。
養殖はそれほど盛んじゃない、自然界にあるものを食べるのがエルフ流だから。
食料が十分足りてるってのも、養殖をやらない理由の一つになってる。 養殖で毒がなくなる魚やキノコはあるけど、そこまでしなくても食料は一杯ある。
毒が無くなる要因は判明してるから、いきなり毒が復活したりはしないから安全なんだけどね。 わざわざそこまでしなくても、ってことだね。
同じ一次系でも鉱業は機械任せなんで、学校では授業を実施しない。 地面に潜るなら、鉱物を掘るよりダンジョンでQや護衛を倒した方が何倍もみんなのためになる。 と、いう事みたいだ。
二次産業系統の授業は、校内で実施されたり工場に行ったりする。 小型の物の製造は机の上でも出来るけど、大きな物は設備や工作機械も無いし、そもそも机の上には乗らないし。
「 皆さんの机の上にあるのは、これから皆さんが使っていく銃になります。 今日はその構造を理解しましょう! 」
今日は初日だから実習室で授業を受けてる。
みんなの机の上には一人1丁づつ銃が置いてある、もちろん実際に撃ったり出来ないモックアップだ。 でも誰かを本気で撃つ気なら、銃なんか無くても同じだったりする。 全員が魔法が使えるからな。
「 現実にはダンジョンでは銃を分解したりはしません。 皆無と言っていいでしょう。 故障でもしない限り注意を銃だけに向けることはしないですし、僅かな汚れでも動作不良になるからです・・・ 」
知ってる。
昔は1週間に1回戦闘がある地域を、激戦区って呼んでたらしい。 1週間掛けて物資と兵士と兵器を運んで、1日の戦闘で消費する。 戦闘がある時以外は比較的に手が空くけど、激戦区だからと言っても、何時でも十分な物資が送られてくる訳じゃない。
だからそんな手が空いた時は、自分で自分の銃をメンテナンスするんだ。 使用後のメンテナンスは自分でやる事だけど、整備は整備兵の仕事だ。
他の兵科の仕事を奪う時間があるなら、自分の身体のメンテナンスをする。 寝たり、食べたり、治療したり。 そうでないと敵より先にストレスにやられる。
他にも塹壕を掘ったり、アーマージェネレーターを整備したり、生き残る用意で色々忙しい。 銃を分解なんかする時間なんてあるはずがない。
分解した部品を置いておける、汚れが無い綺麗な場所が戦場にあるなんて思わないことだ。
目隠しで銃を分解できる? 組み立てもできる? 、綺麗な室内の汚れてない机の上なら出来るだろうけど。 戦場でそれに何のメリットがあるのかな、僕には理解できない。
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机の上の銃を分解して、いくつものパーツに分けていく。
銃には色んな魔法陣が組み込まれてる。 魔力を各属性に変換する魔法陣はもちろんあるし、マジカルスーツと連動するための魔法陣もある。
昔の魔法陣は羊皮紙や紙なんかに書かれてたけど、技術が進んだ現代ではそんな物は使わない。 属性変換魔法陣もパッと見ためは厚めの板だ。 一辺が10mm位。
でも中には多層構造の魔法陣が組み込まれてる。 これは6層かな?
積層型魔法陣もあるにはあるらしいけど、銃なんかの魔道具には一切使われて無いんだって。 多層構造魔法陣は各層は回路で物理的に繋がってるけど、積層型魔法陣は魔力で繋がってる。
積層型魔法陣はそこのコントロールもしなくちゃいけないんで、構造が複雑なんだって。
試作品はあるけど不安定で、実戦試験もまだらしい。
どれだけ高威力でも、不安定な兵器を使いたがる指揮官は居ないってことだね。 必要なのは目の前の敵を活動停止するための火力で、味方ごと自滅する自爆兵器じゃない。
僕が指揮官だったら使わない。 最後の最後のギリギリだったら、、、ヤッパリ使わないな。 味方を殲滅した指揮官って言われるより、護衛に負けた無能な指揮官って言われた方がまだ良い。
「 セレクターで変換する属性の魔法陣を切り替えて・・・、収束と圧縮の魔法陣は共通なのか 」
機械的な駆動部分が多いなって思う。 もうちょっと工夫して、そう、もうチョット手を加えれば銃も今の半分の大きさになるんじゃないかな。
「 カミハ君、どうしました? 」
「 はい 」
先生に指名された。
気が付かないで声に出してたみたいだ。
「 属性変換魔法陣の交換方法に、問題が在る様に感じました。 異物が混入したら動かなくなりそうで 」
立ち上がってから先生の質問に答える、初日なのに目を付けられたかも。
「 良い着眼点ですね! 」
褒められた?!
「 実戦部隊からの報告では、銃の射程も威力も問題は無いものの属性切り替え部に故障が発生した事があったようです 」
先生はユックリコッチに歩いてくる。
「 その後の調査で、メインの魔法陣と属性変換魔法陣の接合部に異物が混入し、魔法回路が導通不良になった事が原因だと分かりました 」
僕の机まで来てから教室を見回す。
「 常に決められた性能を発揮できる物、使いたい時には何時でも使える物を設計して作ること。 クラフターの永遠のテーマですね 」
先生が僕を見てニッッコリ笑ってる。
但し、先生の髪の毛は金色だ。
「 カミハ君ならどう設計しますか? 」
そう言われてもな、銃の中を見たのは初めてだし。 急に改善案を出せって、先生も無茶を言うよな。
「 、、、そうですね。 まずこの部分は分解出来ない構造にします 」
属性変換魔法陣とメイン魔法陣の接合部を持ち上げてから答える。
「 この部分はクリーンルームで製造して密閉、現場では分解出来ないようにして、材質も変更したいですね 」
「 続けて 」
「 可動部の材質は、滑らかで摩耗しにくい材質にします。 潤滑剤を塗っても良いかもしれません。 分解出来ないし、摩耗もし難ければ破片も発生しませんから、接合部に異物が混入することはかなり減らせると思います 」
「 そう・・・ 」
今日の授業は個人で受けてる。
受けてるんだけど、エチゴはイザベラと仲良く隣どおしで授業を受けてる。 あれで授業が理解出来てるかは分からないけど。
でだ、僕の周りの席には誰もいない、誰もだ。 前後左右、斜めの席にも誰もいない。
確か班分けの人選はイザベラに任せたはずだ、エチゴも保証してたし。
んで、今日は個人で授業を受けてるから班分けは必要無いと言えばないんだが。 つまり現状では、先生と二人っきり空間が出来上がってるって事だ。
会話の中身は軍の銃の話なんで、全然ロマンチックじゃないけど。
「 カミハ君は、お母様と一緒に銃の勉強をしたのかしら? 」
「 いいえ。 銃を持ったのも、分解したのも今日が初めてです 」
学生に支給される銃は、国が一括で購入して配布する。 だから普通エルフの家庭には、銃なんて置いてない。 一部のハイエルフはどうにでも出来るんだろうけど。
母さんの首都防衛艦隊の司令官っていう肩書を使えば多分できるだろうけど、母さんはそんな事はしない。 他の子と同じ条件でってのが母さん教育方針で、アイもそれに賛成してるし。
「 そう・・・ 」
なんかこの先生怖いんだけど?
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で、2022年の台風15号で被害を受けた方々に、心からのお見舞いを。
未だに元の生活には戻れませんが、何とか頑張ってます。
お互いに負けない様に、出来ることからやって行きましょう!




