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11 探索

 次の日の捜索で沈んだ船はすぐに見つかり、船の側面に開いた穴も確認できた。マリーナの言うとおり、外に向けて開いた穴の周辺には円形や歪んだ箍が見つかり、積み込まれた樽が破裂したことを思わせた。


 一つだけ破損していない樽が見つかり、引き上げて慎重に確認すると、浸水して中に水が入り、火薬は湿っていた。樽の中には火薬と、瓶のようなものに入れられた何かが一緒に入れられていた。船の揺れか、あるいは時間の経過で火薬に薬剤が触れると爆発する仕掛けだったのかも知れない。他の樽の爆発の衝撃で連鎖的に爆発する可能性もありながら、一樽だけでも残っていたのは奇蹟だった。

 爆発と難破の衝撃で積み荷は崩れ、一部爆ぜたものもあった。果実や野菜は魚がつつき、浮き上がったものは形をなくしていた。

 歪んだ箱の中から大量の剣を見つけるのにさほど時間がかからなかった。まるで見つけてくれと言わんがばかりに、裂けた箱の切れ目から覗く剣先。荷札から、王都の架空の商会から送られた「鍋類」が入っているはずの箱だとわかった。あの日、港で探していた荷物だ。


 王都でも調査は進み、船に荷物を預けた者も特定できた。

 事故で行方不明になったと思われていた船員二人は、港で追加の積み荷を載せて以降、船内で見かけた者はいなかった。僕たちが出港した日のうちに同じ港からよく似た人物が客船に乗っていたことがわかった。

 三つ先の港で見つかった二人は、船が沈んだことを知ってからずっと次の仕事を探すこともなく隠れていたらしい。紹介状を兼ねた雇い主の手紙を持っており、その内容からも今回の沈没騒動に関わっていることは明白だった。


 王への報告も終え、犯人も特定できていることから、早々に確保されるだろう。

 事件の解決を思って安心していたら、父から手紙が届いた。

  こちらは準備できた。ノルデン子爵は私が呼び出す。

  おまえは「恩人」を連れて城まで来い。

  指環の恩人も一緒に。

 思わず目を閉じて、目頭を押さえた。

 どうしてもプリスカ嬢を連れて王都に行かなければいけないらしい。


 王城へ向かう日、マリーナには気の毒だったが、着慣れない長い丈のスカートを着てもらい、足は馬車の中では裸足OK、馬車を降りる時はサンダルで勘弁してもらった。

 布団もクッションもたくさん用意したものの、やはり馬車には乗り慣れておらず、陸に釣り上げられた魚が暴れるようにのたうち回っていた。

 急に大人しくなったと思えば、僕の肩に頭を置いてすやすやと寝息を立てている。テオールが睨み付けても、しーっ、と口に指を当て、恩人をゆっくりと眠らせた。

 指環や宝石箱だけじゃない。こうして同行してくれたことで、あのプリスカ嬢と同じ馬車で王都まで行かなくても済んだ。それだけでも救世主に思えた。実際、寝顔は天使のようで、揺れに任せてゆっくりと倒れてきた体を腕で受け止め、顔に着いた髪をそっと指で払いながら、マリーナの重さが少しも苦にならないことに気がついていなかった。


 王城に戻ると、あれこれと呼び出され、解放された時には深夜を過ぎていた。

 マリーナは客間で一人でいるはずだ。ヘニーを連れて来れば良かったのだが、我ながら気が利かなかった。きっと退屈しただろうが、この時間ならもう寝ているに違いない。

 少しだけ寝姿を確認し、そのまま部屋を出た。


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