いただきます 3
本日、三話同時に投稿しています。
二つ前から読んで頂けると嬉しいです♪
「ふふっ、やっぱりガイ様と同じ綺麗な色ですね!」
改めて神の前で愛を誓ったアリーは嬉しそうに白い砂浜を裸足で歩き、俺の瞳を覗き込むように見上げる。白い砂浜とエメラルドグリーンの海は太陽の光を反射してキラキラと輝いている。真っ白なウエディングドレスを着たアリーを見るだけで心が洗われる様だ。俺は返事の代わりに、風にふわりと揺れる髪を優しく撫でるとアリーは頬を染め、はにかむように笑う。可愛い反応に堪らずキスを落とそうと抱き寄せる。
「ちょっとガイ! 誓いのキスはもうしたでしょ!」
「夫婦なんだから何度してもいいだろう?」
「そんな事言うなら魔写真の撮影止めるよ!」
「えっ? アレクお兄様、撮影して下さらないのですか……?」
アリーが眉毛を下げて言えば、アレクは「いや、それは、その」と歯切れの悪い返事を繰り返す。この天才達は溺愛する妹のアリーには頭が上がらない。
魔写真を創り出したララは、当時アレクが妖精のように見目の整ったアリーを見せた衝撃でヒロイン病を治したらしい。それからララは妖精に心酔している。正気に戻ってからのララは妖精をもう一度見たいが為に、王宮魔道書士の職に就いていた。二人の天才は更なる改良を加え、魔力消費量を減らし、魔画質を上げ、以前アリーが三枚分として贈られた魔石で数百枚撮影出来る様にした。天才のやる事は滅茶苦茶だと思うが、お陰で新居には可愛いアリーの魔写真が多く飾られている。俺も遠征に赴く際は必ず愛しい妻の魔写真を持ち眺めている。
きっと今日の結婚式の写真もアリーを中心にした魔写真集になり届けられるだろう。
夕刻が近付く頃、参列してくれた親しい者達との会食や魔写真の撮影も終わり、二人で皆を見送った。
夕陽を二人でゆっくり眺めようとアリーを部屋に誘う。手を差し出せば、ふわりと微笑み、嬉しそうに白くて細い手を添える。力を入れれば折れてしまいそうな手に指を絡めて繋げば、ほんのり耳が赤くなった。刺激の弱い耳に口を寄せ、低い声で名前を呼べば、肩が揺れて首元まで赤く染め上がる。ああ、愛おしい。反応の可愛さに思わず笑うと、口を尖らせ、睨んだつもりのアリーと目が合った。
尖らせた唇に素早くキスを落とす……
今のは可愛いアリーが悪いだろう? あんまり無防備だと飢えた熊に食べられるぞ?
目をぱちぱち瞬かせた数秒後、レースを透かして肌が色付くと甘い桃花の香りが匂い立つ。真っ赤なアリーが逃げるように、俺の手を繋いだまま早足で部屋に向かった。俺と離れてソファの端に座ろうか迷うアリーの髪を一房掬い優しくキスを落とせば、「もう、ガイ様はずるいです……」と拗ねた横顔で小さく呟き、大人しく隣に腰を下ろす。
大きなソファでゆっくり茜色に染まる空を眺める。アリーの大きな瞳がうっとりと海と夕陽を見つめていた。夕陽に見惚れているアリーを見つめれば、視線に気付いたアリーが顔を向ける。シャンパングラスを渡し、優しく見つめ合い誕生日の乾杯をした。
「初めてだからゆっくり飲むんだぞ?」
こくんと頷くアリーの横顔に夕陽が降り注ぐ。オルランド領で作られた華やかなピンク色のシャンパンも橙色に染まっている。初めての酒に、少し緊張したアリーが慎重にゆっくりグラスを傾ける仕草が小動物のようで微笑ましい。ほんの少し舐める様に飲んだアリーが、ふわりと頬を緩ませて俺を見る。
「ガイ様、甘くて美味しいです!」
「それは良かったな」
目を大きく開き、嬉しそうに笑うアリーの頭を撫でる。こてんと頭を肩に預けて来るアリーが可愛い。アリーの生まれた年は天候に恵まれ、良い葡萄ができた稀有な年だったから初めての酒は、生まれ年のワインかヴィンテージ・シャンパンで迷った。プラムサイダーが好きなアリーはシャンパンの方が良いかと思い、中でも度数が低く、口当たりの良い甘めのシャンパンを用意したのだが、大丈夫だったようだ。プラムサイダーが好きな妻には、新居にプラムの木を植えた。初夏に一緒に作ったプラムサイダーを飲んだが……それは、とても幸せな味がした。
