僕はカミハ・オーガスタ
剣と魔法とダンジョンと宇宙船の話を、書きたくなったんで書いてみた作品です。 序盤は地球の日本の話で、長いプロローグと背景説明が続きます。
07:00 部屋に優しい電子音がした。 部屋のカーテンが少しづつ開けられて大量の日差しが部屋に入り込む。 光の眩しさに耐えかねた、部屋の住人が目を覚ます。
『 おはようございます、カミハ様 』
「 おはようアイ 」
起きる時刻がきて、ホームロイドのアイが部屋のカーテンを開けてくれた。
『 今日は、新樹歴122.117 0322。 只今の時刻は07:01。 本日のボルト10シティーの天気は晴れ、気温25°、湿度50%の予定です 』
「 ありがとうアイ 」
『 どう致しまして、カミハ様 』
ホームロイドの通称アイ、家の中のことを全て管理している。 住んでる人に合わせて、室内の照度や温度、湿度なんかのコントロールから食事の支度、掃除や洗濯もやってくれる。 アイは移動体を持っていないから買い物だけは配送だけど、配送チューブが在るから問題にならない。
健康管理も彼女の仕事だ、僕の勉強を見てくれるのも彼女だ、母さんは仕事で忙しいから。 でも、勉強の方針は母さんとアイで決めてる。 ベッドから出て、パジャマとスリッパのまま屈伸運動と腰の運動をする。
『 カミハ様。 お身体に何か問題でも? 』
「 何となく、腰が痛くなるような夢を見た気がするんだ。 夢の内容は忘れたけどね 」
腰に手を当てて右左、グルっと回して前後にグイッと。 特に異常はないみたい、100歳で腰を痛めたなんて知られたらきっとバカにされる、2000歳のお爺ちゃんじゃないんだから。
『 承知しました。 メディカルポッドのスキャンメニューに、腰部の重点スキャンを追加しておきます 』
「 ありがとうアイ 」
『 どう致しまして、カミハ様 』
部屋の窓を開ける。 アイに頼んでも良いんだけど、これは僕の毎朝のルーティーンだ。 今日も風が気持ち良い。 窓からはイスリル17世が住んでる城が見える、すげー小さくだけどキラキラしてて目立つんだよな、あの城。
僕の名前はカミハ、母さんのサラ・オーガスタと2人でボルトシティーに住んでる。 ボルトシティーは、エルフ族の第2の故郷になる惑星イスリルⅡにある、首都モンステラの周りにある。
ボルトシティーは01~10まで10カ所あって、首都モンステラをグルッと取り囲むように配置されてる。 各ボルトシティーに住んでるのは樹木族を除けばエルフ族だけだ。 ボルトシティー1カ所で約30万人、合計で約300万人がボルトシティーに住んでる。
何でこんな形になったのかって言うと、男子の出生率が下がったから。 エルフ族は大体40億人いるけど、その中で男子は3648人しかいない。 最後に男子が生まれたのは僕と同じ年代だけで、僕たちから後には一人も生まれていない。
だから女王イスリル17世は、少なくなった男子を保護するためにボルトを建設したらしい。 同じ位の年代の男子を集めて、ボルト01から順番に住まわせてる。 男子の平均年齢を、ボルト01は大体200歳、ボルト02は190歳、段々に下がって僕たちのボルト10だと100歳になるように調整してる。
男子に生まれると色んな保護を受けられるけど、嫌なことも多い。 僕は嫌なことの方が多いって感じてるけど、男子の友達は良いことが多いって言ってるヤツもいる。
『 今朝のカミハ様のナンバーは3645です 』
「 ・・・・・・ありがとアイ 」
嫌な事の一つがこれだ、全ての男子を順位付けしたナンバーボードが在ること。 ステータスやスキル、外見や人柄、国への貢献度なんかで決まるポイントで順位がつけられてる。 ナンバーボードは毎日更新される。 今日の僕のナンバーは3645、下から4番目で何時もこのくらいだ。
何も悪い事をしてないんだけどな、何もしないからこの順位なのか?
