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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

天国と地獄の間

作者: ナム

「ここは…?」


目が覚めると、上は青空、下は真っ暗、私はその間をプカプカと浮かんでいた。夢だろうか?


「夢じゃないよ」

「きゃっ?!」


ばぁっ!と私の目の前に突然逆さまの女の子の顔がドアップで迫っていた。


「だだだっ誰?!」

「いい反応するね!お姉ちゃん」


ケタケタと笑う女の子は、小学校低学年くらいだろうか?私と同じでプカプカ浮いている。器用にくるんと回転し、私の顔を覗き込むと、うんと頷いた。


「ここは天国と地獄の間だよ」

「え?」


天国と地獄の間…?何言ってるんだろう。私が混乱している中、女の子は説明を進める。


「お姉ちゃんは死にました!死因は殴られた事による脳内出血」

「殴られた…ーっ!!」


急に記憶がフラッシュバックして脳がグワングワンと揺れた。吐きそうになるのを耐える。思い出した。

私は何度も殴られた。父に。あの場には弟もいた。


「隼人はー?!」

「弟くんの方は生きてるよ、お姉ちゃんが庇ったからね」


どっと汗が出た。良かった。隼人は無事だった。


「良かった。私が死んだならアイツ(父)は捕まるよね?隼人は保護してもらえるはず」

「…なら、良かったね」

「?」


一瞬女の子の笑顔が消えたような気がしたけど気の所為だったのか…さっきと同じ顔で笑っていた。


「さて、お姉ちゃん。生きていた時の行いに特に問題がないお姉ちゃんは、天国行きだよ!おめでと!」

「天国?本当にあるんだ…」

「まぁ、次に生まれ変わるまでの休憩所みたいなとこだから、あんま期待しないでね」

「え?!…その言い方、夢がないなぁ」


女の子が空を指差すと、私の体がふわりと上に持ち上がった。


「それじゃあ…」

「待って!貴女は行かないの?」

「私はどこにも行けないから」


女の子がバイバイ!と言うとシュンと上に向かって魂が飛んでいった。



__



「なんだ?ここ」

「早いねおじさん」


見慣れないガキが浮いている。酒の飲み過ぎか?


「お酒の性じゃないよ、ここは天国と地獄の間」

「あぁ?何言ってやがる」

「おじさんは死んだんだよ、死因は包丁で刺されて出血死」

「ーっぐっ!」


胸の当たりが熱くズキリと痛んだ。その瞬間思い出した。


「あのガキ…俺を刺しやがった!!」


あのクソガキ!親の俺を刺すなんて!殺してやる!


「おじさんは死んでるから、その子を殺すのは無理だね」

「さっきから気味が悪りぃガキだな!俺は今苛ついてんだ!黙ってろ!!殺すぞ!」

「おじさん自分の立場、わかってる?」


ぶわりと映像が浮かびあがり、見覚えのある光景が映し出される。


「おじさんは解りやすい、地獄行き」


ガクンと下に落下する感覚。


「一番の罪状は娘を殺した事」


バイバイ、少女がそう言うと男は暗い下へと落下した。




__




「せっかくお姉ちゃんが助けたのに」


少女は独り言つ。


「死んだら地獄行きだね、弟くん」









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