第一王子の心境 2
引き続きローレンス王子side
次の日、フォレスター家主催の誕生パーティーに出席するため、軽くセシリア嬢の情報を整理していた。
相手を落とす為には、事前に相手の趣味や好きなものを知っておき、偶然同じ趣味がある、という具合に振る舞い、相手の共感を得ることが重要である。
しかしながらセシリア嬢の情報が何故かとても少ない。わかっていることといえば、
・見た目は銀髪 紫紺瞳
・国で2人目の四属性持ち
・病弱で屋敷からあまり出ることができない
ということだけである。実際に会ったことのある者は少なく、家庭教師も外からは雇わず、元皇女の母親に教鞭をとってもらっている、ということでそれ以外の趣味や好きなことなどの情報がわからないのだ。
彼女の父親である宰相に、それとなく聞いては見たが「娘は病弱で人見知りの為、あまり長時間人の多いところにいると気分が悪くなりますゆえ、そんなに話をする時間はないと思われます」
などと話し、まともに取り合う気もなさそうであった。
まあ今日のパーティーで話す際にそれなりに話ができるだろうから情報整理はこのくらいにしておこう。メイドが呼びに来たようだし。
ーー コンコン ーー
「ローレンス様。そろそろ支度をしませんと…あ、もう着替えてらしたのですね…。」
「あぁ。私はもう準備はできているから母上の準備が整い次第出発出来ると伝えてきてくれるかな?」
「畏まりました!」
昔から思っていることだが母上の仕度には時間がかかる。ドレスも装飾品も当日にメイドに指示して決めているからね。私は非生産的なこの時間を有効活用して書類整理でもしていよう。
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あれから2刻ほど過ぎて、母上の準備が整ったと連絡があった。
まあ私たち王族の入場は1番最後だからこの時間でちょうど良いだろう。
「ローレンス。待たせてしまったようね。さ、私の装いはどうかしら?」
母上は豊かな金髪を結い上げ、濃紺のブルーのドレスに身を包んでいる。
「…まるで海から現れた女神のようにお綺麗ですよ。」
「そうでしょう?この濃紺のドレスは隣国の商人が持ち寄った品で、先月に購入したのよ!貴方も王に似て見目は麗しいのですから他に装飾品を増やしても良いのよ?」
「いえ、あまり飾り立てすぎるのは好きではありませんので、それはそうと。そろそろ出発しなくては会場に遅れてしまいますよ。母上。」
「あら、ほんとね。じゃあ早く行きましょ。私の将来の義娘になるかも知れない子だものどんな子か楽しみだわ!」
「ええ。本当に」
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馬車に乗り込み、フォレスター公爵家へ向かう。
「貴方はどの他の婚約者候補のご令嬢とも適度なお付き合いがあるようだけれど、まだお眼鏡にかなった子はいないのでしょう?今日のセシリア嬢が運命の子だといいわね?」
「運命…ですか。まあ結婚する可能性の1番高いのはセシリア嬢でしょうね。」
なにせ、セシリア嬢は王家に嫁がせることがほぼ決まっている。私がダメなら弟、ということになるだろうが。弟に嫁ぐことになれば私と弟の勢力の二分化が進む。それは避けなくてはならない。
となればセシリア嬢で決まりだろうな。
「まあ!貴方にしては珍しい。セシリア嬢はどんな子なのか楽しみね。ふふ。」
「ええ。」
私よりもよっぽど母上の方が楽しそうですが。
正直にいうとどの家のご令嬢も虚像の、王子という肩書きの私を見ていて私自身を知ろうともしない。まあ此方としても上辺だけの関係は楽だが。
「あら、もうフォレスター家が見えてきたわよ」
馬車の小窓から、煌びやかな邸宅が見える
…では【王子様】らしく振る舞うとしますかね。
馬車から降り、王子としての顔を貼り付ける
【仕事】の始まりだ。
出来が良すぎるチート王子。
打算的で計算尽くの彼は今後どうなるのか…
どうしようかね?笑