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第一話 女神と天使

翼ちゃんと双子の出会い。

 翼が幼稚園を卒園し、もうすぐ小学校へ入学する、そんな時期だった。

 女神様が二人の天使を連れて、家にやってきた。翼の隣の家に引っ越して来たのだ。


「右が颯で、左が楓。翼ちゃんが仲良くしてくれると嬉しいな」


 そう言ってニコニコと笑う綺麗な女性が、自分の母と同じ母親という生き物だと思えなかったのと、初めて双子という生き物を見たので、翼は二重に驚き、口をぽかんと開けた。


 流石、女神の子。綺麗な顔がそっくり二つ。

 つい、双子を観察するように見詰めてしまう翼。

 女神様と手を繋いでいる双子は、翼と目が合うと背中に隠れてしまった。


「可愛い双子ちゃんね。どっちがお兄ちゃんで、どっち弟なの?」


 翼の母が双子の様子に、微笑ましそうに笑みを浮かべながら聞く。

 嬉しそうに、女神様が答える。


「颯、はーちゃんがお兄ちゃんで、楓、かーくんが弟くんです」


 はーちゃん、かーくん。そう口にする女神様の相変わらずのニコニコ笑顔に、翼は双子が可愛くて仕方ないのだろうなと思った。


「そうなのね。でも、本当に可愛らしい子達だわ。そうだ、翼、一緒に学校へ行ってあげたら? 双子ちゃん達も同じ小学校なの。まだ慣れてないだろうし、迷子になったりしたら大変でしょ?」

「えっ……」


 一瞬、戸惑った。けれど、翼は直ぐに頷いた。

 単純に、双子という生き物に興味が湧いていたからだ。


「ありがとう、翼ちゃん。ほら、はーちゃん、かーくん、翼ちゃんにちゃんと挨拶して。よろしくね、仲良くしてねって」


 恥ずかしがっているのか、嫌がっているのか。反応なんてお構いなしに、女神様が双子を無理やり前に出した。

 翼は右に左に視線を動かして、双子を見る。今度は双子も翼を見詰め返してきた。


 不意に、一人が手を翼へと伸ばす。

 握手? と思ったが、もう一人も手を伸ばしてくるのだから、翼は混乱した。

 それでも、双子からの行動に、翼は応えなければと思い、よく分からないまま、両手を伸ばし、双子の手を握った。


 自分の繋がれたら手を見詰め、双子はにぎにぎと翼の手を握り返す。

 まるで、感触を確かめるような力の込め方に、翼はさぁ次はどんな行動をするのだろうと、わくわくした。


 暫く、にぎにぎして、気が済んだのか、双子が翼の手を離す。

 かと思えば、次の瞬間には双子は、それぞれ翼の手を握って、横に並んだ。

 女神様状態だ、と翼は思った。


 顔を見合わせるように、双子が右と左から、翼の顔を覗き込んでくる。

 その顔には、翼が初めて見る、小さな笑みを浮かべていた。


「翼ちゃん。これから、はーちゃんとかーくんをよろしくね」


 結局、女神様がそう言って、双子に挟まれた翼に微笑みかけた。

 翼はまたこくりと頷いた。

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