第四話 告白の返事 その二
「翼ちゃん! 告白されたって本当!?」
一時間目の授業終了後。
別のクラスの双子が仲良く揃って、翼のクラスの教室に飛び込んで来た。
「ほ、本当だけど……」
翼は双子の気迫に目を丸くしながら答えると、双子が愕然とした。
「どうして、言ってくれなかったの?」
どうやら、ショックを受けていらしい。
「別に言わなくてもいいでしょ? 双子だって、一々言わないじゃない」
「それはそうだよ。だって、数が多過ぎるもん。一々報告してたらキリがないよ」
「でも、翼ちゃんが言ってほしいなら、ちゃんと報告するけど?」
「私だって、一々聞きたくないから。報告しなくていいよ。というか、そっちこそ、どうして知ってるの?」
「それはね。私が教えてあげたの。双子ちゃん、知らないみたいだったから」
翼の疑問に答えたのは、親友の千里だった。
「余計なことしなくていいのに」
「ごめん、ごめん。でも、双子ちゃんという強力なライバルがいるのに、相手の男子、凄いね」
「そうだよ、相手の男子!」
「どんな人!?」
双子の食い付き方に、翼は圧倒されつつ、告白された時のことを思い出す。
「あのさ、双子のどっちかと付き合ってるの?」
同じ委員会に入っている、別のクラスの男子だった。
委員会の会議が終わり、帰ろうとしている時だった。
唐突に、そう聞かれたのだ。
驚いたが、答えは簡単だった。翼は首を横に振った。
「良かった。俺、お前のこと、同じ委員になってから気になってたんだ。良かったら、俺と付き合ってくれないかな?」
今度は答えが難しい。咄嗟に言葉が出ない翼に、「答えは直ぐじゃなくていいから、考えてみて」と告げて、走り去るように、先に教室を出て行ってしまった。
彼の微かに赤みを帯びた横顔が、翼の脳裏に焼き付いている。
「ふぅーん。別のクラスの男子、ね」
「僕らのどっちかと付き合ってるのか、ね」
話を聞いて、双子がぼそぼそと呟く。何か、黒いオーラのようなものを感じるのは、翼の気の所為だろうか。
「な、何? 私が告白されたのが信じられないって言いたいの?」
そんなもの翼だって、信じられない。
「そうじゃないよ。どうして、直ぐに返事をしてあげないかなって思って」
「あっ、やっぱり、返事を待たせるのは失礼だよね」
「そうじゃなくて。答えは簡単でしょ?」
「えっ?」
双子が何を言いたいのか、翼は分からず混乱した。
翼自身が分からないことを、どうして双子が分かるのだろう。
恋愛の経験値だって、双子と翼に差はない筈だ。告白されるごとに経験値がもらえるなら、圧倒的に双子だろうけれど。
「答えはどっちもだよ!」
「ほら、簡単でしょ?」
「それはない」
ちょっとでもまともな答えを、期待した自分が許せない翼だった。
「まぁ、これだけ考えてもピンとこないんだから、付き合っても上手くいかないんじゃない?」
という、親友の言葉を採用して、結局、翼はごめんなさいをすることにした。




