早く家に帰ろう
剣と魔法とダンジョンと宇宙船の話を、書きたくなったんで書いてみた作品です。 序盤は地球の日本の話で、長いプロローグと背景説明が続きます。
着替えて部屋で待ってると、神官さんがやってきて式の手順を説明してくれた。
僕たちは順番に名前を呼ばれる。 呼ばれたら、神樹と司祭にお辞儀してからプールに浸かる。 小さいプールって言うか、大きい浴槽って言うか。 神樹から引き込んだ魔力が注がれてる水に浸かって待ってるだけだって。
「 1人1分として、最後のヤツは2時間30分も待つのか~ 」 長くなりそうだ。
今回神樹式を受けるのは、男子と女子合わせて150人いるから待ち時間が長そうだ。 終わったら帰ってもいいらしい。
「 カミハ、神官様が5秒や10秒で終わる子も居るって言ってただろ? そんなには掛からないさ。 それに、ナンバーボードは関係ないって言ってたから、もっと早く呼ばれるかも知れないよ 」
「 先に女子から始めます、男子はその後になります。 待ち時間が長くなりますから、トイレには必ず行っておくように 」
部屋のドアを開けた神官は、言うだけ言って出ていった、部屋にも入らずに。 僕達が浸かる水には、尿素やアンモニアに反応する薬剤が入ってるから、中ですると直ぐに分かるってさ。
「 カミハ、僕達もトイレに行っておこうか 」
「 そうしよう 」 2人で連れションだ。
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僕達は神殿の廊下を2列になって歩いてる。 女子が先で男子が後だ。 神殿の中を歩いて行くと、神樹の近くにプールはあった、聞いていた通りだ。
神樹の近くに、すり鉢状の穴が開いていてその底は半円形のプールがある。 地面からは5mは下になってるかな。 半円形の直線のとこには、説教台が置いてあって司祭が立ってる。
僕たちは階段を下って、プールの周りに前から順番に座っていく。 僕が座るとすぐに式が始まった、僕は後ろから4番目だから、プールを上から見下ろす感じになってる。 エチゴは男子の先頭にいる。 式を受ける順番はナンバーボードの順番通りだったよ。
名前を呼ばれた5人の女子が席を立ってプールに入っていく。 一回で5人づつ進めるのか。 思ってたより待ち時間が少なくて済みそうだ。
見上げると大きな神樹が見える、左右を見ると2階のバルコニーから大勢のエルフがこっちを見てる。 後ろにも居るね、防護シールドが掛かってるから、後に居るのはハイエルフの皆さんかな。
プールの周りは、プールは神殿内にあるんだが、関係者席になってるみたいだ。 母さんの姿は確認出来なかった。
「 それでは始めます 」
司祭が説教台を操作すると、プールで横になってる女子の上に5枚のモニターが出てきた。 神樹の祝福の結果はここにいる全員に見られる訳だ。
プールが光り始める。 光りは少しづつ女子達に集まっていって、やがて全部の光が消えた。
「 神樹の祝福に感謝を! 」
司祭の言葉を合図にして、5人の女子がプールから上がってくる、タオルを渡してるのは神官だね。 5人はプールの方を振り返って、自分のモニターを確認してる。
僕もざっとモニターを確認する、ステータスにBやCが多い。 Aも少ないけどある、女子のトップ5は凄いね。 ステータスは表示されてるけどスキルは表示されてない、内緒なのかな。
男子の最初はエチゴだ、さっきから一人でプールに浸かって待ってるけど何も始まらない。 司祭も神官も、見学してるオーディエンスも静かなものだ。 機械の事故じゃなさそうだね。
「 静かに! 女子と男子で、祝福のプロセスが違うだけです! 」
司祭が叫んだら、ザワザワしてた女子が静かになった。 男子? 皆んな静かに待ってるよ、緊張で顔色が悪いけど。
僕の順番は最後から4番目、だから式場の上の方に座ってる。 プールの中もよく見える。 エチゴのヤツは落ち着いてるよ、寝てんのかな?
「 準備が整いました。 それでは男子の祝福を始めます! 」
司祭の合図でプールが光り始める。 でも、光りはあっと言う間にエチゴが吸収して消えた。
「 神樹の祝福に感謝を! 」
エチゴがプールから上がってくる、タオルを渡すのは司祭だ。 他にも何か受け取ってるね、エチゴは手に何かしてるな、指輪かな?