『 カミハ様はまだ新樹式を受けられていないのですから、心配される必要は御座いません。 昔から、「 一日で育つ大樹は無い 」 と言われていますよ? 』
「 そうだね 」 僕の樹がまだ枯れて無いことを祈るよ。
深呼吸して気分転換したら着替えてリビングへ向かう、母さんが朝食を用意してくれている。
「 おはようカミハ! 」
「 母さんおはよう 」
母さんは今日も元気にハグっとしてくれる。 今朝のスープはトマトを使ってるみたいだ、エプロンにスープが飛んで染みになってる。 制服にも1箇所スープが飛んでる。 母さんは良い匂いがする、ハグッとされると凄く安心できる。
母さんの朝は早いし忙しい、だから今も制服の上にエプロンをして料理してる。 アイに食事を用意してもらえば、もっとユックリできるのに。 エプロンも制服も汚れないし。
何でアイに任せないの? って聞いたことがある。 『 朝食は大切なのよ? 朝のスープは手作りじゃないと! 』 だって。 母さんなりの僕の育成方針なんだって。
それときっと神樹祭も関係してるはずだ。 1週間後の神樹祭の時には神樹式がある。 その次の日は入学式だ。
神樹祭は、神樹に一年の無事を報告して感謝し、次の一年の無事を祈念するお祭りだ。 その中で神樹式は100歳になった子供が集められて、神樹から新しい力 = 祝福を頂く日とされてる。 まだ神樹式を受けていない子供は全員参加する、もちろん僕も今年参加する。
僕たちエルフの祖先は、昔は森の中で暮らしてた。 生まれて直ぐの赤ちゃんを、神樹の洞に貯まった水に浸けて、子供の長寿と健康を祈願していたんだって。 その時、森の中で生き抜く為の新しい力を授けられるんだって。
神樹祭はソレを現代風にアレンジしたものだ。 今では神樹の洞なんて使われていない、小さ目のプールに浸かるだけでいい。
現代に生まれてホントに良かったと思う。 樹の洞なんて、虫の死骸や腐った葉っぱが浮いていそうだから、僕は入りたくない。 今はプールになってるから綺麗だ。
テーブルに置いてあるナプキンで、母さんの制服に付いたスープを拭く。 制服は簡易宇宙服を兼ねてるから、スープは染みにならないから拭くだけでとれる。
母さんはこの惑星を護ってる3個艦隊の1つ、その司令官に任じられてる。 母さんのスキルはアドミラル、艦隊全体の能力を向上させる凄いスキルだ。
「 神樹式のことは心配しないで良いのよ。 ステータスが上がっても上がらなくても、スキルがどんなものでも、カミハはカミハなんだから 」
「 ありがと、母さん 」
母さんに隠し事はできないみたいだ、気にしてるのがバレてる。 神樹式で授けられる新たな力は、ある程度は解明されてる。 一部分だけで全部じゃない。
生まれて直ぐの身体は、母胎に保護されてたんで魔素や魔力を直接浴びてない。 そのままだと、魔素や魔力に対しての抵抗が少ないままになる。 だから神樹の水、魔素をタップリ含んだ水に浸けることで、身体を魔素や魔力に馴染ませて抵抗力を手に入れる。
ドワーフ族や獣人族は、遺伝子に魔素が入り難いんでエルフ族に比べて寿命が短い。 遺伝子のテロメアがほどけ易いんだって。 それに、エルフ族と違って魔素を操るのが上手くない、出来ない訳じゃないんだけど。
「 ステータスが、少しでも上がってくれたら嬉しいんだけどね。 あとスキルも、出来たら良い感じのが欲しいよ 」
母さんの持ってるスキル アドミラルはとても珍しいし、とても貴重なスキルだ。 艦隊の全員の能力を上げられるんだから。 できれば同じスキルが欲しいけど、さすがにそれは無理だって分かってる。
「 そうなの? 」
母さんが皿にスープを注ぎながら、不思議そうな顔をしてる。 エルフ族は、他種族に比べて魔力を操るのが上手いと言われてる。 でも、エルフ族の中でも上手かったりヘタだったり個人差が生まれる。
僕は魔法が上手くない、それは何とでもなるけどやっぱりビリ争いは嫌だ。 ナンバーも最下位争いしてるし。 せめてスキルだけは良いものが欲しいって思うんだよね。 そしたら、少しはナンバーが上がると思うんだ。
目の前で堂々とバカにする奴はいないけど、数字が出てるから皆が僕の事を本当はなんて思ってるかは誰でも分かる。 誰だよ、ナンバーボードなんて考えたの。
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