夕陽が沈み終わり空が美しい青色に染まる時間になってもアリーのグラスのシャンパンはまだ少し残っていた。アリーが宝物のように大切に持ったままのシャンパングラスを取ろうとすると、「ん……? とったら、や、ですよ?」と舌足らずな抗議の声を上げた。
夕陽の橙に染まり気付かなかったが、頬に手を添えてよく見れば頬は桃色に上気し、目も潤み、とろんと俺を見ていた。
「もしかして……酔ったか?」
「ん……? よってない……です、よ?」
「あのな、酔っ払いは何故かみんなそう言うんだぞ」
アリーがこんなに酒に弱いとは予想していなかった。ウィンザー侯爵や侯爵夫人、それにアレクも酒豪だからアリーも初めてでもこんな少量の酒で完全に酔っ払うとは思わなかった。いや、まあ、酔った可愛いアリーを見てみたいとは思っていたけどな。
「ガイさま、かっこいい……」
熱い吐息を漏らし、頬に添えた俺の手に自分の細い指を絡め出した。アリーは、うっとり騎士団の正装姿を眺める。とりあえずシャンパングラスを強引に手から奪い取って、俺の膝の上にアリーを乗せる。グラスを取り上げた瞬間は泣きそうな顔になったのに、俺の膝の上に乗った途端に、ふにゃりといつもより頬を緩めた幸せな顔で笑う。泣き顔も笑った顔も、それに揶揄った後の拗ねた顔も好きだ。
「なあ、アリーは正装服なら誰でもいいのか?」
「ええ? ううん、あのね、ちがうの! アリーはね、ガイさまがいいの! アリーは、ね、ガイさまがね……ずっと、ずーっと、だいだい、だいすきなの……」
揶揄うつもりが酔っ払いのアリーは、いつもの恥らいは何処かに置いて来ていたらしい。ああ、もう、と上を向いて呻いていると、アリーの手で、両頬をぐいっと引き寄せられる。柔らかな身体から甘い桃花の香りがふわりと立ち上る。
「あいしているの、ガイさま……」
酔ったアリーは甘えるように俺にもたれかかり、涙で潤んだ瞳で甘く見つめられる。思わず、ごくりと喉が鳴った。外でアリーに酒を飲ませない、俺と二人の時にだけ酔わせようと心に固く誓う。
アリーの甘い桃花の匂いに引き寄せられ、小さな唇にキスを落とす。ん……アリーが甘い吐息を零す。柔らかな舌を絡め取れば、んん、ん……と吐息に甘い声が混じり出し、俺の舌にいつもより甘えるようにアリーが懸命に応える。顔を離せば、潤んだ瞳で熱く見つめられ、身体に甘い痺れが走る。啄む様にキスを落とし、弱い耳に名前を呼べば、熱い吐息を漏らす。上気する頬、とろりと溶けそうな瞳、甘く立ち上るアリーの匂い。全てが愛おしく、全てが欲しい。
アリーの肌を傷付けない様に、ばさりと上着を脱ぎ捨てると、くびれた細い腰を抱き寄せる。震える睫毛にキスを落とす。髪を梳き撫で、うなじや鎖骨に唇を沿って触れ、俺の掌に丁度良い大きさの柔らかな膨らみに手を伸ばす。何度も甘く名前を囁き、愛を告げる。俺に乱れて行く、アリーに愛おしさが募る。逃げ場をなくして追い立てれば、可愛い口が俺の名を紡ぎ、背中が弓のようにしなって震える。色香を放つ艶のある顔で、浅く呼吸を繰り返す。俺に縋るような手を掬い、指を絡ませる。深く熱い濃厚なキスに蕩けた顔のアリーが「もう……」と切なく啼いた。いつもより熱い身体を感じ、朝に愛しいアリーうさぎに逃げられた俺の我慢は限界を迎えた。
いただきます——
アリーを優しくベッドに運び、覆い被さる。
とびきり甘くて長い夜を愛しい妻と過ごそう——
最後まで読んで頂き、ありがとうございます(*´∇`*)
番外編は、ガイ視点の結婚式の話にしました。
この作品は書いた本人も驚く程、沢山の方に読んで頂き、幸運にもランキングに入る事が出来ました゛(*・・)σ【★★★★★】ぽちっとのお陰です♪
読んで下さり、ブックマークや評価、感想を寄せて頂けたことを本当に幸せに思っています。
皆様、ありがとうございました♫
アンリさまの萌え恋企画に参加しました。
もうひとつのアリーとガイの恋のお話を書いています。
ここから下にリンクを貼ってあるので、そちらも見て頂けたら嬉しいです٩(๑❛ᴗ❛๑)۶こっちも甘々です♪