エチゴの後に祝福を受けた男子は、司祭から指輪を貰ったり貰わなかったり。 光が急に消えた男子は、指輪を貰ってた。
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「 カミハ・オーガスタ! 」
やっと僕の番が来た、待ち過ぎてワクワクもドキドキも無くなった。 早く終わって家に帰りたい。
プールの水位は膝よりチョットだけ下だ、水温はお風呂より低い。 樹液でも混ざっているのかな、少し肌にくっ付いてくる感じがする。
指定された場所で振り返って仰向け寝る、左右の観覧席はほとんど空席になってるね。 祝福を頂いたら家族と一緒に帰ってるから、ドンドン減ってってる。 ナンバーボードが下位の僕らは忘れられてるのかね。 正面のハイエルフ達は、シールドの影響でよくわからない。
周りを見てたらプールの水が光ってきた。 目を閉じて祈る、2回で終わりますように。 こんな面倒なこと何回もやりたくない、待たされるのもウンザリだ。
目を閉じてても光が目に入ってくる、眩しくないし目も痛くない。
「 不思議な光だな 」
母さんにハグっとされた時の感じに似てる。 急に真っ暗になった。 不味い、このパターンは指輪コースだ。
「 神樹の祝福に感謝を! 」
( 終わった )
始まったと思ったら直ぐに終わった、プールから上がると司祭がタオルと指輪を差し出してきた。
「 神樹の祝福を 」
何て事だ、指輪コースだ。 意味分からないけど、渡された人数の方が少ないからろくな事じゃないはずだ。 神官じゃなくて、わざわざ司祭がタオルを持ってきてくれたのは、『 毎度あり。 次回もよろしゅうに! 』 っていう意味だろ、知らないけど。
一人で着替えた部屋に向かって歩いてる、きっとこれは罰だって思い始めてる。 受けるのが面倒とか、早く終わりたい何て考えてた罰だ。 神樹式はあと3人で終わる。 式を受けた男子も女子も付き添いの親もとっくに帰ってて、神殿内は静かだ。 始まる前のお祭りの様な雰囲気はもうない。
部屋に戻るとエチゴが待ってた。 って言うか、エチゴ以外は誰も居ない。
「 どうだった? 」
「 お前と同じで、オールDだったよ 」
「 やったじゃないか。 それで、スキルはどうだった? 僕は情報解析と・・・ 」
「 と?! 2つも貰えたのか?! 」
「 そうさ。 情報解析と人物解析だよ。 どっちも商人に適したスキルさ 」
「 2つか~。 僕は1つだけ、コマンダーだった 」
エチゴがピースサインしてる、いやスキルが2つって事か。 星間貿易を行うには、膨大な量の情報を集めて解析して、的確に受発注しなくちゃいけない。 情報解析のスキルは、商人には必須だろう。
「 コマンダー? 聞かないスキルだね 」
「 そうだけどさ、母さんがアドミラルだろ、その下がキャプテンで次がルテナントじゃん。 コマンダーはその下じゃないかな 」
母さんスキルが剣聖だとすると、その3つ下だからね。 僕のスキルは、せいぜい 『 剣好き 』 程度じゃないかな。 剣好きって、剣の収集家にでもなるのかな。
エチゴは笑ってる、いい笑顔だ。 今は憎たらしいから蹴飛ばしても良いよな。
「 でも、考えてよ。 オールDになったんだから、ステータスが2倍になったんだよ、10点法なら3倍だ! 」
司祭に貰ったタオルで頭を拭く、濡れたままじゃ着替えられないから。
エチゴが言ってる2倍3倍ってのは、ABCDEの簡単な比較方法のことだ。 Aが5点でEが1点としてる5点法と、Aが10点、Bが7点、Cが5点、Dが3点、でEが1点て言う10点方のことだ。
エチゴ言うとおり、5点法なら16点から32点に、10点法なら48点になった。 ステータスはジャンプアップしたって言っていいな。 それでもオールAなら120点だから、48点なんて1/3程度なんだけどね。 で、ピースサインってなんだろ?
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