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「ねえ田中さん、お母さんは?」
これまた広い広い食堂で
クッキーをほうばりつつ田中さんの入れてくれる紅茶を待ちながら私は尋ねた
「奥様はスーパーの方に出ておられます」
「パートか」
私のお母さんはスーパーでレジ打ちのパートをしています
家計が火の車
なんてことは全く微塵もありません
寧ろお金は有り余るほどでしょうね
じゃあ何故パートに行っているか
それは自分のお小遣い稼ぎです
これまた謎でしょう
昔は庶民だったけど今は超がつくほどのお金持ちです
しかしお母さんの中身は代わりません
ずっと昔のままなのです
それが私のお母さん西園寺鈴音なのです
「今日はダージリンで御座います」
「いい香りですね
うんっ田中さんの入れてくれる紅茶はやっぱり美味しい!!」
「有難きお言葉で御座います」
ガチャッ
久しぶりの田中さんの紅茶とクッキーで幸せ気分になっていると
食堂の入り口の扉が開いた
「よー優奈」
「お帰り優奈」
「翔兄!!涼兄!!」
入ってきたのは私の兄で双子の翔と涼
今は大学3回生
「ただいま」
「お前帰ってくるの久しぶり過ぎだろ」
「春休み以来だしね」
「ゴールデンウィークに帰ってくると思ってたのによ」
「部活があったし帰るの面倒臭かったから」
「父さん泣いてたよ」
「あれはうっとおしいかったな」
「あー目に浮かぶ…」
私のお父さんはかなりの私を溺愛しております
一人暮らしを許してくれたのも奇跡だと思うぐらい
「そんなことよりだ
これやるよ優奈」
「あっスフレだ!!」
「友達の土産で美味いらしいぞ」
「食べていいの?」
「俺甘いのダメだからな」
「やったー頂きます!!」
ビニールを剥がしスフレケーキを口に含んだ
「っ!?ゲホッゲホッゲホッ
からっ…いっ…」
味わえば味わうほどタバスコのような辛さが甘いはずのスフレからしてくる
「ハハハハハハッ
引っかかった!!」
「大丈夫ですか優奈お嬢様
ゆっくりと紅茶をお飲みください」
「うっ…」
私が咳き込んでいる様子を見てお腹を抱えて笑う翔兄
田中さんは慌てず私の背中をさすりながら紅茶を飲ましてくれる
「帰って早々優奈をからかうな翔
ほら優奈温かいおしぼりだ使え」
「ありがとう…涼兄」
スッとおしぼりを差し出してくれる涼兄
私は紅茶を飲んで少し収まった辛さのなかお礼を言って涼兄が持つおしぼりを掴んだ
「冷たっ!!」
温かいはずのおしぼりは氷のように冷たかった
それに驚き体がビクッとなり手を引っ込めた
「ハハハハハハハッ」
「ふっ相変わらず簡単に引っかかるな優奈」
「翔兄笑いすぎ!!
てか涼兄さっきの言葉は何だったの!!」
今ので更に笑う翔兄と満足そうに笑う涼兄
「相変わらず仲がよろしいことです」
「これ仲が良いって言いますか!?」
翔兄と涼兄2人はいつも私を驚かせて楽しむ
初めて会った時から2人が私の兄になった時からずっと毎日
だから私は小さい頃2人に泣かされてばっかりだった




